人工知能によるユーザ嗜好プロファイリングで、記事管理を自動化できるアプリ「StockMark」がパフォーマンスを向上して登場

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東京を拠点とするスタートアップ StockMark は15日、人工知能を使ってユーザの関心や嗜好をプロファイリングすることにより、記事管理を自動化できるアプリ「StockMark(ストックマーク)」のバージョン2.1をリリースした。iTunes AppStore からダウンロードできる。

今年4月のバージョン 1.0 リリース以来、約5ヶ月間をかけて機能やインターフェイスの改善に努めてきた StockMark だが、今月初めに公開されたバージョン 2.0 からは UI やデザインが一新され、記事の一覧性や検索性が向上。さらに今週公開されたバージョン 2.1 では、クラウド側で定期的に記事データを取り込んでプロファイリングすることにより、よりスムーズな記事データ連携を実現させている。StockMark のチームは、ここから本格的なサービス展開への新たな一歩を踏み出すことになる。

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林達氏

StockMark は今年4月、日本の大手商社に勤務していた林達氏をはじめ、技術者4人が中心となって設立され、リクルートホールディングスのスタートアップ・アクセラレータ「TECH LAB PAAK」の第3期から輩出された。

流通するニュースやシェアされる記事の量が圧倒的に増えた昨今、人々が情報を取り入れる際のユーザの行動形態も変化している。典型的なのは、さまざまなニュースや記事をチェックしながら(フロー型)、Evernote、Pocket、はてブ(はてなブックマーク)などのウェブ情報管理ツールを使用して「あとで読む」を行い、そして、それを後で読もう(ストック型)としてみる。…のだが、実際には、忙しいユーザには、後で読まれないことも少なくない。ニュースのヘッドラインや記事のタイトルを見て気になったものの、読もうとしながら結局は読まれない記事を StockMark では「死蔵記事(しぞうきじ)」と読んでいる。StockMark が挑戦するのは、この死蔵記事を減らすことだ。

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StockMark では前出のウェブ情報管理ツールと連携、クラウド側に準備された人工知能により、ユーザの情報に対する嗜好を機械学習し、ユーザ毎のプロファイルを生成する。「あとで読む」をつけられた記事は、ウェブスクレイピングで内容が取得され、形態素解析(tf-idf 法)を経て、10個の情報カテゴリに自動分類される(スマートカテゴリー)。ユーザには、モバイルアプリから朝・昼・夕・夜の4回にわたり、シチュエーションに合った情報が要約の付された形でレコメンドされ、それを情報管理ツール、ソーシャルネットワーク、グループウェアなどで容易にリンク共有できるようになる。

Twitter で記事を「Like」するだけでも、興味のあるニュースや記事を取り込んでいきます。将来的には、カレンダーアプリなどとも連携し、これからの予定に紐付けて、関連するニュースを一括でとれるようにもしていきたい。(林氏)

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林氏らは、情報が増え続ける中でユーザは情報をシェアすることが多くなる一方、それらの情報を管理するノウハウが求められていることに着目。ブックマークツールがあまり進化していないことに原因があると考えたものの、そこには既にユーザが使い慣れた数々のアプリが君臨しており、後発で参入するにもユーザのスイッチングコストが高い。StockMark の位置付けを、インプットツールとアウトプットツールの間に介在する〝情報の整理役〟と定め、「ユーザの興味を一番理解しているサービスに育てたい(林氏)」と抱負を述べた。

現在のところ、StockMark の経営形態は完全なるブートストラップモードだ。将来的には、フリーミアムなどのメニュー展開もあり得るが、可能性のあるビジネスモデルの確立にはまだ至っていない。林氏は「投資家からの評価はあまりよくない」と現況を吐露していたが、多くのユニコーンが当初は投資家の評価が高くなかったことを考えると、新しいコンセプトのサービスが、初めから万人の高評価を受けるのはむしろ稀かもしれない。林氏は、このような技術やしくみを欲しがる企業からの買収など、さまざまな選択肢を念頭にエグジットを狙いたい、と今後の野望を熱く語った。

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