企業が社員のキャリア情報を掲載するOB訪問サービス「VISITS OB」、総額2.5億円を調達し代ゼミグループと資本業務提携

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visit ob

学生時代に、会社で働くイメージをつかむための道はいくつかある。

OB・OGを訪れ、会社の話を聞くという方法は、広く知られたアプローチのひとつだろう。VISITS WORKSが提供する「VISITS OB」は、学生にとっても企業にとってもOB訪問をやりやすくしてくれるサービスだ。

VISITS WORKSは、本日代ゼミグループ、ウィルグループインキュベートファンド、エンジェル投資家数名を割当先とする総額2.5億円の第三者割当増資を実施。合わせて代々木ゼミナールを運営する学校法人高宮学園と資本業務提携を実施したことも発表した。

同社は今回で2回目の資金調達。前回は、昨年の夏にシードでエンジェルらから4,000万円を調達している。

キャリア教育のプラットフォーム「VISITS OB」

「VISITS OB」は学生に対するキャリア教育を目的として運営され、企業が社員のキャリアに関する情報を掲載する会員制プラットフォームとなっている。

社員は自身の情報をサービスに登録しており、学生は会員登録すると、各企業で活躍する社員の詳細なキャリア情報を閲覧できる仕組みだ。

既に大手を中心に5,000名以上の社員がプロフィールを登録しており、就活生以外の大学1、2年生にも広く開放され、学生側の登録数も約14,000名となっている。学生のアクティブ率はMAUが67%となっており、アクティブ率も高い。

学生は、「この人に話を聞いてみたい」と思った社員の人に訪問リクエストを送る。社員側も話してもいいと思えたら、マッチングが成立。サービス内でメッセージのやりとりをして、訪問の日程調整などを行う。

サービス開始から約半年で、学生からの訪問リクエスト数は約13万件、マッチングの成立件数は約8万件となっているという。

学生は幅広い社会人にアプローチすることができ、企業にとっても学生側から社員がどう見えているのかがわかり、企業のブランディングにつなげていくこともできることから、注目されているそうだ。

必要なのは就職支援ではなく、キャリア観の醸成

VISITS WORKS代表取締役の松本 勝氏は、東京大学大学院工学系研究科を卒業し、新卒で米国投資銀行ゴールドマンサックスに入社。会社で働く傍ら、東大で母校の学生向けにキャリア支援を始めた。

会社を退社した後、母校の学生以外にも支援活動を拡大する中で、全国の学生が共通する課題を抱えていることに気づく。

「本当に必要なのは就職支援ではなく、早期からのキャリア観醸成支援だと気づきました」と松本氏は語る。

career univ

同氏は、2013年4月に大企業を中心とした企業がキャリア教育講座を実施する「キャリア大学」を立ち上げ、同サービスを運営する特定非営利活動法人キャリアクルーズの理事長も務めている。

「キャリア大学」の会員数は約35,000名。「VISITS OB」が早期に学生ユーザを集めることができたのは、こうした積み重ねがあったことも要因となっている。

小中高生および保護者向けの新たなキャリア教育サービスの開発を

左:代々木ゼミナール副理事長 高宮敏郎氏 右:VISITS WORKS代表取締役 松本 勝氏
左:代々木ゼミナール副理事長 高宮敏郎氏
右:VISITS WORKS代表取締役 松本 勝氏

今回、調達した資金で、「VISITS OB」はその姿を変えていこうとしている。

情報を掲載している企業からの同意の下、現在公開されている社員のキャリア情報を、提携先の代ゼミグループに在籍する学生およびその保護者に段階的に公開していく。

社会ではキャリアに関するどのような情報が求められているのか、どのような情報を提供することが学生にとって有用であるか。VISITS WORKSと代ゼミブループが共同で検証を行い、サービス改善に努めていく方針だ。

研究開発の位置づけに近いが、具体的な機能ではアプリのリリースやサービスの一部をSNS化していくなどの開発を控えているという。

松本氏は、「VISITS OB」は将来的に、海外の企業や海外の学生向けにもサービスを提供していくことを目指していることも教えてくれた。

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