まぶたの下のディスプレイーースマート・コンタクトレンズの時代がもうすぐやってくる

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Image Credit: Screen grab from EGPL’s promo video

未来を知りたいなら、特許事務所を観察するといいだろう。

Google は最近、血糖値を監視してインスリンを自動的に投与することができるコンタクトレンズの特許の全文を公表した。Samsung はほんの数週間前に統合されたカメラ付きのコンタクトレンズを特許出願している

技術革新の次の大きな波は、すべてのウェアラブルの中で最も体と密接したものからやってくることになるだろう。つまりコンタクトレンズだ。まだそこには到達していないが、短期的にはスマートグラスとSnapchat Spectacles がこの「視覚テック」支配することになる。しかし、コンタクトレンズ技術研究の黄金時代もここに正式に始まっているのだ。

世界最大のオンライン光学企業の最高経営責任者(CEO)として、コンタクトレンズに劇的なオーバーホールが始まると宣言しよう。短期間に、そしてさらにこれまでの長い道のりでこの革新的な発明を眺めてみよう。この革新は私たちを伝説的にスマートな「コンタクト」へと導いてくれるはずだ。

レンズ技術を次のレベルに引き上げる

大量生産されたコンタクトは1970年代に初めて登場し、より薄くて柔らかくて安価なレンズ材料、とりわけシリコンヒドロゲルの登場で進歩した。これにより酸素が角膜に到達することが可能になり、コンタクトはこれまで以上に快適になる(さらにはカラーコンタクトも登場する)ことになる。が、実際の機能は大きく変わることはなかった。

多くの点で伝統的なメーカーは、レーシック手術やその他の新技術が市場のシェアに食い込んでいるにもかかわらず、高い利益率のビジネスに固執し、安定的な経営に満足している。それもそのはず、コンタクトは世界中で1億人以上の着用者を抱え、年100億ドル以上のビジネスを生み出しているのだ。

しかしその進歩のスピードは、材料科学の進歩のおかげでますます大きくなるだろう。現在進行中の最初の大きな革新は、安全かつ快適にコンタクトレンズを装着する時間を、約30%を増加させる材料だった。この材質の変化が短期間にレンズの質を向上させ、また、さらにより野心的なコンタクトレンズ機能をイメージさせることにつながる。

例えば軍は、特殊部隊による使用のためにナイトビジョンのコンタクトレンズを開発することに関心を持っている。彼らは赤外線光線をよく検出するために、非常に現実的な科学に裏打ちされた驚異的材料のグラフェンを使用し、小さなコンタクトレンズの中に古臭くてデカかった検出器を入れ込むことに成功している。実際の光増幅量は現時点でかなり低いが、将来の可能性は十分だ。

Alphabet(または Alphabet のライフサイエンス子会社 Verily)は、すでに医療用電子コンタクトレンズ用のテストユニットを製造しているため、高度なコンタクトレンズ材料を過去に考えていたことは間違いない。

そう、彼らは以前 Google X として知られていたチームで、処方レンズに埋め込まれた血糖モニタを制御できるコンタクトを開発していた。インスリンの放出に応じて自動的に無線でデータと電力を送受信することができるものだった。このように着用者に密着することで、e-レンズが黄斑変性のような一般的な眼の健康問題を監視することを可能にするのだ。

まぶたの下にディスプレイが現れる

しかしコンタクトレンズの真の長期的な潜在力 – 主要プレーヤーたちが熱狂的に追求している聖杯 – はディスプレイの類だろう。この種のディスプレイは眼球の動きに追随し、Google Glass が提供するよりもさらにシームレスな体験を目指し、通常の視野に沿って画像を重ね合わせる。

実は本格的なコンタクトレンズ・ディスプレイはここ数年で稼働している。実際にこれは2009年に発表された稼働しているコンタクトレンズディスプレイで、生きている目の中で1セント硬貨の片側よりも小さい表面積、64ピクセルの目に見える配列を安全に動かすことができるものだった。

これらのピクセルは「アクティブ」、つまり光を投影する。

しかしより効果的なアプローチは「パッシブ」なピクセル、つまり、既に周辺の環境から届いている光を単に受信する方法がいいのだ。これによりパワーが節約され、目に負担がかかりにくくなる効果が得られる。

VRと初期のスマートグラスは、既にそれらのピクセルでできることをいくつか提示している。実際に、拡張現実感がコンタクトレンズ技術と共に成熟するにつれ、真に魅力的な可能性が開けることになるだろう。

組み込みのカメラとディスプレイを装備したコンタクトは、現在のゴーグルベースの技術よりはるかに汎用性と没入感のある、究極のARプラットフォームになる可能性を秘めている。興味深いことに主要企業は、コンタクトレンズと互換性のあるiOSアプリを開発する企業に既に投資しており、将来的な可能性を示唆しているだろう。

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Above: EGPL’s smart contact lens wants are designed to support augmented reality

最後に。

技術的タイムテーブルは流動的であり、また、私自身は高度なエレクトロニクスやコンタクトレンズ開発の専門家ではない。しかし、私は自信を持って宣言できる。光学市場が商業リリース可能な製品の開発に焦点を移している、と。古くからの光学産業はかなり遅れているが、Google や Samsung のようなハイテク企業はコンタクトレンズを大いに必要としている。

必要な技術の多くは存在するか、開発中なのだ。メガネのようなウェアラブルに対する消費者の需要が高まっている。これは明確な事実なのだ。スクリーン、カメラ、さらにはアプリと連携するコンタクトレンズは、空想世界のままではなくなった、ということなのだ。

Roy Hessel 氏は眼鏡のオンライン販売事業を手掛ける EyeBuyDirect の創設者兼 CEO です。この記事のアイデアは彼の個人的見解であり、会社の方針を必ずしも反映するものではありません。彼の Twitter アカウントはこちら:@RoyHessel

【原文】
【via VentureBeat】 @VentureBeat

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