起業家、ライター、コメディアン、そしてクリエイターでもあるJon Westenbergさんによる寄稿記事です。Jonさんの活動は、ご本人のWebサイト、またTwitter(@jonwestenberg)でフォローできます。本記事は、Mediumに投稿された記事をJonさんから許可を得て翻訳したものです。元の英語記事もどうぞ。

ライフハックのやり過ぎに注意
僕は起業家だ。僕はライターだ。そして、クリエイターだ。異なる種類の仕事をいくつもこなしている。人は決まってこう言うーー「あなたは、きっとすごく集中力が高くて生産性も高いのでしょう」と。ピュアで汚れのないインスピレーションを空気に吸う、まるでスーパーヒューマンのように生きているんでしょうと。
実際はどうかというと、まるでカオスだ。めちゃくちゃもいいところだ。僕は自分の人生、ライターとしてのキャリア、講演者としての自分を一種の“整頓された”カオスの中で動かしている。なぜだと思う?
それは、僕が人間だからだ。人間は散らかった生き物で、無秩序で、感情に浮き沈みがあり、どこまでも矛盾が多く、美しいほど風変わりだ。本当にそうなんだ。秩序を追い求めても、僕たちはまるで興奮して動くロボットのようになり、結局、直感や感覚で飛行機を操縦することになる。
人生のすべてのことが予測不能な時、これ以外の方法は存在しないに等しい。
これを念頭に置いて、僕自身の儀式について、そして僕が日々どんな風に朝を迎えるかについて話そうと思う。大したインスピレーションにはならないかもしれないが、またライフハックでもないが、一人や二人共感できる人がいるかもしれない。
朝6時に起きて、自分や自分の人生が嫌になる
これを免れる方法はない。ほぼ毎朝、アラームが鳴ると共に僕の頭にまず浮かぶのは、何もかもを憂鬱に思う気持ちだ。起きているのも嫌だし、仕事も嫌だし、そもそも起きたくないし、シャワーを浴びるのも嫌だし、書くことも何かをつくることも嫌になる。
この事象は、ほぼ避けられないものだと考えたほうがいい。僕にはわかる。なぜなら、ありとあらゆることを試してみたからだ。やる気をふるわせるようなメッセージを自分に宛てて書いてみたり、睡眠時間を延ばしてみたり、食生活を改善したり、ヨガをやってみたり。でも、どれも役に立たなかった。
朝起きると、とにかく不機嫌で嫌なバージョンの自分が現れる。これに対してできることは特にない。こらえて霧が上がるのを静かに待ち、その感情が流れていくことを待つ他には。
その間、僕は暇をつぶすために、自分が感謝すべきことを頭の中に書き出していく。すごく効果が高い解毒剤とは言えないが、少しは役に立つ。僕のパートナー、居心地の良いベッド、朝ごはん、家族、Fugaziのデビューアルバム、今自分が読んでいる本…。
何もかもを嫌うバージョンの自分が指揮官である時、このリストの作成は決して簡単ではないが、いい一手だと思う。
朝一番のスマホ中毒と闘う
やっとのことベッドから這い出ると、スマホを見たいという抑えきれない衝動に駆られる。そこにはツイート、Eメール、アプリのアップデート、テック関連のニュースが待っていて、中には超笑えるgifの一つや二つもあって、すごくすごく見たくてたまらなくなる。
優柔不断の渦の中で身動きが取れなくなることが頻繁にある。スマホに手を伸ばして全てに目を通したいとウズウズする一方で、1日を早く始めるべきだということもわかっている。最近、早朝の誘惑に打ち勝つために、スマホを寝室ではなくリビングで充電するようになった。
そうでもしないと、バスルームの床に座って画面をスクロールやスワイプしているうちに、シャワーを浴びる時間を20分先延ばしにしてしまうから。これは時間の無駄だ。そもそも、まだ完全に目覚めていない状態で何を見ても大して理解できず、おまけにそれは僕を遅刻させる。
運が良ければ、ジョギングに出かけられる
僕はジョギングが大嫌いだ。決して好んでやりたいことではない。走り終わって、顔がほてり、汗をかいて達成感に満ちた自分のことは好きだが、実際に走っている最中の自分はこれっぽっちも好きじゃない。
早朝のジョギングは実行されないことのほうが多いが、でも、週3回は走りに出かけるように心がけている。または2回かもしれない。僕にとってこれは変動する目標だ。
これほど、達成することが難しい目標はない。身体を動かすことに対してやる気がみなぎることはまずないし、本当なら「X-me」のアニメの再放送でも見ていたい。それでも、「週に何度かは身体を動かす」という意識的な意思決定をしている。
ジョギングから帰ってきた時の疲れと言ったらない。ヘトヘトだ。ケールのスムージーを作ってInstagramに投稿する気になんてなれない。その代わりに、僕は10分間瞑想するようにしている。
何年か前、鬱の治療のために通っていた当時のセラピストが、心を落ちつかせる方法をすすめてくれた。10分間、自分の頭をよぎるすべての思考を葉っぱの上に書き出し、それが川を流れていく様子を想像するようにと。くだらなく聞こえるかもしれないが、僕自身は、このシンプルな行為の効果を実感しなかったことは一度もない。
10分を過ぎてしまうと、今度は飽きてしまう。申し訳ないと思うが、僕はそういう人間なんだ。
パートナーと朝ごはんを食べる。そして、美味しいコーヒーを飲む
毎週、3〜4回はパートナーと一緒に朝ごはんを食べるようにしている。スマホもタブレットもPCも持たず、ベーグルやムーズリ、または卵を食べながら話す。そして、美味しいコーヒーも。グリーンティーでもなく、スーパーフードが入ったスムージーでもなく。深くて美しい、幸せに満ちたコーヒー一杯を飲み干す。意識的にオフラインになって「今」を楽しむこの時間が、1日の中で僕が一番好きな時間だ。
僕の彼女は、急成長する法律関連のスタートアップでシニアマネージャーとして働いている。普段はお互いフル稼働だ。だからこそ、ただありのままの自分でいられる時間がすごく新鮮に感じられる。
僕たちにとって、この時間を確保することは容易なことではない。お互いに超忙しく、僕らが歩むキャリアには、多大な努力と時間、そしてコミットメントが求められる。時には、アパートを飛び出して、オフィスに向かう途中のマクドナルドに駆け込んでしまうほうが楽だと思う時もある。でも、僕たちはそうはしない。少なくともほとんどの日は。
この時間が僕にとってどれだけ重要かは、いくら言っても言い足りない。この時間が大好きだし、また彼女のことを愛している。

僕の朝はだいたいこんな感じだ。特にインスピレーションにはならないかもしれない。僕の朝の儀式は、高度な生産性でフル稼働する自分を生み出すためのものでもない。それはごく普通の朝で、頻繁にカオスだ。でも、僕の場合、これが上手くいっている。僕が早朝ランに出かけ、To Doリストを順に消していくことの邪魔になることはない。
世の中にライフハックのネタが溢れているからといって、何もその通りにする必要はない。朝5時に起きなくたっていいし、朝一番に白湯を飲まなくたっていいし、「Chicken Soup For The Online Blogger Slash Startup Founder Slash Future Motivational Speaker」を読む必要だってない。世界中の成功者は誰もが実践しているらしいが、そんなのどうってことない。
若かった頃、僕はあらゆるブログを読み漁り、ジャック・ドーシーのようなマシーンになることを決意した。日の出とともにコンピューターの前に腰を下ろし、ブログ記事を書いた。上手くいかなかった。当時の僕は常に苛立っていたし、やる気もなく、周囲にとっても近づきがたい存在だった。
僕が言いたいのは、人にはそれぞれ最適な方法があるということだ。君は、自分にとって一番いい方法で目覚めて一日を迎えなきゃいけない。僕にとってそれは、日々やるべきことについて前向きな決断を重ねて、最悪なバージョンの自分と闘うことだ。そして、週に数回はその闘いに負けることだ。君も同じような感じになるんじゃないかと思う。
人間を逸したレベルを目指そうとしてはいけない。世に出回る自己啓発の本棚に頼るのは、ほどほどにしよう。それが君のインスピレーションになるなら、素晴らしいことだ。でも、 人生の生き方は、他でもない自分で決めるものだ。
翻訳:三橋ゆか里
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