女性の安全運転を応援するインドネシアのスタートアップ「Queenrides」

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Queenrides Founder Iim Fahima Jachja
Queenridesの設立者Iim Fahima Jachja氏.Image Credit: Queenrides

ジャカルタを訪れた経験のある人なら、市内の交通安全状況に課題があることはわかるだろう。データがそれを証明している。

Queenrides の設立者 Iim Fahima Jachja 氏はコーヒーを飲みながら e27にこう語った。

民間セクターのデータによると、過去3年で女性のドライバー数は著しく増加しており、増加率は平均して42%に上ります。一方、インドネシアは交通安全状況で言えば最悪の部類に入ります。我が国の交通事故死の統計数値は世界でも上位です。

さらに、同社が先ごろ行った調査によると80%の女性が毎日仕事のためバイクや乗用車を利用しており、最大で一日4時間運転しているという。

交通事故の被害にあう女性の数はこの2年で46%増加しています。(Jachja 氏)

被害件数の増加や女性たちが日々直面する道路上の安全問題とは裏腹に、自動車業界や政府は女性ドライバーの安全問題についてはあまり関心を持っていないようだと彼女は熱く語る。

自動車業界は常に男社会です。これが、被害件数が増加しているにも関わらず、この問題が改善されていないことの原因だと考えます。もしくは、気づいていてもただの数値としてしか捉えていないのかもしれません。(Jachja 氏)

このような懸念が結果として Queenrides 設立につながった。このプラットフォームは一見どこにでもある女性向けライフスタイルウェブサイトのようだが、記事の内容を読んでみるとその違いがわかる。

Queenrides は女性の安全運転を応援するオフライン・オンライン両方のプラットフォームだ。国際 NGO の Global Road Safety Association とパートナーシップを組み、安全運転についての記事を制作、発行し、安全運転の大切さを呼びかけるイベントも開催している。

私たちのアプローチは安全運転を1つのライフスタイルと捉え、ファッショナブルに提供するというものです。(Jachja 氏)

Jachja 氏はメッセージを発信することによる生の会話の効果を強く信じていることから、同社はオフラインとオンラインプラットフォームを組み合わせている。

注意を広く喚起したいのであれば、オンラインプラットフォームだけでは不十分です。対面式の会話が必要なのです。(Jachja 氏)

また、同プラットフォームは安全運転関連商品を扱う e コマース機能も持ち合わせているが、現在は休止中だ。「より良いシステムへと改良中です」と Jachja 氏は説明する。

同スタートアップは現在6名のチーム(ほとんどが女性)で運営しており、全員ジャカルタ市内の別々の場所からインターネットを介して仕事をしている。

Jachja 氏は Queenrides が設立以来ずっと自己資金で運営していることに誇りを持っている。事実、同社は来年までに損益分岐点に到達するという。

私は当初から投資家からの資金調達は行わない主義です。あり得ません。ビジネスをやるということは、売り上げを得ることや自身で維持できることを証明しなければならないと思います。そして私たちは設立段階から利益を計上できています。

こう彼女は語り、同プラットフォームの収入源がブランドマーケティングと広告にあると説明する。

同社は日本の大手自動車メーカーのホンダや地元の大手コスメブランド Sari Ayu といった数々のブランドと提携している。

先の話をすると、Queenrides はさらにその使命を果たすべく11月に新製品をローンチする予定だ。Jachja 氏は製品の詳細については明言を避けたが、その活用可能性のヒントを教えてくれた。

私たちが行っていることは基本的にはステージ1の段階です。全くゼロだった安全運転に対する認識を生み、何かを変えるためにその認識を広めていくということです。(Jachja 氏)

次はイニシアチブによって手に入れた知識を実行に移す段階だ。

彼女は次のように締めくくった。

次のステージでは、女性の行動を追跡することで、彼女らが交通事故に巻き込まれる件数を減少させられることを数値で証明したいと考えています。私たちが今取り組んでいるのはそのためのテクノロジーなのです。

【via e27】 @E27co

【原文】

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