東南アジアで人気のフリマアプリ「Carousell」がシリーズBラウンドで3,500万ドルを調達、インドへの進出を準備中か?

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Siu Rui Quek 氏の説明からすれば、彼のスタートアップがよくあるショッピングアプリを作ってきたわけではないことがわかるだろう。彼はアプリが作り出したコミュニティ、掲載されたばかりの新しい商品を深夜に見続けるユーザ、Instagram よりも長くアプリを使う人々について語った。そして、Amazon とは比較しようとしない。

そのスタートアップ Carousell は今日(原文掲載日:8月2日)、シリーズBラウンドで3,500万ドルの調達を発表し、新たな一歩を歩き始めた。今回のラウンドは楽天ベンチャーズがリードインベスターを務め、Sequoia India、Golden Gate Ventures、500 Startups が出資に参加した。

インドへ進出?

シンガポールを拠点とする Carousell のチームは既にアプリを6地域でリリースしており、一般的なストリームライン化されたモバイルアプリがやっていること以外に、クラシファイドリストのような形で未使用品と中古品を一覧表示する。最近、進出した地域は香港だ。

Carousell の CEO である Siu Rui Quek 氏は、同社の本社から Skype 経由でインタビューに答えた。

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Carousell 共同創業者兼 CEO の Quek Siu Rui 氏
Photo credit: Carousell

今回のラウンドで最も大きな部分は、海外展開の強化に特化している点だ。

今年初め、我々の海外チームを率いてもらうべく、Jia Jih Chai 氏を迎えた。3〜4ヶ月前のことだ。彼は東南アジアの Airbnb で最初に雇われた人物で、チームを百人規模へ、そして、世界で最も成長する地域へと育てるのに貢献した人物だ。

Carousell 創業者の3人の一人 Jia Jih Chai 氏は、シンガポール人である。

我々は現在も、次に進出する数ヶ所の市場を選んでいるところだ。しかし、それは、東南アジア以外の地域になるだろう。(Jia Jih Chai 氏)

私は(進出先が)インドではないか、と聞いてみた。Sequoia India が今回の調達に資金を提供しているからだ。しかし、Siu Rui 氏は、この質問に回答をしなかった。

次の進出先を検討する中で、チームは人々がモバイルファーストで、モバイルウェブの速度などの点でインフラが整った市場を探している。(クラシファイドリストの)Craigslist というより Instagram 的なアプリである Carousell の特徴を考えれば、その理由にうなづけるだろう。

共同創業者の Lucas Ngoo 氏も、次のように言って、会話に参加した。

Carousell は、よいショッピング文化を持つ市場で、その力を発揮できる。

楽天、楽天、そして、また楽天

楽天ベンチャーズが Carousell にシードラウンドおよびシリーズAラウンドに投資した頃、親会社である楽天は、そのオンライン・マーケットプレイスで知られていた。しかし最近では、楽天は Carousell にとって直接的な競合関係にある。なぜなら、楽天は東南アジアや多くの地域で苦戦を強いられており、3月には未使用品や中古品を売買するアプリに追加出資したからだ。

楽天はそのアプリ「ラクマ」を Carousell がサービスを展開する台湾でローンチしており、今後、東南アジア各地へと展開していく可能性がある。

楽天の新しいアプリがソーシャルなショッピング領域に進出していることについて、Siu Rui 氏は次のように語った。

他の競合と同じく、我々が解決しようとしている問題が非常に大きいことを考えると、それはすごく妥当なことだ。

我々は、楽天や楽天ベンチャーズからは完全に独立した関係で運営している。我々は彼らの戦略計画に関与していないし、彼らも我々の戦略に関与していない。

楽天や多くの新しい競合が現れる中、Carousell のチームは、ユーザにとって物事を簡単にすることに注力したいと考えている。

4〜5年前にオンラインでモノを売買したときのことを考えると、それは、インターネットに非常に詳しい人々に限られた体験だった。オンラインでモノを売るのは非常に難しかったからだ。当時は写真を撮り、それをパソコンに入れ、画像ホストサーバにアップロードし、フォーラムやクラシファイドサイトに投稿した記事に埋め込む必要があった。非常に面倒な作業だ。しかし現在では、我々が販売に至る作業を非常に簡単にした。写真を撮るのと同じくらい簡単だ。買う方は、チャットするのと同じくらい簡単。(Siu Rui 氏)

彼らはこの新しいユーザ体験を「クラシファイド3.0」と呼んでいる。それは最初、新聞で始まり、のちに、Craiglslist や OLX へと広がった新しい革新だ。Carousell では今や買い物だけにとどまらず、人々がモノを売ったり交換したりするために会ったりするソーシャルな体験を提供し、アプリ上で興味を共有できるインタレストグループまで作れるようにしている。Siu Rui 氏は、アプリから生まれた人間関係が時々、「実生活での友情関係にまで発展している」と語った。

シリコンバレーからシンガポールへ

3人の共同創業者は2012年に Carousell を設立したが、その創業の発端は、彼らがスタンフォード大学でいくつかの授業を共にしながら、シリコンバレーでインターンとして働いていた一年前に遡る。

彼らはシンガポールに戻った後、Startup Weekend のイベントで、ウェブ上で不用品を売ろうとしたときに直面する問題をもとに、後にショッピングアプリとなるもののアイデア骨子を思いつく。3人はそのイベントで優勝したが、それをビジネスにしようとは思わなかったと Siu Rui 氏は語る。

最も大きかったモチベーションは、人々が「こういうアプリが本当に欲しかった」と言って、Twitter でつぶやいてくれたり、Facebook ページで「いいね」してくれたりしたことだ。彼らは、事を先へと進める自信を与えてくれた。

Carousell 上には現在、コミュニティによって3,500万件の商品が掲載されているが、アクティブユーザの人数については、創業者のチームは言及しようとしなかった。Siu Rui 氏はサービスがまだ黒字化していないことを認めたが、それは、有料掲載や他の有料サービスなど計画中のしくみを実装するよりも、ユーザ数を成長させることに集中しているからだとした。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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