シリコンバレーが直面している課題は、十分なエンジニアを養成できていないことだ

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「シリコンバレー」がテック業界の中心であることは世界的にも知られているが、一方で統計的に見ると、最も多くのテック系事業が位置しているのはこのエリアではない。シリコンバレーの企業は、主要なオペレーションを米国外に移行しつつある。

経験あるソフトウェアエンジニアはすべての場所で不足しているが、このテック中心地において、その欠乏度は特に深刻なものだ。ローカルに人材を育てられていないのだ。では、その結果なにが起こるだろうか。

揃って人々が口にするのは、米国政府のCTOであり元Google幹部のMegan Smith氏の次の発言だ。

「次の10年で140万のテック・IT系の仕事が生まれるでしょう。そして、その職を埋められるような訓練を受けた人材は40万しかいません」

つまり、誰もこなすことのできない、100万の高給の仕事が残されるのだ。なんと残念なことだろう。

この問題を、シリコンバレーにおいてローカルに解決する必要がある。米国企業は、海外から人材を引っ張ることでこの人材ギャップを埋めるべく必死になっている。

今年だけでも、連邦政府はH1-Bの就業ビザへの申請書を23万3000件受け取った。その中の36パーセントだけが(8万5000の枠に合わせるために)ランダムに選ばれ、システム内で処理される。不正に操作され、恣意的で、移民局に通じているインサイダーによって操作されていると広く思われているシステムだ。このプロセスに通らない申請書は自動的に拒否される。

様々な調査結果によれば、米国企業はエンジニアの人材が不足していることが原因で、事業の成長を維持するのに苦戦しているという。この事態は、経済全体に対するリスクだ。政府はこの課題をよく認識しており、支援をしようとしている。

2015年、オバマ政権はTech Hireという次世代のテック人材を輩出する教育機関を支援する取り組みを発表した。政府は公的また民間の取り組みを支援するために1億ドルの助成金を提供すると約束した。その1年後には、さらに助成金を1億5000万ドルに増やして取り組みを加速させようとした。だが、それでも決して十分とはいえない。

教育は私たちの社会において最も重要な要素の一つであり、企業は成長を継続するために教育を受けた能力の高い人材を必要とする。シリコンバレーで、この問題のために立ち上がっているのは誰だろうか。

  • FacebookのCOO、Sheryl Sandberg氏とNeflixのファウンダーの Reed Hastings氏は、革新的な教育団体を支援するために1億3100万ドルを提供した。
  • Trinity Ventures (Dan Scholnick氏)、AME Cloud Ventures (Jerry Yang氏)、Partech Ventures (Nicolas El Baze)は、フルスタックのソフトウェアを大量に養成する2年間のプログラム Holberton Schoolに出資をした。
  • Peter Thiel氏のThe Thiel Fellowshipは10万ドルの補助金と共に選ばれた若き起業家のために2年間のプログラムを提供している(従来型の学校を中退した才能ある若いテック起業家を励ましている)。
  • IliadのCEO、Xavier Niel氏の School 42は、無料のテック教育の提供をフランスで開始した。これから、カリフォルニアのフリーモントに分校が開校する予定だ。

こうした取り組みはすべて状況改善に役立つだろうが、それでも人材不足を埋めるにはまだまだ十分ではない。業界として、エンジニアの人材確保のためにテック・スタートアップ業界はより多くの投資をする必要がある。でなければ、テクノロジー企業やベンチャーキャピタルのポートフォリオ企業はどうやって人材確保と成長を維持し続けることができるだろうか。

Paul Graham氏のようなシリコンバレーのリーダー達は、テクノロジー超大国の立場を維持できる能力がアメリカにあるのか疑問を抱いている。Salesforceのような成功企業は、人材とニーズがある場所で労働力を増強するために、シリコンバレー以外のアメリカの都市に既に移りつつある。海外への移転や海外での社員を採用することに、企業は躊躇していない。

(本記事は抄訳です。原文はこちら

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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