年末には全従業員に世界16ヶ所どこでも行ける旅行券など、ビックリしちゃうBasecampの福利厚生【寄稿】

Jason-Fried-profileJason Friedさんは、BasecampのファウンダーでCEOです。「Getting Real」「Remote」、そしてニューヨーク・タイムズのベストセラーで日本でも話題になった「REWORK」(邦題:「小さなチーム、大きな仕事」)の著者でもあります。Mediumの記事をご本人から許可を得て翻訳したものです。Twitterは、@jasonfriedでフォローできます。


Basecampのシカゴ本社
Basecampのシカゴ本社

よくBasecampが従業員に提供する福利厚生について質問される。うちへの就職を希望する人にとってこれが気になるのは当然だが、質問の多くは経営者仲間や起業家から寄せられるものだ。みんな、他の人が何をしているのかを知りたがる。僕たちだって知りたい。ということで、Basecampの現在の福利厚生について公開しようと思う。

追記:Basecampのスタッフの大半が遠隔地から仕事をしているため、または米国の外で仕事をしているため、福利厚生のいくつかは従業員に応じて異なる形で提供される。例えば、401Kは米国で働く従業員に対してのみ提供される。どこで働いていようと、全従業員に同一基準の福利厚生が与えられる状態を目指している。今後の進捗については、また報告したいと思う。

2016年1月時点のBasecampの福利厚生

トップ5%の給与:毎年、業界の給与水準を把握して、そのトップ5%に入るレベルの給与を出している。これはすべての職種に当てはまり、給与はスキルや経験などを鑑みて決定される。給与は、シカゴの労働市場の標準を基準にしている。

夏季の就労日は週4日:5月1日〜8月31日までの間、僕たちは週の月曜〜木曜まで、1日8時間働く。これは僕たちが「summer hours」と呼ぶもので、この期間は週の労働時間が32時間になる。新入社員は、トレーニングプログラムを経てからこの制度に参加できるようになる。ただし、熱心に働くカスタマーサポートチームのメンバーは24/7(1日中)稼働している。

1か月100ドルのフィットネス:Basecampが、君のジム・ヨガスタジオなど健康を維持するための会費を月100ドルまで補助する。それ以外にも、例えば、マラソンへの参加費用や新しいランニングシューズの購入に使ってもいい。

CSA(地域社会が支援する農業):地元地域で生産された新鮮でオーガニックな野菜や果物がありすぎて困ることはない。Basecampが君のため、また君の家族のために地域のCSAの費用を負担する。

毎3年に一度の1か月の研究休暇:毎3年、従業員は1か月間の研究休暇を取得できる。

有給の育児休暇:子どもが産まれたら、16週間の産休、6週間の育児休暇(父親が対象)を取得できる。この間、給与は100%支払われる。シングルファザー、主要保護者も育児休暇を16週間まで取得することができる。

100ドルのマッサージお小遣い:毎月、経費としてマッサージに100ドルまで使うことができる。身体をほぐそう。

年間1000ドルの教育費:新たに何かを学んだり、スキル向上を望むなら、Basecampが年間1,000ドルまで補助する。キャリアに直接的に関係する授業を受ける人もいれば、写真の教室に通ったり、楽器を習ったり、料理教室に通ったりする人もいる。中には、飛行レッスンを受けた人もいる!何を学ぶかは君次第だ:大事なのは、自分の人生をより豊かにしてくれる何かを学ぶことだ。

健康保険と歯科保健:Basecampは、Blue Cross Blue Shield PPOの健康保険と歯科保健を提供している。保険料の75%をBasecampが支払い、君は残りの25%を支払う。眼科は対象外だが、視力検査、メガネ、コンタクトレンズには割引が適用される。

どこで働いてもいい:世界中のどこからでも仕事ができる。都市や国を移動しても仕事を続けられる。

401Kへの同額負担:401K (確定拠出年金)に1ドルを納めるごとに、Basecampもまた1ドルを納める。最大、君の給与の6%までを支払う。

FAS(フレキシブルな支出用口座):FASは、税引き前のお金を蓄えておくための口座だ。例えば、処方箋、一般用医薬品、眼科ケアなどに使うことができる。毎年、あらかじめこの口座にいくら入金したいのかを決めておく(最大で年間2400ドルまで)。

ハードウェア・ソフトウェアの100%負担:それがどんなハードウェアやソフトウェア、またはサービスでも、仕事を達成するために必要なものはBasecampが100%負担する。対象外なものは存在せず、質問されることもない。

スタンディングデスク:僕たちのシカゴオフィスにはスタンディングデスクが溢れている。もし、シカゴ以外のホームオフィスにスタンディングデスクが欲しいなら、Basecampがその費用をまるまる負担する(僕たちがオフィスのスタンディングデスクにかけるのと同じ金額まで)。

コワーキングスペース費用100ドル:月に100ドルまでなら、君の地元のコワーキングスペースの費用を負担する。

年間1000ドルまでの同額の慈善的寄付:対象の慈善事業に対して君が寄付をした場合、Basecampが君の名前のもとで同額の寄付を贈る。一人の従業員に対して、年間1000ドルまでの同額寄付を行う。対象となる慈善事業は、501c3に登録されているものに限る。

ややこしさゼロの経費専用クレジットカード:米国で働く全従業員に対して、君名義のAmerican Expressのクレジットカードが提供される。出張、ソフトウェア、事務用品など仕事に関連するものならすべて経費として落とせる。

特定の何かを経費で落としていいものか迷ったら、ただ聞けばいい。事前の承認は不要だし、限度額もない。ただ、理にかなった範囲にしてほしい。米国の外で働く従業員は独自の支払い方法を使い、領収書を提示することで払い戻しがされる。

有給休暇と祝日:Basecampでは毎年、3週間の有給休暇、君が自由に使える数日間のおまけ休日、祝祭日を提供する。これはあくまでガイドラインであるため、もう数日休みが欲しい場合でも問題ない。

Basecampのホリデイギフト:毎年、年の瀬にBasecampは従業員全員に感謝のギフトを贈る。Basecampに勤めて1年またはそれ未満の従業員には一つのギフトが贈られる(少なくとも去年はそうだった:地元での一晩の外出費用を負担)。それより長く働いている従業員には、もっと手の込んだギフトが贈られる(去年は世界中の16ヶ所いずれかへの有給休暇)。ギフトの内容は毎年変わるため、毎年サプライズが待っている。

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また、これは正式な福利厚生ではないものの、週の労働時間は40時間を推奨している。この点について敢えて触れるのは、この業界が異常だからだ。週に60時間以上の労働時間を求め、週末にまで仕事がずれ込むことが珍しくない。僕たちは、従業員が週40時間以上働くことを望まない(これを強く願うあまりに、週末を含む勤務時間外のBasecampの通知を完全にオフにする“Work Can Wait”機能をBasecamp 3 に追加したほどだ)。

危機的状況においては、または数年に一度の大規模なアップデートに臨む時には、超短期間で追加の労働が発生することがあるかもしれない。でも、これら超例外を除いては、週に最大40時間の労働時間と毎晩8時間の睡眠時間を推奨している。

Basecampの福利厚生について、またそれに関連する質問があれば、この投稿に返事をしてくれれば、答えられる限りの質問に答えたいと思う。

(翻訳:三橋ゆか里)

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