住宅ローン借換アプリ「モゲチェック」のMFS、グロービス・キャピタル・パートナーズから総額2億円を資金調達

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左:MFS CEOの中山田明氏 右:MFS COOの塩澤崇氏
左:MFS CEOの中山田明氏
右:MFS COOの塩澤崇氏

住宅ローン借換サービスを提供するスタートアップのMFSが、グロービス・キャピタル・パートナーズから総額2億円の資金調達を実施した。

MFSは、2009年7月に創業し、2014年10月MFSに商号を変更。2015年6月に住宅ローンの借換メリットを教えてくれるアプリ「モゲチェック」をローンチ。2015年9月には、マネックス、電通デジタル・ホールディングス、電通国際情報サービス(ISID)の3社から総額9000万円の資金調達を実施している

mogecheck

MFSは「モゲチェック」の提供に加えて、専門家が借り換えのコンサルティングとローン申請代行を行うサービスも提供している。2016年3月には、東京・京橋にリアル店舗「モーゲージ・ネクスト」を開設した

同社がリリースした住宅ローン比較アプリ「モゲチェック」は、全国の銀行120行、1,000本以上のローンを網羅して最適なローンを計算してくれるサービス。同アプリは、オーガニックで1万人を超えるユーザを獲得し、集まったユーザのデータを分析したところ、50%以上のユーザがローンの借り換えにより100万円以上の借り換えメリットを受けられるという結果が出た。

マイナス金利となり、住宅ローンの借り換え需要は高まっている一方、実際に借り換えを行うためには必要な書類や入力が必要な項目が多く、複雑な手続きが必要になる。借り換えメリットのあるユーザに対して、借り換えに関するコンサルティングから申込手続きまでトータルでサポートし、借り換えを促す狙いで「モーゲージ・ネクスト」はリリースされた。

mortgagenext

アプリをリリースした時点では、銀行にローンを申し込む顧客を送客することで銀行側からフィーを受け取る仕組みでスタートしたが、「モーゲージ・ネクスト」をリリースしたことで、ビジネスモデルも変化している。

「モーゲージ・ネクスト」を利用してユーザがローンを借りる際に、20万円をMFSに支払う。MFSに支払うための資金は、ローンと一緒に借りることができ、銀行からMFSへと支払われるようになっている。銀行からのバックがなくなったことで、MFSはよりフラットな立場でユーザに対して住宅ローンを薦めることが可能となった。コンサルティングを通じた住宅ローンの契約率は、57%となっているそうだ。

MFSは、借り換えメリットの提示から、どのプランがいいかのコンサルティング、実際に申し込みを行う際の代行までを手がけ、さらに住宅ローンを組んだ後もサポートを行い、個人に合わせてマンスリーレポートを通じて借り換えのタイミングなどを知らせてくれる。住宅ローンを組みたいと考えたユーザがMFSに相談すれば、あとはやってくれるという状態を作りつつある。

今回、資金調達したMFSが考えている展開はいくつある。ひとつは、住宅ローンの借り換えメリットやタイミングを会計サービスや家計簿アプリ等と連携して提供していくこと。最近では、マネーフォワードとネクストがマンションの参考価格がひと目でわかる「HOME’Sマンション参考価格」の提供を開始したが、例えばここに住宅ローンまで加わるとしたら、面白い。

マネーフォワードがネクストと連携、マンションの参考価格がひと目でわかる「HOME’Sマンション参考価格」を提供開始

さらに想定されるのが、コンサルティングサービスの効率化だ。現在は、来店してもらい、対面でのサービス提供を行っているが、将来的にはここをAIで対応できるようにしていこうと考えているという。

不動産賃貸「ietty」や転職チャットアプリ「ジョブクル」など、対面サービス業をチャットでリプレイスしようとしている事例と似ている部分もあり、今後「モゲチェック」内で住宅ローンに関するコミュケーションまでとれるようになることも十分に考えられる。

0→1のフェーズは終わり。不動産仲介のネット接客プラットフォーム「ietty」が東大研究室や人材会社と連携し、拡大に備える

チャットで転職相談アプリ「ジョブクル」が完全成果報酬で一律70万円の人材紹介サービスを開始

地方への展開も視野に入れているそうだが、書類の代行などの面で負担が大きい。MFSは協業先を探したり、政令指定都市に店舗を出すことなどを検討しながら、地方ニーズへの対応も考えているそうだ。

住宅ローンはユーザに関する様々なデータを集めることができる。集まったユーザに向けて、様々な展開も予想される。MFS COOの塩澤崇氏は「住宅ローンは保険とも相性が良いですし、借り換えメリットによって生まれた利益を投信に振り分けていくことなどもできます。いろんな広がりがあると思います」とコメント。

「テクノロジーがファイナンスを大きく変えていきます。決済やセキュリティだけではなく、情報を集めて色々な人が効率的にシェアできるようになる。テクノロジーを使って、どこまで効率よく収集し、それを活かしたサービスを提供できるかに取り組んでいきます」

とMFS CEOの中山田明氏は語った。これまで手続きが煩雑であり、複雑なものになっていたファイナンスが、テクノロジーの進歩によって急速に身近なものになりつつある。MFSが「モゲチェック」や「モーゲージ・ネクスト」を提供することで、住宅ローンは多くの人にとって忌避するものではなくなりそうだ。

同社は今後、開発速度を上げていくために、開発体制の強化を行っていく。2019年には、年間の住宅ローンの借り換え件数100万件のうち、10%の10万件のシェアの獲得を目指す。

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