中国で一番ホットなQ&Aアプリ「Fenda(分答)」で起きているとても奇妙なこと

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中国の有料 Q&Aプラットフォーム Fenda(分答)の出現をめぐってはこの数ヶ月間、多くの憶測記事が書かれている。Fenda は中国で最近一番ホットなQ&Aアプリで、ローンチ後、わずか数週間で大きな波紋を巻き起こした。映画俳優の Zhang Ziyi(章子怡)や投資家の Wang Sicong(王思聰)氏など誰もがこの波に飛び乗ったのだった。

しかし Fenda の現状をめぐってはいくぶん怪しい匂いが漂っている。この2週間、プラットフォームは基本的に閉鎖状態。アプリ自体は動作するのだが、コンテンツが実質何もない。

本当にただの更新作業だろうか?

このようになったのは8月10日で、15日には Fenda の製作会社 Zaihang(在行)が概要メッセージを出し、ダウンタイム発生は「技術的な更新」のためだとして「Fenda をさらに改善する」と約束した。しかし8月23日の時点でプラットフォームは依然閉鎖されたままだ。

「更新」という説明にユーザが疑問を持ち始めたのは無理もない。今では次のように感じている。

数ヶ月前にローンチしたばかりのアプリがもう技術更新をしなくてはいけないのはなぜ? その更新に数週間もかかる理由は? ともかく、Zaihang は運営に問題がなく、支援体制もしっかりしているスタートアップで、Wang Sicong 氏自身も同社に投資した一人だ。このような会社がスケールできない技術を立ち上げ、製品ローンチのすぐ後に数週間もかかる大修復をしなくてはいけないほどの間違いを犯すとは考えにくい。

もっとダークな秘密があるのでは?

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Game of Thrones の質問に答える Papi 醤氏の投稿

実際に何が起きているかは誰にもわからない。そして Zaihang および Fenda の設立者・製作者である Ji Shisan(姬十三)氏も何も語っていない。しかし最も流布している見方は、政府規制当局の関係機関が同社を調査をしており、たとえ一時的であるにせよ、このアプリから全てのコンテンツを削除するよう強制されたのではないかというものだ。

Fenda が規制当局の動きに巻き込まれるというのは確かに起こりうることだ。ユーザのコンテンツ作成を認めているプラットフォームは何であれ、このリスクに直面している。そして Fenda の場合、Wang Sicong 氏のような有名人が「あなたの好きな体位は?」といったユーザからの質問に答えてくれるなどで当初から人気が出た経緯がある。また、Fenda をトラブルに巻き込まないようなそれほどスキャンダラスでない質問でも、他のユーザが(質問者、回答者の立場で)事態をいくぶん拡散させ、中国政府が曖昧な規制の形で設けている、〝低俗コンテンツ〟に抵触してしまう可能性も十分にある。

また、神経質な政治マターなどタブーとされている話題をプラットフォーム上でユーザが持ち出す可能性も否定できない。

もしそれが真実なら、Fendaはどれほど大変な事態に陥っているのだろうか?

巷で広がっている噂が本当なら、Fenda は現実的に政府規制当局の査察を受けているということだ。以下の理由で、何らかのトラブルになりそうだ。

まず、政府は通常、ユーザ作成コンテンツを有するオンラインプラットフォームが自主的に改善する努力をした上でコンテンツを全体にわたり選別する機会を与えるが、それはいつもとは限らない。Fanfou(飯否) のケースを覚えているだろうか? 誰も覚えていないのも無理はない。Fanfou は中国初の Twitter 類似サービスで、Weibo(微博)が現れる前に中国でヒットしていた。しかし政府はこのサイトを閉鎖するよう要求し、統制の比較的容易な大企業(Sina=新浪とTencent=騰訊)が Weibo プラットフォームをローンチするまで閉鎖状態にしておいた。コンセプトは容認するが、大手ネット企業の手の内に留めておいた方が都合良いと政府が判断した場合、これと同じようなことが Fenda にも起こりうる。

次にもっと重要なこととして、Fenda 上での回答は音声録音形式のため、 あまりに性的な内容や政治的なもの、そうでなくとも非合法な内容を含むメッセージの選別が容易ではないという事情もある。Weibo のようなプラットフォームでは、Sina がキーワードのフィルターや他の自動化手法を用いることで、社員が読み込んで人力で検閲しなくてはならない投稿の数を減らすことができる。しかし Fenda の場合、サイト上に投稿されるあらゆる回答を耳にしたり、高度に正確な音声文字変換ソフトにライセンスを与えたりして大事な言葉を見逃さないよう、検閲手段を講じる必要がある。いずれにせよ、政府が Fenda による現行の検閲手法を十分ではないと判断するなら、同社は高価な投資をして問題を解決することになりそうだ。

(中国では、政府自らコンテンツを検閲することはほとんどない。情報発信源や UGC(ユーザ作成コンテンツ)プラットフォームは通常、社内で検閲をするよう要請される。政府が介入するのは会社による検閲が機能していないと判断した時のみである。)

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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