ネットワーク仮想化のミドクラが22億円調達、世界的企業を顧客に日本発のグローバル企業を目指す

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2016.6.8

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ミドクラのグローバルチーム。世界6カ国で60名ほどの陣容だそうだ。

ネットワークの仮想化ソフトウェアを提供するMido Holdings Ltd.(日本法人はミドクラジャパン、以下ミドクラ)は6月8日、シリーズBラウンドでの資金調達を完了したと発表した。

調達した金額は総額で2,000万ドル(日本円で約22億円)で同ラウンドのリードは産業革新機構。新たにシンプレクスが出資した他、同社取締役のアレンマイナー氏ら個人も追加出資などで参加している。これにより同社が調達した資金は総額で4,400万ドル(約48.4億円)となった。

なお、今回の調達に伴う評価額や株式比率、払込日などの詳細は非公開。同社は調達した資金でネットワーク仮想化技術であるMidokura Enterprise MidoNet(MEM)や新プロダクトの開発、マネジメントや開発チームの強化に努めるとしている。

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さて、国産でグローバルに展開できる可能性のあるスタートアップがまたひとつ大型調達を発表した。

ミドクラの創業は2010年。共同創業者で会長の加藤隆哉氏はベテラン起業家であり、日本での独立系投資ファンド、グロービスの創業期にCOOとして参加。その後サイバードやCSKホールディングスなどの経営に携わり、現在のミドクラを共同創業した。

ミドクラは現在、世界6拠点で事業を進めており、本社こそスイス・ローザンヌとなっているが、実際は加藤氏らのいる東京が本社機能を持つ。加藤氏の話ではスペイン・バルセロナが開発拠点で、米サンフランシスコが主にマーケティングを推進しているということだった。

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同社は従来、ハード的に提供されていたネットワーク機器をソフトウェアで仮想的に代替させるサービス「MEM」を提供している。この技術の詳細については割愛するが、従来高価(上位機器となれば数億円規模)だったこの機器を仮想化することで、各種インターネット事業者のコストメリットを生み出すことに成功している。

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オープンソースでも提供されているが、エンタープライズ向けには導入ハードウェア毎のライセンス販売も実施しており、顧客は世界規模のストックフォトサービスやDell、サイバーエージェントなど各国での利用が進んでいるということだった。

この話題で注目したい点はひとつ、増え続けるネットワークへの負荷だ。

Internet of Thingsというキーワードが叫ばれて久しいが、日々生み出されるガジェットや小さなセンサーが今後、大量のデータをクラウド上にアップするであろう未来がもうやってきていることは私たちもしばしばお伝えしている。

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大量のデータから例えばこのガジェットのように自分や相手の感情がわかるような未来は楽しいし、何か便利になりそうな予感がする。一方でこのデータをどうやって受け止めるのかについては色々と議論があるそうだ。

ここも深みにはまると戻ってこれなくなるので割愛するが、乱暴に言えば、そんな量のデータを本当にクラウドにアップしたらボトルネックだらけになるだろう、とまあそういうことらしい。

特にネットワーク、つまりデータの結び目のような場所にはボトルネックが発生しやすい。また、ここが本格的に落ちると全てが停止することにもなりかねない大変重要な場所になっているため、従来の大手ベンダーは安心と信頼を引き換えにこの場所に対して高額なハードウェアを提供してきた。

一方ミドクラはここをソフトウェア化することでコストを大幅にカットすることを提案している。

ラック毎にハードを購入してサーバーを構築していた時代からAmazonを筆頭とするクラウドへの移行とよく似た話と言える。ただ、ネットワークは他のウェブサーバーやデータベースに比較して落ちた場合のリスクが大きい。それだけにコストメリットよりも安心や信頼性を選択する意向が強いのだそうだ。

メルカリやソラコム、WHILLなど、数十億円規模の資金を調達して世界へ羽ばたく(そして本当に勝てそうな)スタートアップが出現してきた。ミドクラもまたこのひとつとして具体的な成果が期待できる1社になっていただきたい。

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