中国のリビングルームに家族団らんが戻ってくる——今度は質の高いビデオコンテンツ付きで

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この3年でテレビから離れ携帯端末に溺れていた中国のウェブユーザは、日々のエンターテイメントで昔ながらのリビングルームでの家族団らんに戻って来ようとしている。

リビングルーム関連テック市場の成長に伴い、中国では2017年末までにネットに接続されたテレビが2億5,000万台に達し、この国で最も一般的な一家族3人で計算すると7億人以上もの視聴者をカバーするとみられる。この業界周りで形成される市場規模は2020年までになんと6,300億人民元(930億米ドル)ほどになると調査会社 AVC が試算している。

すでに言われているように、変化の兆しはある。中国の動画ストリーミング最大手 Youku(優酷) のデータによると、OTT(オーバーザトップ)ボックス対応のリビングルーム用テレビ画面からのトラフィックは、携帯端末に次いで二番目に多いパソコン経由のトラフィックをしのぐ勢いだという。この勢いは想定以上であるが、デジタル時代にうまく適応しているミレニアル世代が結婚して子どもが生まれてから家庭への関心が高まっていることを考えると当然の動きでもある。さらに、リビングルームでの光景は昔とは違って動画や音楽のストリーミング、ゲーム、ショッピングなどエンゲージ率が高く、インタラクティブな体験ができるようになっている。

人口動向の変化は著しい。かつてテレビの視聴は古臭い習慣と思われていたが、今では若い世代の間で好まれるようになっている。中国で最大規模を誇る Alibaba(阿里巴巴)のエンターテイメントプラットフォームで大半を占める74%のユーザは35歳未満だ。

このトレンドはしばらく続きそうで、国内企業にとっては巨大な商業機会が生み出されようとしている。中国のインターネット大手 Alibaba は数年前より、Tmall Box(天猫魔盒)と関連のコンテンツエコシステムをローンチしてデジタルリビングルーム業界へのアプローチを拡大してきた。

同社には野心的な計画があるが、Tmall Box やハードウェアはその一角をなすにすぎない。Alibaba は今週(10月第3週)、テレビメーカーの協力も仰ぎつつ、中国語コミュニティ向けにプレミアムコンテンツエコシステムを作るという目標を発表した。この取り組みは、同社が今年4月に買収した Youku が提供する質の高いコンテンツでの収益化が中心となっている。

この計画の下、Alibaba のデジタルエンターテイメント部門(これまでに2,000万のアクティブユーザを獲得)は Youku Tudou(優酷-土豆)との事業統合をさらに進めてブランド、コンテンツ、データ、メンバーシップ、商業化計画でシナジー効果を生み出していく予定だ。この提携には Youku の他に、Disney、 BBC、Hasbro、DHX、LEGO、CCTC Animation、CJ など有名どころの国内外コンテンツプロバイダーが勢ぞろいしている。

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家庭生活の中で子どもの占める重要な立場を踏まえ、Alibaba のデジタルリビングルーム戦略は教育コンテンツが最上位に据えられている。今回の発表では同時に子ども向け製品が2種類リリースされた。それはモバイルアプリと OTT ボックスで、いずれも子ども教育コンテンツに特化したものだ。

この他、テレビ向け YunOS のバージョン6.0へのアップデート、Youku VR、Youku 3D-VR カメラも注目された。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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