2016年に成長が期待される、韓国の物流分野スタートアップ5選

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CC0 Public Domain Image credit: Pixaway

スタートアップや中小企業にとって、配達を含む物流はかなり負担になる部分である。正しく作られた食品であっても、出荷の過程で誤って配達されたり、消費者の好みの時間に届けられなかったりすることがある。海外発送の場合は、コストも大きな問題だ。スタートアップの悩みの種の一つである、物流分野でのソリューションを提供するスタートアップを紹介する。

Barogo(바로고)

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消費者に身近な「配達の民族(Woowa Brothers または 배달의 민족)」や「ヨギヨ(요기요)」など、配達サービスを持たない外食産業の出前仲介のサービスもある一方、「Barogo(바로고)」は以前「2016年に成長が期待される、韓国のO2Oスタートアップ5選」の記事で紹介した「FoodFly」のように自前で配送網を保有している。ただし、これらの会社とは異なる点として、Barogo は食品だけでなく、バイク便として全商品を扱う。

Barogo は、小規模企業が乱立するバイク便業界で、市場統合をリードする配達代行業者だ。消費者の立場から多数が乱立するバイク便市場を、Barogo だけで十分にしたのだ。Barogo は、全国に150社以上の協力ネットワーク(本稿執筆時点でドライバー8,300人)を保有しており、最近では、一般消費者だけでなく、企業向けサービス(B2B)拡大にも関心を持っている。

Barogo は既に正常にビジネスを成長させているが、今後は、自前の配達人材を保有する 「FoodFly(푸드플라이)」 や「Coupang(쿠팡)」の成功事例をベンチマークする必要があるだろう。バイク便は、消費者に単にモノを配達という側面に加え、購入プロセスのラストマイルとして、消費者体験とも密接に関連しているからである。

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MyChango(마이창고=私の倉庫)

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シェアリングエコノミーは、自分が所有する資産を活用して第三者に利益を提供し、付加的な利益を得ることが基本的なコンセプトである。広義で解釈すれば、「活用方法が特定された資産から、共有プラットフォームを通じて新たな活用価値を発掘すること」が、シェアリングエコノミーの定義であると理解してもいいだろう。宿泊分野では Airbnb、自動車分野では Uber が最も代表的な事例だ。しかし、シェアリングエコノミーのコンセプトは、住宅や自動車以外の分野でも多様に活用することができる。

MyChango(마이창고)」は、倉庫の分野にこのようなシェアリングエコノミーのコンセプトを導入している。これまでの倉庫業界は、多品種・少量の物品を取り扱うのが容易ではなかった。管理の手間が増えるのに比べて規模は大きくないため、収益化が容易ではなかったからである。その結果、ほとんどのスタートアップや中小企業は、物流を自ら処理する必要があり、それはかなり負担の大きいものだった。

MyChango は、小規模なスタートアップと物流倉庫をつなぐプラットフォームを提供する。MyChango のプラットフォームを使うことで、小規模スタートアップは物品の保管や出荷に関わる物流の負担を減らすことができ、倉庫会社は新たな利益の機会を得られることになる。

Zuper(주퍼)

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誰かに直接宅配便を送るのは、思ったよりも面倒なことである。 注文したものを返品する場合を除き、まずモノを入れる箱を見つける必要がある。モノによっては、破損しないように緩衝材が必要になる。状況によっては、自分にあった宅配便の受取時刻を予約することも容易ではない。

Zuper(주퍼)」は、宅配便サービスを経験した消費者であれば、誰もが一度感じたそのようなニーズを満たすためのサービスを提供する。消費者が出荷したい商品を写真に撮って送信すると、1時間以内に「Zuperman」がモノを受け取りに来てくれる。現在は、ソウル市内のカンナム(江南)区・ソチョ(瑞草)区・ソンパ(松坡)区を中心に、基本料金1万ウォン(約910円)でサービスを提供する。

Zuper がリアルタイムの出荷品受取と梱包サービスを提供するアイデアは素晴らしいが、1万ウォンの基本料金は、やや不合理に感じられる。10kg以下の宅配便料金は、通常6,000〜7,000ウォン(約550円〜640円)だが、Zuper を利用する場合は、追加費用が3,000〜4,000ウォン(約270円〜370円)追加で発生する。最終的には、パッキングから1時間以内に受け取りに来てくれることが必要な消費者を中心に、Zuper のサービスが利用されていく可能性が高い。

Helloship(헬로쉽)と Tradlinx(트레드링스)

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アメリカに住んでいる人が、韓国のオンラインモールで商品を買うのは簡単なことではない。 オンラインモールで海外配送サービスを提供していても、一冊の本の送料で少なくとも2〜3万ウォン(約1,800〜2,700円)にも達する費用を負担しなければならないからだ。国際物流でのコスト削減は明らかに必要なことだが、DHL や Fedex など一部の大企業や郵便が支配している市場や、複雑な海上物流市場で、明確な差別化されたサービスを見つけるのは容易ではないようだ。

Helloship(헬로쉽)は自社開発した統合管理システムにより、比較的低コスト地域の物流網を活用することで、安価な国際物流サービスを提供する。その配送網で補完できない地域では、DHL などを通じた B2C 宅配サービスを提供する。

Helloship が航空物流市場のスタートアップである一方、Tradlinx(트레드링스)は海上物流に特化したスタートアップで、コンテナ単位のバルク貨物だけでなく、少量の貨物も取り扱える点が特徴的だ。輸出入企業が Tradlinx のウェブサイトに情報入力すると、最も安価な運賃と輸送時間を提供する貨物手配業者を教えてくれるしくみだ。

今回紹介した物流分野のスタートアップはすべて、既存の物流ネットワークを自社のプラットフォームを通じて、消費者やスタートアップにつなぐサービスを提供している。プラットフォームを通じて、単なる接点を提供するだけにとどまらず、これらのスタートアップが持続して発展していくことを期待する。

【原文】

【via BeSuccess】 @beSUCCESSdotcom

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