上海でバーチャルリアリティのゲームセンターがブームに

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中国ではこれまで言われているようにバーチャルリアリティ(VR)が人気を博しており、ハイエンドの VR ヘッドセットが一般コンスーマにはまだ高価すぎるなか、VR アーケード(ゲームセンター)がその隙間を埋めるべく台頭している。人気のグループ購入サイト Dazhong Dianping(大衆点評)を見ると、上海には少なくとも25の VR アーケードがあり、さらに毎月新しいアーケードがオープンしてその数は増加の一途を辿っている。

Yunyu Zhang, a 21-year-old University student, came to the VR arcade for the fourth time.
21歳の大学生 Yunyu Zhang さんがVRアーケードを訪れたのはこれで4回目

Chuyu VR Cafe(初魚 VR 咖)の訪問客で21歳の Yunyu Zhang さんは、VR 技術はもはや消費者にとって目新しいものではないという。彼女がこのカフェに来たのはすでに4回目だ。

初めて VR を体験したときは、とても怖かったけれど同時にとても楽しかったです。VR アーケードまで足を運んで VR ゲームをプレイする価値は十分にあると思います。自分でも一つ購入して家でプレイできたら、なんて思ってしまいます。(Yunyu さん)

Yunyu さんはこの VR アーケードに2人の友人と来ており、自分がプレイしていないときは、友人がバーチャルお化け屋敷を歩いているのを見て笑っていた。彼女は友人に引き出しを開けて懐中電灯を取り出すようにアドバイスし、彼が持っていたボトルを落としてしまうとくすくすと笑っていた。

Chuyu VR Cafe 設立者の Lan Chunru 氏は TechNode(動点科技)にこう語っている。

VR を体験している本人も楽しいですが、それを周りで見ている人にとってはさらに面白いものです。

Lan 氏は VR プレイヤーがいるエリアの前に大型スクリーンを設置し、友人や赤の他人が VR 体験している様子を見物したい観客向けに新しい形のエンターテインメントを提供している。

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Chuyu VR Cafe(初魚 VR 咖)

Lan 氏によれば、彼の VR アーケードは、すぐに近辺の5つの大学の学生たちが集う場所となり、今や4歳から70歳という幅広い年齢層の顧客を擁するようになった。

私たちは月に5万人民元(7,500米ドル)稼いでいます。このアパートの賃料が1万5,000元であることを考えれば、この VR アーケードはいい商売です。(Lan 氏)

中国は新しい技術が比較的すぐに受け入れられやすい国であり、VR 業界も例外ではない。急拡大しているテクノロジーに長けた若い中流層の中国人が没入体験を追い求めている。Lan 氏は大学卒業後に友人とこのビジネスを始めた。彼は現在25歳で、HTC Vive ヘッドセットを備えた3部屋、363平米のスペースを運営している。

私は VR がそれほど注目されていない頃からその存在を知っていました。2008年、私が高校生だったとき、「バーチャルリアリティ」という言葉をテキストで読みました。その頃中国では SF の本や映画が人気で、私も、もし VR を通じて違う世界に旅できたらすごいなと思っていました。

今年の初めにテックカンファレンスで VR デバイスを目にしました。そして自前で VR アーケードを開くことに決めたのです。(Lan 氏)

Charles Zhang, founder of Charles’ VR
Charles’ VR 設立者の Charles Zhang 氏

別の VR アーケードの若き設立者 Charles Zhang 氏は30歳で、香港株式市場に上場しておりフォーチュン誌の500社リストにも掲載されている Hutchison Whampoa に勤めている。セールスマンというフレキシブルな職務を生かして、彼は今年5月に自らの上海 VR アーケードを設立した。

今年は VR 元年です。平日はほとんどの来客が夕方以降です。週末は大変な混雑です。

多くの人が、ただコーヒーを飲むのではなく VR 体験を求めています。男性はお化け屋敷やゾンビのゲームを好み、女性は魔法の家のようなものを好みます。子供は景色のシミュレーションを見るのが好きです。(Zhang 氏)

プレイヤーは一度に30分を上限としてプレイでき、2度目のプレイはできないという。これによりユーザは現実に戻り、またアーケードにも「戻ってきてくれる」という。

60%の顧客が別の VR ゲームをプレイするために再訪します。ほとんどの場合、彼らは別の友人を連れてきてくれます。売り上げは毎月30%伸びていますが、私はこの市場はどこかで伸びが止まると思っています。(Zhang 氏)

Feng Xing, a 38-year-old mother brought her two kids to VR arcade
38歳の母親、Feng Xingさんは2人の子どもを連れてVRアーケードへ遊びに来た

38歳の母親である Feng Xing さんは、VR を初体験すべく、2人の子どもを連れて Zhang 氏の VR アーケードを訪れた。

私が初めて VR 体験を見たのは、友人が投稿した WeChat(微信)の Moments(朋友圏)でした。Dazhong Dianping を使って家の近くにある VR アーケードを簡単に見つけることができました。(Feng さん)

彼女の2人の息子が先に VR を体験し、次に Xing さんが自分で試した。30分の VR 体験が終わった後、彼女は制限時間が「短すぎる」と言い、再訪する気は満々だ。

子どもたちにとってはゲームより健康的な体験だと思います。スマートフォンの画面は小さすぎますが、VR ヘッドセットは快適です。(Feng さん)

中国のVRヘッドセット生産は加速するも、選択肢はいまだ限定的

中国では数多くの企業が VR ヘッドセットを開発しているにもかかわらず、VR アーケードでの選択肢はいまだ数社に限られている。Chuyu VR Cafe は HTC Vive と 3Glasses を揃えており、Zhang 氏の VR カフェでは HTC Vive のみ利用できる。

個人的意見ですが、HTC Vive はハイエンド機種です。Oculus と Samsung Gear は中級機種、そして大多数の中国製ヘッドセットはまだ安価で低機能です。

LeEco(楽視)と Baofeng(暴風)からはヘッドセットの無料提供の申し出がありましたがお断りし、現在私たちは HTC Vive のみを設置しています。最高のクオリティの VR 体験をお客様に提供したいのです。(Zhang 氏)

Yang Jinxi, the CEO of FAMIKU
FAMIKU(擧佳) CEO の Yang Jinxi(楊金鑫)氏

FAMIKU(擧佳) 設立者兼 CEO の Yang Jinxi(楊金鑫)氏は TechNode に次のように語っている。

中国では Oculus を合法的に入手することはできません。Samsung Gear については、スマートフォンとの接続に限定されており、コンピュータに接続できません。

FAMIKU は上海に本拠を置く、アーケード向けオンラインゲームデベロッパーである。同社は自社ブランドでこの7月に VR アーケードをオープンした。上海西部、七宝のショッピングモールの最上階に位置する2,314平米のスペースだ。ここでは30種類のゲームをインタラクティブなアーケード機で楽しむことができる。アミューズメントパークのシミュレーションができる動くアームチェアや、シューティングゲーム用のモデルガン、戦車運転シミュレータ用にハンドルが装備された椅子などが置かれている。

この VR アーケードには HTC Vive、Deepoon、Oculus のヘッドセットがあるが、Yang 氏はすべてを HTC に変更する予定である。

私たちは VR ゲームコンテンツを自前で開発していますから、単一の VR ヘッドセットを基準にしておくほうが望ましいのです。(Yang 氏)

中国のVRアーケードは海外VRゲームのテストベッドとなりつつある

FAMIKU’s self-developed Everest game
FAMIKU が独自に開発したエベレストゲーム

子どもを年に10回アミューズメントパークに連れていける経済力のある親は多くありませんが、VR があれば子どもたちはアミューズメントパークにいるような感覚を味わうことができます。(Yang 氏)

FAMIKU の VR アーケードにあるほとんどのゲームは自社製であり、最も人気のあるゲームの一つはエベレストゲームだ。プレーヤーが VR ヘッドセットを着けてロープの橋に乗ると、アシスタントが扇風機を動かし橋を揺らす。VR シミュレーションの中では、プレーヤーは雪で覆われた崖の間にかけられた頼りないつり橋の上を渡っているのだ。Yang 氏によれば、多くの人が高所恐怖症を治したくてエベレストゲームを体験しに来るそうだ。

その他のゲームは、大人気のゲームデジタル配信プラットフォームである Steam からダウンロードされている。

Steam のゲームはプレイ時間が長すぎるため、オフラインでの利用に向いていません。家庭用に作られているため、1ゲームのプレイ時間はしばしば20分以上、時には1時間にも達します。だからこそ私たちはコンテンツを自社で開発しており、ゲームのプレイ時間が10分を超えないようにコントロールできるのです。(Yang 氏)

同社は、自社での VR コンテンツ開発とともに、海外のゲームスタジオとの共同制作も計画している。現在、ヨーロッパに拠点を置く Directive や日本の Gumi と共に作業を進めている。複数の海外のゲームスタジオから20種類のサンプルゲームが FAMIKU に提供され、ユーザのテストがうまくいけば、同アーケードがそのゲームをダウンロードして一般利用できるようになる。

VR アーケードの中には、国内 VR コンテンツプロバイダーをうまく利用して開業するものもある。Wasai VR アーケード(哇噻虚偽現実体験館)は北京に拠点を置く NEEQ(全国中小企業株式譲渡システム、日本のマザーズ市場に相当)上場の VR コンテンツ制作企業 Wasai(哇噻) と提携し、同社の VR ゲームを安価に利用している。

中国のVRアーケードはブームとともに困難にも直面

上海の VR アーケードは今も深刻な問題に直面している。アーケードが口コミで注目を集めるためには、ユーザの VR 初体験を良いものにすることが絶対重要条件だ。上海のアーケードでは、カスタマーの横にアシスタントが待機して何か問題がないかチェックし、時には彼らが見逃してしまいそうなシーンを確実に見せるために頭や体の向きを変えてあげたりしている。

また、長期的に出てくる大きな問題として、マルチプレーヤーゲームがないことが挙げられる。ほとんどの VR アーケードオーナーやカスタマーは、他人と一緒にプレイできないことへの不満を漏らしている。

当店に訪れるカスタマーは、友人と一緒に VR 体験をしたいと思っています。これが現在の私たちの課題です。(Zhang 氏)

VR アーケードはコストのかかるビジネスでもある。上海の賃料が高額であるだけでなく、VR ヘッドセットとコンテンツにも高額の出費が必要になる。

私たちはこの HTC Vive ヘッドセットを(1台)749米ドルで購入していますが、これら VR ヘッドセットの価格は下がっていくでしょう。急速に発展する VR 市場では初期のオーナーは高額の投資を強いられるのです。(Lan 氏)

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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