東南アジアで人気のフリマアプリ「Carousell」が収益創出にそろそろ本腰?——中古車売買アプリの「Caarly」を買収

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Photo credit: Carousell.
Photo credit: Carousell.

最近では Carousell で車まで見つかることはすでにご存じかもしれない。もしご存じなかったのなら、そう、最近では Carousell で車まで見つかるのだ。シンガポールに拠点を置く P2P マーケットプレイス Carousell は、より多くの人がサイト上で車を売買したいと考えていることに気付き、この度、その要望に応えることにした。

同社がシンガポール発のモバイルファースト中古車マーケットプレイスおよび販売代理店ツール Caarly を買収したことを今日(10月27日)発表したのは、それが理由だ。取引の詳細は非公開。Caarly のチームがそのままCarousellに加わり、プロダクトは今まで通りの予定だ。

Carousell は、PropertyGuru の前マネージングディレクター Winnie Khoo 氏をシンガポールとマレーシアのゼネラルマネジャーに、インドのアドテク企業 Komli Media 出身の Rakesh Malani 氏を CFO に任命した。

Caarly の買収によって Carousell は中古車のクラシファイド広告を改良し、自動車販売代理ビジネスを自社プラットフォームに組み込むことが可能となる。

Carousell の共同設立者で CEO の Siu Rui Quek 氏は声明で次のように話した。

この4年半で、Carousell もユーザも成長しました。シンガポールのユーザの半数以上が現在25歳以上で、購買力が著しく高まっています。彼らの進化するニーズの結果として、リスティングの増加や車などのより高価な商品に対する需要の増加があります。

同スタートアップは、まずはシンガポールのディーラーによる中古車リスティングサービスから開始し、将来的には他の市場にも参入したい考えだ。現在プラットフォームは14の都市で利用可能となっている。

Rakesh 氏は Tech in Asia に次のように話した。

Caarly は、中古車ディーラー業界と素晴らしい関係性を築いてきました。Carousell と Caarly、二つのチームは今後密接に協力し合うことになりますが、Caarly とディーラー間のビジネスのやり方は今までと変わることはありません。

Carousell はユーザ数を明かしておらず、4,100万以上のリスティングを掲載している、としか明かしていない。過去にはパーソナルセーフティアプリ Watch Over Me を acqu-hire し、有能な人材を獲得した。

同スタートアップは8月に、Rakuten Ventures がリードしたシリーズ B ラウンドで3,500万米ドルを調達している。このラウンドには Sequoia India、Golden Gate Ventures、そして500 Startups も参加した。

Caarly は2015年1月に Wavemaker Partners から非公開のシード資金を調達している。Wavemaker は10月上旬、モバイルマーケティングスタートアップ Art of Click もイグジットしている。フィリピンのモバイルインターネット企業 Xurpas が Art of Click を3,000万米ドルで買収した後のことだ。

Carousell’s founding team. Photo credit: Carousell.
Carousellの設立チーム.Photo credit: Carousell.

今こそ穫り入れの時

Carousell のプラットフォーム上で、個人売主と併せてプロの販売業者を置くことに納得がいかない人たちもいるだろう。マーケットプレイスが持つコミュニティ要素が薄れてしまわぬよう慎重を期す、と Siu Rui 氏も発言している。しかし、Carousell のユーザたちが当然彼ら自身の円熟する人生において見出しているように、いかにして金銭を稼ぐかという永遠の課題に取り組むことも、成長過程の一部なのだ。

会社をマネタイゼーションの道のりへと持っていきたいと私たちは考えています。(Rakesh 氏)

さらに、自身の存在が、商品やビジネスのさらなる構築へとマネジメント全体がフォーカスすることにつながるのだと同氏は付け加える。

利用料無料という前提の上で大きなコミュニティを育んできたサービスから収益を得ようという課題は、特に Carousell が同様のサービスを提供する Shopee などとの競争に直面していることも考えると、そう容易なことではない。

Rakesh 氏は、プラットフォームのネットワーク効果と偏在性がマネタイゼーションへの好機を産んでくれるだろうと期待している。

これだけの固定ユーザベースがあると、マネタイズする方法はたくさんあります。最も簡単な方法の一つがプレミアムリスティングです。ユーザの一部は、リスティングをより高い位置に、より目立って表示させるという利便性を求めるでしょう。

Rakesh 氏はこのように話しつつも、プラットフォームの使用に際する課金をすべてのユーザが心配しなければいけないというわけではない、と説明する。

このようなソリューションやアプリ内に業者を置くことが長期販売者を遠ざけることにはならないか、という質問に対し、Rakesh 氏は、チームは常にユーザの声に耳を傾けていると答えた。そして、Carousell のすべてのマーケットが皆同じ段階にあるわけではないという。

いつどのマーケットでどのツールを展開するかということに対して、私たちは敏感です。(Rakesh 氏)

シンガポールは Carousell にとって成熟した市場のため、新しいことを試す余地を与えてくれるのだという。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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