音楽SNSアプリ「nana」を展開するnana musicは10月19日に有料課金サービス「nanaプレミアム」をiOS版のアプリにて提供開始すると発表した。月額580円で拍手数順に楽曲のソートをかけられる機能や、エフェクトの追加、投稿サウンドをマイページのフィード上部に固定表示できる機能などを提供する。同社は今後も有料課金ユーザー向けに追加機能を提供する予定としている。
nanaはユーザーが伴奏した楽曲や歌声などを組み合わせて新たな楽曲コンテンツを作ることができるソーシャルネットワーク。
同社代表取締役の文原明臣氏によれば、2012年11月に公開されてから8月時点での累計の楽曲投稿数は3100万曲で、再生回数は11億回以上、登録したユーザー数は250万人を超えている。来年1月このままの推移でいけば来年1月には300万人の数字が見えてくるということだった。
「僕たちの成長エンジンってみんなが歌ってそれを投稿して、それがシェアされてまたそのフォロワーの人たちが入ってきてっていうサイクルなんです。ただ課題として入ってくるハードルをすごく下げようと登録時に何も情報を取らなかった結果、よく分からないままいきなりnanaの世界観に放り出される人もいて離脱してしまうこともあるようなのです」(文原氏)。
ユーザー層が若いことや、集まるコンテンツがボーカロイドやアニソン中心ということもあって、とっつきにくいと感じた人が定着しない問題は認識していて、今後はカテゴリ分けや個人の情報に基づいたパーソナライズのような機能も考えているそうだ。
では今後の成長はどこまで続くのだろうか?
文原氏は国内でどれだけ頑張っても3000万人が上限で、やはり海外の伸びが必要になると語る。
「現在7割ぐらいが国内なんですが、これを逆転させたいと考えています。今、ユーザー数で多いのがタイや北米、スペイン語圏でもうすぐ4割ぐらいになりそうな勢いになっています。Android版が中心でASO(アプリ検索最適化)をしっかりやった結果です」(文原氏)。
国内では楽曲を演奏する人たちのコラボレーションが始まって、そこに歌いたい人たちの声が乗ることでコンテンツが増えた。そのやり方を海外でも同様に実践すれば「歌声はノンバーバルなので」そのまま他国展開できると考えているようだった。
課金についても当初は投げ銭モデルをやったらどうかなど、いろいろなアドバイスがある中、ひとつのポリシーで今回のモデルを選択したのだそうだ。
「マネタイズについては葛藤がありました。ビジネス的には法人向けの広告展開もやってますし、いろいろな方向性がある中、この熱量の高い人たちと一緒にコミュニティを支えられないかなという想いがあったんです。音楽が好きな人たちがより便利で楽しめる世界を作れるように一緒に支える、そういうやり方が一番なんじゃないなかって」。
数年来 nana のコミュニティを大切にしてきた、彼らしいビジネスモデルではないかなと感じた。
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