遠隔診療「ポートメディカル」と宮崎県日南市、当該市内の無医地区における遠隔診療の有効性を共同実証

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2015年8月10日に厚生労働省が遠隔診療に関する解釈を明文化したことで、遠隔診療への期待と関心が高まっています。先日、本誌でも取材した「小児科オンライン」(現在は遠隔「相談」に留まる)や、遠隔医療相談プラットフォーム「First Call」など、この分野のサービスがいくつか登場しています。

ポートの春日氏(左)と日南市の崎田市長(右)
ポートの春日氏(左)と日南市の崎田市長(右)

そんな一つが、2016年2月に総額9億円の資金調達をしたポートです。現在、β版のリリースに向けて動く遠隔診療サービス「ポートメディカル」において、宮崎県日南市と当該市内の無医地区における遠隔診療の有効性に関する実証を共同で行う協定を締結したことを発表しました。2016年6月中旬以降に実施する市立中央病院内の遠隔診療において、ポートがシステムを提供し、また適正推進に向けたオペレーション体制の構築支援を行います。

平成26年の厚生労働省の調査によると、日本全国には医療機関が存在しない「無医地区」が637地区あるとのこと。そんな一つである宮崎県日南市北郷地区の日南市立中部病院では、医師を当該地域へ派遣・診療を行う「巡回診療」を行っていましたが、定期的な派遣は医師をはじめとした医療従事者の不足を招き、医療機関側にとって大きな負担となっていたと言います。

2015年11月にその遠隔診療プラットフォームがメディアに取り上げられた際に、無医地区などにおける遠隔診療をサポートしてもらえないかと市長から連絡を受けたことで決まった今回の取り組み。ポートの代表取締役である春日博文さんは、以下のようにコメントしています。

自治体としても医療サービスの充実を通じた市民の満足度の向上は一つの重要なトピックでもあるので、企業が単独で推進を普及するよりも自治体と連携して取り組んだ方が、地域の信頼性とスピード、インパクト、普及性においてメリットがあるのではないかと思っています。

今後も中山間部などでは高齢化・過疎化が加速することが予想され、こうした地域における医療サービスの確保が重要であることは言うまでもありません。また、医療機関への距離にとどまらず、例えば、専門医や女医の不在や、就労者の医療機関の開閉時間による影響など、医療アクセスにおける課題はさまざま形で存在しています。

医療のICT推進というものは、日南市のみに限らず、我が国全体の明日の医療を考える非常に重要な実証事業になるのではないかと考えています。今後は、地方自治体との連携をさらに強化し、地域医療における遠隔診療の有効性実証を共同で推進していきたいと思います。」

 

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