DeNAがアメリカのゲーム子会社を解散・清算——任天堂との提携で、世界市場でのプレゼンス挽回を狙う

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スーパーマリオランは、今も DeNA の東京オフィスで開発が続けられている。
Image Credit: Nintendo

ゲームの世界では、ある地域での成功を他の地域への持って行くのは難しい。そのことは、DeNA に聞いてみると良いだろう。

DeNA は、同社の欧米オペレーションを管轄してきた子会社にあたる、サンフランシスコの DeNA Global の解散および清算を始めた。DeNA はモバイルゲームにおける初期を牽引した一社だったが、現在では366億ドルにおよぶこの業界のトップ10に入っていない。同社は任天堂との提携関係の強化に集中する模様だ。

DeNA の投資家向けに通知には、次のようにある。

ゲームビジネスにおいては、DeNA は3つの主要地域—日本・中国・欧米—に集中してきた。2016年3月31日に終わった会計年度で、DeNA は組織構造と欧米向けのゲームポートフォリオを最適化し、それ以来、リーン的に欧米市場向けゲームを開発してきた。しかし、これらのゲームは期待に応えることができず、DeNA は DeNA Global を含む欧米子会社を解散・清算することを決めた。

DeNA には、モバイルゲーム初期の時代に「神撃のバハムート」などのヒット作があった。このカード収集ゲームは Blizzard Entertainment が「ハーストーン」を発表するまで、長きにわたり日本や他の地域を独占してきた。しかし、同社は、特にアメリカのような重要な欧米市場で、これらの初期の時代のヒットを継続的な成功につなげられなかったようだ。それが今回の撤退につながった。

DeNA はアメリカからその姿を消そうとしているが、アメリカや周辺市場を捨てようとしているわけではない。

DeNA はこの地域での戦略について、地元に制作スタジオを開設して開発することから、外部のパートナーとの協業への変更しようとしている。

ゲーム市場アナリストの Serkan Toto 氏は、DeNA が任天堂の次期モバイルゲーム「スーパーマリオラン」に多くの開発工数を割いていると報じられる以前に、Twitter 上の投稿で今回の閉鎖について言及していた。

1) スーパーマリオランについて:これは依然として、12月リリースに向けて開発が続いている。驚くべきことに、このゲームは任天堂ではなく、パートナーである DeNA によって開発されている。

スーパーマリオランは12月にリリースが予定され、マリオを創作した宮本茂氏は、個人の立場から今回のゲームを監督している。つまり、任天堂はデザインを担当し、ゲームの監督に責任を負っていることになる。しかし、DeNA は開発を担当している。

DeNA は任天堂との提携内容における一部としているが、このスキームでは、DeNA の役割が、任天堂の当初言っていたよりも大きなものになっている。DeNA は、同社が持つ SaaS の専門性を提供することで、任天堂の今後のモバイルゲームやコンソールゲーム向けのネットワークを扱うと考えられてきた。しかし、任天堂は、ゲーム開発を扱うことになると明らかにした。任天堂がスーパーマリオを走らせると決めたときに、すべてが変更されたのかもしれない。

DeNA は現在、任天堂との取引で、これまでで最大の責任を負っている。専門家はスーパーマリオランを15億人がダウンロードすると予想しており、任天堂との提携関係を続けるためにも、この権利をぜひとも手に入れたいと考えているのだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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