雑誌の世界観を再現「LeTRONC(ルトロン)」公開ーーオープンエイトが仕掛ける分散化動画メディア3つのポイント

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スマホ向け動画広告などを手がけるオープンエイトは5月26日、女性向けのスマホ動画メディア「LeTRONC(ルトロン)」を公開した。ルトロンは「大人の」女性向けに旅をテーマに、そこへ行ってみたい、食べてみたいと思わせるようなシーン、感情を短尺ムービーで紹介する動画マガジン。

またオリジナルドメインのルトロンウェブサイトだけでなく、作成した動画コンテンツをFacebookInstagramTwitterLINE@といった各種のソーシャルメディアへ分散して投稿する「分散化メディア」の運用形式を取っており、月間で200本のコンテンツ制作を各プラットフォームに対して配信するとしている。

配信先には上記のようなメジャー・ソーシャルメディアに加え、オープンエイトがこれまでに動画広告配信パートナーとして取り組んできた@cosmeやWoman.exciteなども含まれる。

今後は各プラットフォームに最適化された画角と尺(例えばInstagramであればスクエア・5秒など)に展開を広げ、よりシーンの情景を伝えらえれる360度コンテンツやVRにも挑戦する。

この話題は幾つかのポイントに分けてお伝えしたい。

  • ソーシャルPFへの分散投稿を可能にする制作体制と徹底したフォーマット化
  • ネイティブ広告としての可能性、VR・360動画
  • 独自の視聴率を構築するアナリティクスの必要性

徹底的なフォーマット化で「動く雑誌」を実現した

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A video posted by LeTRONC ルトロン (@letronc.m) on

スマートフォン対応の短尺動画についてはここ最近、Facebookを中心に投稿が目立つようになっているので、興味を持って見ているメディア関係者はよく知っていると思う。米Tastyなどの爆発をきっかけにクッキング動画は本当に毎日のようにタイムラインに現れるようになったし、そしてそのどれもが数十万、数百万再生を稼いでいる。

その一方で食べ物の短尺動画以外、例えば今回のルトロンのようなテレビ的なカットを用いたコンテンツはあまり見ないのではないだろうか。

問題は制作本数とかかる手間の問題だ。

分散化メディアを考える場合、例えばこの分野の草分けであるNow ThisなどはFacebookだけで毎日20本近くのコンテンツを投入している。プラットフォームは主たるもので6、7あるので、それぞれに最適化するとしたら、少なくともそれ以上の制作能力が必要となる。

これを実現するためにはユーザーにコンテンツを作ってもらうUGCの形式か、クッキング動画のように完全なフォーマットを作って大量生産をする方法がやはり再生回数レースには最適と言えるかもしれない。

しかしオープンエイトはそれでよしとしなかった。何故なら彼らはこのメディアで「雑誌を再現したかった」からだ。同社代表取締役の高松雄康氏はこんな風に話してくれた。

「雑誌の世界観をどうやって再現するか。トレンドとかフローの情報、キャスティングに頼るんじゃなくてブランドの強いメディアをどう作るか。2年前に(同社執行役員の)針北(陽平)さんと出会った時から考えていました」(高松氏)。

彼には@cosmeで得た経験から「1年後、2年後見てもブレない価値観」(高松氏)というストック情報にこだわりがあった。そこで雑誌社で女性誌の経験を持つ人材を起用、「質と量の両方を成立させる」チームを編成した。

話を聞くと約半年間ほどかけてトーン&マナーを揃え、映像のフォーマットを幾つも完成させた。結果として取材時で月間120本ほどの制作能力を持つまでになったという。(リリース時点で月間200本に増加)

そうやってできたコンテンツの質は非常に高い。しかも出演しているキャストは編集部のメンバーなのだという。機材や取材方法なども雑誌のそれとよく似ている。

まさに「動く雑誌」と表現していいのではないだろうか。

ネイティブ広告としての可能性、VR・360動画

「単なる分散化コンテンツじゃなく、VideoTapで40媒体に配信が出来るんです。それがウチの強み」(高松氏)。

ルトロンの強さは運営がオープンエイトというアドテクのスタートアップである点と、アイスタイルという女性に強烈なリーチを持った企業と強い関係性を持ったところにある。冒頭にも書いた通り、彼らはコンテンツを分散して配信する先にメジャープラットフォームだけでなく、@cosmeやWoman.exciteなどの国産メディアを含めることができる。

これは彼らの動画広告配信サービスNativeTapを使ったもので、いわゆる広告枠への配信となるのだが、これがどこまでうまくサイトに馴染むかによって展開が大きく変わるかもしれない。

例えば私が参考として見せてもらったとある高級旅館の動画コンテンツは十分広告として効果を感じられるものだった。シンプルに行きたいなと思わせる内容だったからだ。見ても楽しく嬉しい気分になる、さらに広告効果のあるコンテンツ。これを配信されて「広告ウザい」と嫌な気分になる人はいないだろう。

高松氏はその先の展開として360動画やVRの可能性も語ってくれたが、これはもう現物がでてくるのを楽しみに待つしかない。没入体験をしたことがある人であればこの手の衝撃度は理解できるはずだ。

独自の視聴率を構築するアナリティクスの必要性

分散化コンテンツを企業のマーケティングに使う場合、最も頭を悩ませるのはその効果測定だ。アナリティクスが各プラットフォームにまたがる場合その集計は困難を極める。レポーティングがままならなければオンライン広告ビジネスは拡大を妨げられる。

この点については針北氏も認識をしており、オリジナルの解析システムを構築する必要性と、独自の指標、これは新しい視聴率に近いものかもしれないが、それを作る必要があると言及していた。

さて、ここまで手放しに評価してきたルトロンだが、もちろんコンテンツの制作というのはそう簡単なものではない。おそらくこのサイトを研究してコピーしてくる事業者もわんさと出てくるだろう。新しいフォーマットを編み出せず、飽きられてしまう可能性もある。

でも、それでもここには可能性があった。

彼らの次の成長の話題を期待している。