スケールすることが全てではないーー起業する前に君が検討すべきたった3つのこと

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Jon-Westenberg起業家、ライター、コメディアン、そしてクリエイターでもあるJon Westenbergさんによる寄稿記事です。Jonさんの活動は、ご本人のWebサイト、またTwitter(@jonwestenberg)でフォローできます。本記事は、Mediumに投稿された記事をJonさんから許可を得て翻訳したものです。元の英語記事もどうぞ。


image via. WOCinTech
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最近、僕はこの論点についてInc.comから取材を受けた。昨今流行っているスケーラブルなIT事業と、それ以外のアプローチの違いについて。この取材が色々と考えるきっかけを与えてくれたため、もう少し深掘りして考えたいと思った。

若い起業家の肩には重いプレッシャーがのしかかっている。事業を始めるなら、それが絶対にスケーラブルでなければいけないというプレッシャーだ。これは、ほぼどこにでも見られる傾向だ。高成長なソフトウェアやプラットフォームを開発しないなら、君は時間を無駄にしているだけだと捉えられてしまう。

高飛車で危険な考え方だと思う。それは、世の中には本質的に他より優れた事業があるという考えに基づいている。そしてそれは、10億ドル企業へと育つ見込みと余地を持った事業だけだと。

人によっては、スケールを追う道が最適なこともある。彼らはそれに満足し、きっと素晴らしいことを達成するだろう。でも、彼らのその道だけが存続可能な唯一な道かというと、そんなことはない。これについては、Mark Susterが “What Should You Do with Your Crappy Little Services Business?”(君の小規模でイケてないサービスという事業をどうするべきか?)と題された記事で言及している。

世の中には、Webデザイン会社やアパレルブランド、コンサル事業を立ち上げるほうが、ソフトウェアプラットフォームを立ち上げるよりも性に合う起業家というものが必ず存在する。これは当たり前のことだ。

起業する前に検討すべきことは3つしかない。

事業を始めたいと考えているなら、君が考えるべきことは主に3つしかない。たった3つだ。

  1. これで稼げるか?
  2. 完成したものを誇りに思えるか?
  3. その仕事を楽しむことができるか?

この3つのポイントの重要性はどれだけ強調しても強調したりないくらいだ。そもそも事業を立ち上げる理由をたった3つにまとめているのだから。利益を出したい、自分が誇りに思える財産を作りたい、そしてその道のりを楽しみたい。これだけだ。

この3つ以外に、飛び込む前に検討すべきことはさほど残されていない。単純明快だ。

image via. WOCinTech
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君が立ち上げたい事業こそ、正しい事業だ

僕は、素晴らしいサービスを提供するスタートアップの起業家を知っている。それは専門的なサービスで、諸経費を大幅に上回る巨額の利益を出している。創業者は彼ひとりで、彼は間違いなく成功している。売り上げは数百万ドル規模だ。そこに、頭を悩ますシェアホルダーの存在はない。

最近、僕たちは飲みに行った。そして、スケーラブルなスタートアップについての話題が上がった。彼は事業を始めた当初、とあることを随分心配していたという。それは、その事業をスケールさせるための唯一の方法が、人材を採用して拠点を増やすしかないことだった。

でも、徐々に、彼は自分がその事業を心底好きだということに気づかされた。自分たちが販売しているものを愛し、そのプロダクトの向こうにいるクライアントのこともまた愛していた。そこに、X倍の成長因子を追い求める必要性はなかった。彼は、既に持続可能なモデルを構築していたからだ。そして、彼はその事業を楽しんでいた。

資金調達をして急成長を目指す同規模のスタートアップが、この起業家の事業より優れているという議論はどう考えてもおかしい。確かに、そのスタートアップのほうが評価額は高いかもしれない。また、最終的には、そのスタートアップの創業者のほうが儲けるかもしれない。でも、だからといって、その事業が他より本質的に優れていることにはならない。

立ち上げるべき事業は、その他大勢が求める事業ではない。それは、君が求める事業だ。それは、君がこの先10年、15年と築き上げることを想像できる事業だ。それは、他の人が迷わず歩み去っても、君は自らの血、汗、涙、そして時間を注ぎ込めるものだ。それは、君に呼びかけるものだ。

著者のメモ:

多くのVCが、スケールする余地のない事業への出資を拒むのは事実だ。彼らには正当な理由がある。彼らには、その駒を出すことを正当化するだけの巨額のリターンが必要だからだ。これは、議論の余地がない事実だ。

だからといって、その類の事業を立ち上げるなということではない。頭に入れておこう。VCという事業もまた、スケーラブルな事業ではないことを。君はひとりぼっちじゃない。

(翻訳:三橋ゆか里)

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