Niko Nelissen氏はイベントマネジメントソリューション企業Etouchesのモバイル、データ、エンゲージメント部門VP。Twitterで彼をフォローしよう。

カスタマーサービス、eコマース、さらに率直に言えばあらゆるソフトウェア・人間間のやり取りに関してこれまでに明らかになっているのは、ボットが大きなパラダイムシフトをもたらすということだ。
現在のところ、最先端ボット技術はボット・消費者間、つまりボットが人間とやり取りする段階にとどまっている。しかし、ある段階にまで達すれば、ボットは他のボットと話し始めるようになる。ボット・ツー・ボットの時代になるのだ。
Annie(アニー)という名前のボットがあったとしよう。このボットは消費者からの質問に答えなくてはならないが、バックエンドシステムに十分な情報が蓄積されていないとする。 Annieは人工知能を備えているので、必要な情報を入手するのに他のボットに助けを求める。 Annieは情報を集約してそれを消費者に届けてくれるのだ。

Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat
APIの終焉?
現在、2つのソフトウェアが互いに会話する必要がある場合は、ソフトウェアデベロッパーがAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を使って統合作業をしなくてはならない。この統合プロセスには時間がかかる。
そのため、Zapier、Scribe、IFTTといったサービスの人気がここ数年で高まっている。これらのサービスは何百というソフトウェアアプリケーションに革新的なインターフェイスを提供している。例えば、CRMシステムをメーリングツールや分析プラットフォームとつなぐことが可能なインターフェイスなどだ。
しかしボット・ツー・ボットの時代になると、実際のAPI統合の有無にかかわらず、各ソフトウェアアプリケーションが互いのシステムに話しかけることが可能になる。
これを前提とすると、ボット・ツー・ボットのコミュニケーションは大量データのやり取りでは使用されず、例えば銀行ソフトウェアとネットショップサイトというように臨機応変に対応できるコミュニケーションが期待できる。銀行ソフトウェアがネットショップのボットに問いかけ、請求書の未送付を伝える。「Nikoさんは注文番号45678の請求書を必要としています。送っていただけますか?」というように。
最終的には「ボット・ツー・ボット・ツー・消費者」へ
ボット・ツー・ボットコミュニケーションが美しいのは、それが平易な英語でなされるところにある。その会話は誰もが理解できるものだ。私のボットAnnieと他のボットとの間で一連の会話がなされた後、この2つのボットがどのような結論に達したかを私はさかのぼって確認できる。
請求書が未送付だった銀行ボットの例で言うと、「詳細」というボタンを押せばAnnieがネットショップと交わした会話が表示される。アーカイブ化されたボット・ツー・ボットの会話を見ると、請求書はあと数週間は発行されないというネットショップボットからの返事が表示される。
だがそこまでではない。ボット同士の会話が行き詰まった場合、ボットは私に助けを求められるからだ。「Nikoさん、あなたのファイナンスボットのAnnieです。サプライヤーに連絡しているのですが、 相手の言っていることがわからず困っています」。
私に時間がある時に限られるのは言うまでもないが、会話に参加できる。ボットは無制限で待ってくれるので、 Annieの質問をわかりやすく言い換えて相手のボットに伝えると回答をもらえる。それを受けてAnnieは会話を継続し、私のために案件を処理してくれるのだ。
セマンティック・ウェブ
あらゆるオンラインサービスが互いにつながることについて10年前に話をしたことはなかっただろうか?何と呼ばれていただろうか?セマンティック・ウェブ?あらゆるウェブサイトが標準的なデータフォーマットを使って注記され、他のサービスはそのデータをクロールし、それぞれの事業論理に応じて利用できるというものだ。
私は、あと3~5年でボットがそのような段階に達するとみているが、全てのデータが均一にフォーマット化される必要があるというわけではない。むしろ、ボットはオンラインサービスやデータを平易な英語で提供してくれるので、それまで全くコミュニケーションがなかった人間とボットとの間でのやり取りが生まれるだろう。
ソフトウェアデベロッパーへの期待
eコマースやオンラインマーケティング、ファイナンス、ERPその他ソフトウェアのソリューションを開発しているソフトウェアデベロッパーの人なら、既存のAPIに加えてスマートボットの実装についても考えてほしいものだ。そうすれば、もし私がバーベキュー用品をネットで購入することがあれば、これから2週間はずっと雨ですよと私のボットが警告してくれるだろうから。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】
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