〈韓国のテックスタートアップを探る〉農作物の吸水力を高め、収穫量を増やすアグリテック・スタートアップBLH Aqua Technology

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Image credit: BLH Aqua Technology

今回の投稿は、本シリーズ「Discover Korea’s Tech(韓国のテックスタートアップを探る)」の第10弾である。数々の巨大企業が牛耳っていることで有名な韓国経済の中、自身が持つテクノロジーによって自立した韓国のスタートアップ起業家たちに話を聞いていく予定だ。数ヶ月に渡って彼らを追うこの企画を楽しみにしてほしい。@technodechina からシリーズ最新のストーリーをチェックできる。

農業は技術革命がまだ起こっていない分野の一つである。しかし、マーケットには農業技術製品が多く存在し、その大部分を占めるIoT製品は土壌データを収集する。そんな中、ある企業は農業技術の根幹にアプローチしようとしている。

BLH Aqua Technology は、農作物がより効率的に成長できる製品を開発している。農業生産を促進させつつもエコな製品「Aqutonix」だ。この製品は農作物の吸水力を高めることができ、少量の水でも大きく育てることができる。効率的な灌漑施設に Aqutonix を持ち込めば、収穫量が上がり収益も伸ばせるという。

BLH Aqua Technology の CEO である Sunguk Hong(홍성욱)氏は TechNode に対し次のように話した。

農業生産性を上げるには、一般的に肥料や遺伝子操作が用いられますが、それでも生産性の向上率は10%に満たないのです。一方 Aqutonix を使えば、生産性は10%以上増加します。

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Aqutonix
Image credit: BLH Aqua Technology

Hong 氏と彼のチームには農業、エンジニアリング、電子工学の20年以上の経験がある。2015年に設立されて以来、Aqutonix の試作品を今年の第4四半期までに韓国の80を超える農場でテストしてきた。

Hong 氏は次のように述べた。

19種類の作物でテストしたところ、収穫量が最大で43%、平均でも23%増加しました。これにより農家の年間売上高は1ユニットあたり少なくとも1万5,000米ドル増加する計算です。

農作物が水をたくさん吸収する秘密は、アクアポリンの特性を利用することだ。Aqutonix は、アクアポリンが水分子クラスタを効率的に解離させ水が透過しやすくなるよう、高電圧で水分子のクラスタを小さくしている。

Aqutonix を使えば、水の使用量を20%節約できます。

BLH Aqua

この技術は水不足に苦しんでいるアメリカと、農業が GDP の約15%を占めている中国をターゲットにしており、今年末までに110万米ドルの収益を見込んでいる。

Aqutonix は来年の第1四半期までに350万韓国ウォン(3,000米ドル)で市場に出回る予定だ。1ユニットで6,000平米の農地をカバーできる。

同社はこれまでに73万2,000米ドルの資金を調達し、韓国政府から13万2,000米ドルの助成金を受けている。また、 同社は韓国・未来創造科学部傘下の K-ICT Born2Global Center の支援を受けている。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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