中国にいる海外テックスタートアップにとっては、中国の大手テック企業の協力をとりつけることがビジネスの大きな助けになりうる。
以下に挙げる3つの外国企業は、中国大手テック企業の助力をうまく利用してビジネス拡大や中国進出のコスト削減を実現している。
1. Mei.com(魅力恵)と Alibaba(阿里巴巴)

ラグジュアリー・ファッション販売ウェブサイトである Mei.com(魅力恵) は、中国の e コマース大手 Alibaba(阿里巴巴)とパートナシップを結んだ。Alibaba は2015年7月に Mei.com に1億米ドル以上の戦略的投資を行い、それ以来両社は従来のファッション業界でテクノロジー主導の変革に取り組んでいる。
Mei.com の共同設立者 Thibault Villet 氏は次のように語っている。
今年から Alibaba はビッグデータ技術で Mei.com を支援しており、顧客の獲得コストがこれまでの数分の1に削減できています。
同社は Alibaba のビッグデータ技術を利用して、顧客体験のパーソナライズ化を実現すべく変化しているところだ。リアルタイムの製品パーソナライズに基づいたおすすめ商品紹介を、向こう3ヶ月で導入する計画である。
(ビッグデータは)当社において常に最優先事項です。このようなパーソナライズによってコンバージョン率が30~50%改善することを見込んでいます。(Villet 氏)
Mei.com の次のステップは、Alibaba のビッグデータインフラを活用した顧客体験のパーソナライズである。
これからは間違いなくパーソナライズの時代です。ソーシャルメディアを通じての顧客エンゲージメントは今後さらにパーソナライズが進むでしょう。(Villet 氏)

Villet 氏はバーチャルリアリティにも可能性を見出しており、顧客を刺激するもう一つの方法だと考えている。Mei.com はファッションショーを VR ヘッドセットにリアルタイム接続するファッションアプリの新しいコンセプトについて触れた。
ファッションショーを開催する際、VR 技術を活用するとショーの鑑賞だけでなく参加さえ可能になるかもしれません。これにより顧客体験はより改善し、(クリエイターの)アイデアをよりよく理解できます。今年の終わりまでにこの最新技術のテストを行う予定です。(Villet 氏)
最近のイベントで、Villet 氏は参加者に同社のファッションコンテンツビデオを VR ヘッドセットで体験するよう勧めていた。同社の VR への進出が高品質 VR コンテンツ提供を狙う Alibaba の Buy+プランの一環であるかについては Villet 氏は説明しなかった。
2. Bowhead Technology(巨鯨網路科技)と Foxconn(鴻海/富士康)

Bowhead Technology(巨鯨網路科技)は IoT ボトル「Gululu」のメーカーで、台湾に本拠を置く国際的メーカー Foxconn(鴻海/富士康)とパートナーシップを結び、Kickstarter プロジェクト向けの同社ハードウェアの量産を任せている。このキャンペーンは当初の10万米ドルという目標設定額の2倍以上である20万6,016米ドルを集め、今年7月に終了した。
Bowhead Technology の設立者で CEO の Alvin Chiang(江志強)氏は TechNode(動点科技)に対しこう語っている。
Foxconn は帝国のようなものです。私たちが協業している事業部は多くの工場を所有しており、ごく近いサプライヤーの中には Thermos 向けのボトルを製造した経験がある会社がたまたまありました。Foxconn のベンダーネットワークと供給能力は極めて優れています。
Chiang 氏は中国の SNS サイト Renren(人人)の元 CMO であり、また Alibaba グループの VP だったこともある。このことから、巨大製造業 Foxconn とコンタクトをとることが比較的容易であった。

私は台湾人なので台湾のトップ製造業の何社かに紹介されました。ですので Foxconn に紹介してもらうのも比較的簡単なことでした。
Foxconn も幾多のスタートアップの失敗を見てきているためこのプロセスには大変慎重でした。同社はこの製品の潜在能力を独自に検討して判断し、私たちが3回のプレゼンテーションをした後にはこのプロジェクトを実行するのに十分な確信を持ってくれました。(Chiang 氏)
アメリカでは54.5%の子どもが水分不足に陥っているという調査結果に基づき、Gululu のボトルは子どもが水を飲む習慣をゲーム化して、ボトルの中のバーチャルペットの世話をするために子どもが水を飲むようにデザインされている。親はクラウドベースのアプリを通して子どもが水を飲んでいるかを確認できる。FDA 承認済ボトルはファームウェアと水の消費量を記録するセンサーを内蔵しており、たまごっちのようなアニメーションが表示される。
もちろん、これらの機能をつけて製造するのはとても費用がかかります。つまりこれはプレミアムで高品質な製品なのです。中国(企業)でも高品質製品が作れることをどうしても示したかったのです。Foxconn でなければ、このように安全で耐久性のある製品は作れませんでした。(Chiang 氏)
3. Udacity(優達学城)と Didi Chuxing(滴滴出行)

シリコンバレーに本拠を置くオンライン教育企業 Udacity(中文名:優達学城)は中国トップのタクシー配車企業 Didi Chuxing(滴滴出行)と提携し、中国市場に進出して共同でコネクテッド自動車のプロフェッショナルを育成しようとしている。
Udacity は水曜(9/14)、Didi Chuxing、メルセデスベンツ、NVIDIA、Otto の各社と提携し、自動運転技術開発のためのエンジニアを育成することを発表した。それ以前に Udacity は Didi Chuxing とタイアップして10万米ドルの賞金を獲得できる機械学習コンテストを5月に開催している。
実社会でのスキルと相応な教育、そして雇用との間にあるギャップを埋めることを目的として、同社は4月に「ナノ学位プログラム」を中国で展開した。ナノ学位プログラムは有料の短期集中型資格取得コースで、参加者はソフトウェア開発者などの技術職に向けてトレーニングを受けることができる。

火曜日(9/13)に Chinaccelerator(中国加速)により上海で開催された NewCo(科技創新節)というイベントのホストには、Mei.com、Bowhead Technology、Udacity がともに名を連ねた。彼ら企業は参加者を自社内に招待し、ビジネスがどう運営されているかを紹介した。
Image Credit: Mei.com, TechNode
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