グリーベンチャーズが70億円規模の2号ファンドを組成へ——日本・東南アジアに加え、インドにも投資を拡大

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左から:グリーベンチャーズ 代表取締役社長兼パートナー 天野雄介氏、パートナー 堤達生氏

グリー(東証:3632)の CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるグリーベンチャーズは12日、同社2号目となる新ファンド「AT-Ⅱ投資事業有限責任組合(以下、2号ファンドと略す)」を組成したと発表した。ファーストクローズ時点では、グリーのほか、みずほフィナンシャルグループや国内大手事業会社や金融機関から約40億円の出資約束金が集まっており、2016年12月末までに約70億円規模を目指す。

投資セクターについてはゲーム以外のインターネット全般で、B2B または B2B2C のシードからアーリーのスタートアップを対象とする点については、これまでと大きな変わりはないが、これまでの日本や東南アジアに加え、2号ファンドからはインドへも投資を拡大する。グリーベンチャーズ代表取締役の天野雄介氏によれば、リードインベスターとしてワンショット1〜3億円の投資を目指し、投資先スタートアップの人材や取引先開拓などハンズオン支援も強化する。

なお、グリーベンチャーズからの具体的な出資額は明らかになっていないが、今週発表された「ALLSTOCKER」運営の SORABITO への出資や、「Player!」開発元の ookami への出資は、この2号ファンドからのものだ。今後出資を進める中で、地域別の投資額の割合については、日本:アジアの比率を8:2から7:3、うち「アジアでの案件のうち半分くらいをインドで仕込みたい(天野氏)」としている。

投資活動と対象地域を拡大に対応するため、グリーベンチャーズはチームメンバーも今春大幅に強化した。これまでのコアメンバーである天野氏やパートナーの堤達生氏に加え、2016年4月に Lazada 出身の Albert Shyy 氏(プリンシパル)、インドで起業経験のある Nikhil Kapur 氏(アソシエイト)、ボストンコンサルティンググループ出身の湊雅之氏(アソシエイト)、野村リサーチ・アンド・アドバイザリー出身の根岸奈津美氏(アソシエイト)、ゴールドマン・サックス出身の峰島侑也氏(アナリスト)の5名が新たに加わった。東京での活動拠点についても、これまでの六本木ヒルズのグリー本社内から移転し、日本ベンチャーキャピタル協会・B Dash Ventures・インキュベイトファンドが入居するアークヒルズ KaleidoWorks に合流する予定だ(6/1 予定)。

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グリーベンチャーズが入居予定のアークヒルズ「KaleidoWorks」のラウンジ(画像提供:森ビル)

2014年に50億円規模で組成された「AT-Ⅰ投資事業有限責任組合(以下、1号ファンドと略す)」においては、天野氏や堤氏に加え、グリー取締役でもある青柳直樹氏のほか、プリンシパルとして Alan Kuan Hsu(徐冠華)氏が東南アジア地域の出資を統括していた(Alan Kuan Hsu 氏は昨年11月にグリーベンチャーズを退社し、現在は KK Fund に参加している)。1号ファンドでは日本国内16社、東南アジア9社に投資し、償還期限まで8年以上を残した現在でも既に投資額の4割程度が回収できているとのことだ。

堤氏によれば、新ファンドの組成準備に関連し、ここ約半年間にわたって新規出資を止めていたということだが、SORABITO や ookami の出資を皮切りに、Industry Renovation(アドテク・デジタルヘルス・フィンテック)、Mobile Re-Design(既存PC向けサービスのモバイル最適化)、Empowerment People(クラウドソーシングなど)の3つを柱に投資活動を再開するとのこと。ラウンジ空間のある KaleidoWorks に拠点が移ることで、今後、スタートアップとの接点が増えることも期待される。

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