
一見すると、Eコマースを始めるのはさほど難しくはないように思える。しかし、販売者は不正取引など多くの問題に直面することになる。小規模ビジネスにとって、不正取引を防止するしくみは、問題を是正するための情報がほとんど得られない割には、非常に高価なものになる。Stripe は長年にわたり、社内で不正取引検出システムを開発し調整してきたが、それが今日(10月19日)、同社の顧客にも利用可能となった。
この機能は「Stripe Radar」と呼ばれ、Stripe 上のすべての販売者は、特有の販売行動に対して洞察を与えてくれる、この検出アルゴリズムにアクセスできるようになる。それだけでなく、提供されるツールキットを使うことで、顧客は自社のワークフローに、この機械学習ツールをカスタマイズして導入することができる。ワークフローを機械学習ツールに合わせるのではない。
Stripe の共同創業者 John Collison 氏は、次のように説明した。
さまざまなインターネットビジネスの人と話をすると、不正取引が大きな痛手になっているとよく聞きます。オンラインで取引したり、ビジネスしたりする人は、誰でもこの問題を抱えています。
彼によれば、現在も機械学習を基にしたシステムが存在するものの、実際に取引で何が起きているかを検出するのは、往々にして難しいのだそうだ。不正取引が数件検出されたら、プリペイドカードの利用を全面禁止するような、あらかじめ設定したルールや経験則に基づいた検出方法は、通用しなくなってきている。
不正取引の検出を正確に行う方法は無い。(Collison 氏)
我々は現在、力になる非常に多くのデータを持っています。これまでに、全アメリカ人のほぼ半数が、Stripe が決済機能を提供する事業者からモノを買っていますから。(Collison 氏)
通常、あるシステムが不正取引を検出・登録すると、そのカードの利用がブロックされるが、事業者側にはその理由が通知されない。 Stripe Radar はより詳しい情報を提供する。あるカードが偽物である可能性が高いので使えない、ということだけでなく、偽物である可能性が低いときものそのことも伝えてくれる。結果的に間違った理由でカードの取扱を拒否してしまった場合、販売者は販売機会を損失することになるからだ。

Image Credit: Stripe
しかし、Stripe は、すべてのビジネスに一つのモデルだけでは対応できないと考え、販売者がやりやすい方法で Stripe Radar を使えるようにツールキットを開発した。Collison 氏は、完全なカスタマイズ連携と機械学習を不正取引防止システムに導入できる、初めてのものになると確信している。例えば、プレミアム商品を扱う会社を運営しているなら、ある一定額以上の怪しい取引について通知させるように Stripe Radar を設定しておき、決済にあたって、その顧客に直接コンタクトすることもできる。しかし、国際取引にはどう対応すべきか、あるいは、一枚のカードが1日に複数回使われたらどうすべきか? それは、販売者が自分で決めることができる。
Stripe のダッシュボード上には、 Stripe がブロックしたリスクの高い決済の回数と、既存のルールに基づいて防御された決済の回数を表示されるようになる予定だ。その販売者にとっての不正取引発生率も表示されるようになる。
Stripe の新しい不正取引防止ツールは今日からすべての販売者に利用可能になり、同社のビジネス向けサービス Atlas に参加する国際起業家も含め利用可能である。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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