「顔と名前が一致しない」を解決するためにーークラウド人材管理ツール 「カオナビ」が総額3億円を資金調達

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クラウド人材管理ツール「カオナビ」を提供するカオナビが、大和企業投資、日本ベンチャーキャピタルが運営する各ファンドを引受先とした第三者割当増資により、総額約3億円の資金調達を実施した。今回の調達は、既存株主からの追加出資となる。

「カオナビ」は、人が増えると顔と名前が一致させることが難しくなるという課題を解決するためのツールだ。サービス画面には人の顔写真が並ぶのが特徴となっており、IT企業をはじめ、飲食、アパレル、流通、保育、スポーツなど多様な業種に導入されている。

「カオナビ」を導入している企業で社員数が最大なのは、テルモの1万名。その他、登録社員数にはかなりの差があるものの、導入企業数は220社を超えており、合計で約15万名の社員の顔写真が登録されている。

導入企業はすべて有料課金であるため、カオナビの足元のキャッシュフローは回っている状態だ。だが、月額利用料の積み上げモデルということもあり、大きく投資していくためには資金が不足している。今回の調達で得た資金は、サービスプラットフォームの刷新や新機能の開発などサービス拡充のほか、マーケティングの強化にあてられる予定だ。

カオナビ

カオナビの特徴のひとつは、機能面の差別化で商品を売ろうとしていない点。

「『カオナビ』は機能でお金をとろうと思っていません。そこで他のツールと比較されるのは違うと思っています。機能よりも、「顔と名前が一致しない」というコンセプトをちゃんと伝えようとし始めてから、営業も安定してきました。機能の理解にはリテラシーが必要になりますが、コンセプトの理解にリテラシーは必要ありませんから」

そうカオナビ代表取締役の柳橋仁機氏は語る。Sansanやfreeeなどの成長したエンタープライスサービスたちを参考に、コンセプトを打ち出していくことでユーザを獲得していこうとしている。ただ、それでも導入面のハードルはある。その点はカスタマーサポートの部隊を強化していくことで対応していくことを想定している。

カオナビ

ユーザのリテラシーを問題にしないサービスにするためには、高いユーザビリティが必須となる。

柳橋氏「『カオナビ』は、飲食やアパレルといった幅広い業種の人たちでも使えるよう、ごくごくシンプルに作りこんでいます。ソーシャルネットワークの「Facebook」くらいの感覚で使えるサービスにしていくことを目指しています」

基本は便利に、使いやすく開発しながら、オプション機能の開発をいくつか予定しているそうだ。自社の事業領域に合わせた管理画面のカスタマイズを可能にするためのテンプレート、分析や集計機能、360°評価を行うための機能などを開発していく。

柳橋氏「適性検査の試験と連動させる機能も開発していきたいと考えています。カオナビのプロフィール画面から適性検査の結果がわかって、その結果でも人材配置を考えられるようにしていきたいですね」

これまで、インバウンドで顧客を獲得してきた「カオナビ」だが、今後マーケティングにも力を入れていく。基本的なSEOやSEMの強化に加えて、サービスの考え方を伝えていくためのオウンドメディアの立ち上げ、自社イベントを開催するなど、いくつかのアプローチを想定しているという。

カオナビは2019年3月末までに 1,000社への導入を目標に掲げている。柳橋氏によればこの数字は「今のペースで成長していけば達成するもの」とコメントしている。マネジメントの共通課題である「顔と名前が一致しない」に取り組むカオナビが、どこまでサービスを広げられるか注目したい。

組織の「顔と名前が一致しない」問題を解決ーー顔写真を活用したクラウド人材管理ツール「カオナビ」

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