個人間カーシェアリングの「シェアのり」が正式ローンチ、手軽で安いクルマの貸し借りでレンタカー業界のディスラプトを目指す

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TechCrunch Tokyo 2016 で、ピッチに登壇したシェアのり代表取締役の田平誠人氏

本稿は TechCrunch 2016 Tokyo の取材の一部である。

東京に拠点を置くシェアのりは17日、個人間のカーシェアリングサービス「シェアのり」を正式ローンチしたと発表した。乗用車の貸し借りサービスを関東一都三都県で利用できる。

シェアのりは、自動車を所有するオーナーと、自動車は持っていないが移動の需要のあるドライバーをつなぐプラットフォームだ。自動車の共同使用契約(有償貸与契約ではない)のスキームを採用しており、ビジネスモデルとしては、ドライバーからオーナーに支払われる料金の15%を手数料徴収する。今年のゴールデンウィークにβ版をリリースし、現在までに登録台数150台、登録者数600名を獲得、取引総数は250回に達している。

この領域で先行する DeNA の「Anyca(エニカ)」が高級車などを幅広く扱っているのと対照的に、シェアのりでは一般的な国産車など日常用途にフォーカスしている。現在のところ、オーナーの多くは山手線の外側の都内に住む人々、ドライバーの多くは運転免許は持っているが車は所有していない山手線の内側に住む人々で構成されている。

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シェアのりに登録されている登録車両の一部

「この車種に乗りたい」という人よりは、「とにかく、便利に安くクルマに乗りたい」というユーザの利便性を高めるため、ドライバーからは複数のオーナーに同時に、クルマを借りるリクエストを投げられるのが特徴。オーナーによっては、釣り道具やキャンプ用品などの備品が借りられるほか、オーナーが指定するサービスエリア内であれば、1,500円のオプション料金を支払うことで最寄駅やドライバーの自宅前まで配車してもらい、返却時には取りに来てもらうことも可能だ。

シェアのりの創業者である田平誠人氏は、フリークアウト、ソーシャルリクリーティングなどを経て、iPhone や iPad などの修理事業などを展開してきたシリアルアントレプレナー。数年前、田平氏の祖父が入院した際、実家にはクルマが無かったため、電車での長時間に及ぶ通院を余儀なくされる事態を経験。周辺の家には使われていないクルマが多くあるのに、それを近所に住む人同士で融通ができない不便を痛感し、シェアのりのサービス誕生に至った。

サービスの利用にあたっては、オーナーとドライバーの双方が、本人確認のための書類の提出を求められ、ドライバーは、あいおい損保の提供する1日自動車保険への加入が義務付けられる。日本で登録されている乗用車6,000万台のうち、これらが実際に運転されて稼働しているのは全体時間の3%程度とされる。シェアのりでは、使われていない乗用車の利用権利を流通させることで、レンタカー業界をディスラプトしようとしている。

シェアのりは2015年1月の設立。2015年4月には、シードラウンドでインキュベイトファンドの3号ファンドから1億円を資金調達している。

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