スマホ向けの動画広告およびメディア事業を展開するオープンエイトは11月17日、同社が運営する動画マガジン「LeTRONC(ルトロン)」が渋谷区観光協会の公認メディアに任命されたことを発表した。
今後、渋谷区のスポット情報などのシーンをコンテンツ化し、ルトロンが運営するソーシャルメディア(facebookやTwitter、Instagram、LINE等)やオウンドメディアを通じて発信していく。特に渋谷区観光協会主催のイベントについてはルトロンが公式取材班となり動画レポートを配信する予定。
なお、10月31日に開催された渋谷ハロウィンフェスなどでは即日での動画レポートを配信している。オープンエイトでは渋谷を皮切りに今後、各地と提携を進めてこの展開を拡大する計画だという。
今年に入ってからソーシャルメディア、特にfacebookだが、短尺の動画コンテンツをよく見るようになった。主にはガジェットやテクノロジーの話題、フードレシピ、ビューティー関連のハウツーとパターンは決まってきており、どれも数十秒から1分程度の短尺で、スマートデバイスで視聴することを前提にテロップで内容を伝えるものがほとんどだ。ルトロンもその内のひとつで、5月に立ち上がった。
フォーマットが固まると、当初、各種プレーヤーたちはとにかく再生数やリーチを中心に数字を伸ばし、1本で数千万再生を叩き出すコンテンツも散見されるようになった。一方でfacebookはまだこういった動画コンテンツに対して収益をフィードバックする仕組みを提供していない。つまり、作って配信してもプラットフォーム側からコストを回収することはまだできない状態なのだ。
そこで各社はいくつかのマネタイズモデル、特に企業PR、マーケティングにこのフォーマットを販売することが通例となった。簡単に言えばタイアップモデルで、企業商材をコンテンツ化して配信する。リーチが足りなければプラットフォームの広告を購入して配信量を増やす。
オープンエイトももちろんこの方向性で事業化を考えているのだが、他のファッション・トレンド系動画メディアと違うのは積極的にイベントなど、場所に紐づいたコンテンツに手をかけ始めた点にある。
元々、雑誌っぽい作りということもあって、現地ロケ(レストランやホテルなど)の入ったコンテンツを多用していた。今回、渋谷区と連携してイベントコンテンツを即日で配信できるようになったのも、そういったフォーマットを用意してきたからだそうだ。
同社代表取締役の高松雄康氏によれば、現在動画製作の体制も整いつつあり、現時点で月間180本の配信まで可能になったという。今後、年明けには倍の360本を目指すそうだ。
また、とあるプラットフォーム上での実際の数値を見せてもらったが、コンテンツの質にこだわった結果、やはりエンゲージメントの数値も同様の他のメディアに比較して3〜10倍ほどの高い数値を出していた。
メディアでユーザーを動かしたいと語る高松氏。今年始まった分散化動画コンテンツの勝負は来年、ある程度先行きが見えてくるのではないだろうか。その際、彼らのとった地域タイアップの方策がどうなっているか興味深い。
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