人工知能で、訪問介護ヘルパーの訪問先とルーティングを最適化する「ユアマネージャー」がサービスを開始——まずは横浜から

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ヘルスケアマーケット・ジャパンは、横浜を拠点に、テクノロジーで介護業界の改題解決に取り組むスタートアップだ。同社は2日、人工知能を使って、訪問介護ヘルパーと事業所の最適マッチングを行うサービス「ユアマネージャー」を開始した。モバイル向けのウェブアプリとして提供される。

社会の高齢化と有資格者の不足にかんがみ、政府は軽度(要支援1、2)の介護保険利用者向けの生活援助サービスを、低報酬の新方式介護サービス(一定の生活支援内容については、ホームヘルパー資格が無い人でも、2日間の講習を受ければ役務提供ができるしくみ)へと順次切り替える方針をとっているが、採算が確保できない、過当競争で疲弊を余儀なくされるなどの理由から、新方式への参入に向けた介護事業所の姿勢は消極的だ。一方で、そんな中でも、介護事業所は経営を成立させるためには営業エリアを広域に設定する必要が生じ、その結果、訪問介護ヘルパー(有資格者および無資格者共)にとっては、訪問先への移動距離が長くなり、収入減を受け入れざるを得なくなる。

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ユアマネージャーでは、複数の介護事業所からの訪問先(ヘルパーを求めている世帯)のデータを収集し一元化、求職者は仕事したい地域・曜日・時間帯を入力することで、介護事業者を横断して訪問先の案件を検索できる。1日に複数の世帯を訪問することを想定し、ユアマネージャーにはカーナビのルーティング機能に似たルーティング分析のエンジンが備わっており、ユーザが最短の移動時間・移動距離で最大の勤務時間を確保できるよう、おすすめの訪問先案件をレコメンドすることができる。

ヘルスマーケット・ジャパンでは、ユアマネージャーを提供するために、湘南国際アカデミー、テラスケアカレッジ、ケアアカデミー、QOL アカデミー、Willカレッジ、ジョイカレッジ結といった、訪問介護ヘルパー養成施設と提携し、今年2月からテストオペレーションを実施してきた。

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ヘルスケアマーケット・ジャパン 代表取締役 坪井俊憲氏

介護事業所にとって、収入の低さや労働環境の厳しさから訪問介護ヘルパーのハイヤリングは大きな課題だが、彼らには一般企業のようにリクルーティングやマーケティングに予算を割く余裕はなく、ハイヤリングの手段は、事業所の軒先に貼り紙をする程度に限られていた。ユアマネージャーの介在により、介護事業所にとってもヘルパーのハイヤリングがやりやすくなるメリットがある。

ユアマネージャーには、現在、横浜を中心とする契約先の介護事業所100件が扱う訪問先案件と、契約先の介護事業所から提供された情報ではないが、入手可能な横浜周辺の訪問先案件を取り扱っている。3年以内に関東全域、そのほか、大阪や福岡などの都市部にサービスを拡大するのが目標だ。ビジネスモデルとしては、ユアマネージャー経由で提供した訪問先案件についてヘルパーが成約した場合、ヘルスケアマーケット・ジャパンが、その案件の紹介元となった介護事業者から、当該案件についての売上相当額の10〜15%を手数料として徴収する(完全報酬型で、ヘルパーではなく事業所の負担)。

ヘルスケアマーケット・ジャパンは、自身もヘルパーの経験を持ち、訪問看護事業や介護スクール事業の立ち上げ・運営を行ってきた坪井俊憲氏が設立した。これまでに、個人投資家の山岸延好氏やウィルグループインキュベートファンドなどから出資を受けており(調達金額非開示)、横浜のデフタパートナーズが行なったブルーオーシャンサミットでは最優秀賞を受賞している。

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ヘルスケアマーケット・ジャパンのチーム

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