Facebook の嘘ニュースから見えるテクノロジーの課題、再定義された未来に必要なこととは?

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Image Credit: Vivek Wadhwa

Facebookは選挙後に偽情報の拡散を助長したと非難され、守りに入っている。数日間、マーク・ザッカーバーグ氏は彼のネットワークが選挙結果に影響を与えていないことを強く主張した。しかし従業員とメディアからの激しい批判の後、それを裏付ける証拠が発見されるや彼は苦しみながら責任を取った。Facebookの調査、報告、およびニュース検証の改善をを約束したのだ。

一方で Twitter はずっと悪く、凶悪犯やトロールがユーザーを悩ませるのを放置している。数年来、プラットフォーム上の多数の偽のアカウントボットは周知の通りにも関わらず、大したことはしてこなかった。ハイテク業界はこれに伴う責任を認めずに、出版やコミュニケーションといった分野に参入している。

差別的な発言に反対する法律があるので、新聞はソーシャルメディアでよく見られる扇動的な記事を敢えて出版するようなことはない。しかしソーシャルメディアのプラットフォームは、ネットワーク上で何が起こっているのかについて責任を負わせる明確な法律がないために無視を決め込んで逃げ続けているのだ。

法律と倫理のギャップは、技術が進歩するにつれて指数関数的に増加している。私たちが暮らしている倫理規定とそれに従う法律の変化は非常にゆるやかで、テクノロジーの変化の速度が速すぎるため、対応が難しくなっている。貪欲とか傲慢とかそういう理由じゃないのだ:多くの場合、テクノロジーのクリエイター(およびこれにはおそらくザッカーバーグ氏も含まれている)は、自分たちの創造力と彼らが犯すダメージを理解していないだけなのだ。

こういった類の事象は今後も発生することになるだろう。

コンピューティング、医学、センサー、人工知能、ロボット、ゲノミクスなどの技術は指数関数的に進歩しており、いずれ収束していくことになる。つまり1つの業界が別の業界を侵害し、ソーシャルメディアが出版業界にやったようなある種の破壊を引き起こす可能性を示唆している。

一体誰が大学をドロップアウトしてデートサイトを作ったザッカーバーグ氏がアメリカの選挙結果を変える能力を持つことになると思っただろうか?

テクノロジー業界は、コンピュータ、センサー、および人工知能から医療機器、ロボット、自動運転車を作っている。これらの技術は Uber がタクシー業界を破壊したものや、Airbnb がホテル業界を覆したものと同じ類いのものだ。彼らは Facebook や Twitterのように法律と倫理のギャップを利用して10億ドル規模のビジネスを生み出した。未来が掴んだものはこのようなものなのだ。

その一方でハイテク企業が各分野で支配的なプレイヤーになる準備は整っているだろうか?例えば人工知能によって医師の仕事をすることができるアプリケーションが生まれた時や、Uber の自動運転車が路上に登場して数百万人のタクシーやトラックドライバーの仕事を取り上げた時のことだ。

つまり、私たちは大多数の雇用セグメントが需要に応じて人を雇う「ギグ・エコノミー」というものに移行する準備ができてるか、という話に繋がる。この変化は今後5年から10年で発生すると考えている。

事実として私たちがソーシャルメディアが引き起こした混乱に対する準備が整っていなかったのと同じように、これから発生する出来事に対して準備はできていない。特にハイテク産業は他の産業から得た収益を溜め込むことができる一方、その責任については軽くすることができる。つまり、技術が生み出す問題に取り組むよりも、無害のように装うことの方が簡単なのだ。

ますます普及しているデータネットワークや接続されたデバイスは、迅速なコミュニケーションを可能にしており、生物学、エネルギー、メディアから政治、食糧、輸送まで、これまでにない変化を引き起こしている。 彼らは未来を再定義している。私たちが社会として技術の影響を理解し、議論し、その未来が現実になる前に、その利用方法についてしっかりと議論することが不可欠であることは明白なのだ。

本稿を寄稿してくれた Vivek Wadhwa氏は、シリコンバレーのカーネギーメロン大学の著名な研究員であり、Duke Entrepreneurship and Research Commercialization Center の研究ディレクターです。Twitterのフォローは @wadhwa まで。

【原文】
【via VentureBeat】 @VentureBeat

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