韓国のスタートアップFingertips Lab、ながら運転防止デバイスの開発で100万ドルを資金調達

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The startup had a big hit earlier this year with its O6 dial, pictured here on a steering wheel. Photo credit: Fingertips Lab.
ハンドルに取り付けられているダイヤルがこのスタートアップによる今年の大ヒット商品O6だ.
Photo credit: Fingertips Lab.

ながら運転をやめさせたかったら、人々が運転中に実際に携帯電話のスクリーンを見る必要性を排除しなくてはなりません。

PK Mishra 氏はこう語る。同氏のスタートアップが、Bluetooth とアプリを接続することにより、ドライバーが実際にスクリーンに触れなくても携帯電話の通知などを確認できるようになっている回転ダイヤル型デバイスを考案したのはそのためだ。

韓国に拠点を置くこのスタートアップは昨日(11月29日)、500 Startups など大手 VC から100万米ドルの資金を獲得したと発表した。

これは、同チームが Kickstarter 上でスマッシュヒットを放ったプロジェクトであり、1,200人もが先行注文した Bluetooth ダイヤル(1つあたり100米ドル)を発表してから6ヶ月後のことだった。その可愛らしいフォルムのガジェットは先行販売で16万米ドルを売り上げており、3月に出荷される。

PK 氏らチームは、音声アクティベーション機能を搭載した新車が多く生まれてくる中でもこのガジェットには需要があるとしている。

私たちが見てきたところでは、人々が音声検索が得意とする質問機能などに費やす時間は、スマートフォンを使っている時間全体のわずか2%です。残りの98%は画面のスクロールやブラウジング、リストのふるい分けなどに使われているのです。そこで私たちは O6を開発したというわけです。

このダイヤルは O6と名付けられている。

Photo credit: Fingertips Lab.
Photo credit: Fingertips Lab.

O6のコンセプトは、運転中に視線を道路からほとんど逸らすことなく、O6を使って e メールや Twitter など携帯電話からの情報をチェックできるというものだ。スクリーンを見るのは、何が選択されているのかチェックするほんのわずかな時間だけだ。正直に言えば、ドライバーには運転のみに集中してほしいところだが、おそらくそれは無理な話だろう。そういうことで、O6はこの現実世界でもっとも安全な選択肢のようだ。

自動車産業界に現れた凄腕

アメリカ疾病管理予防センターのデータによると、アメリカで「ながら運転」を原因として起こる交通事故により、毎日9人の死者および1,150人の負傷者が発生しているという。これが PK 氏とそのチームが取り組もうとしている問題だ。

The O6 dial along with the startup’s companion mobile app. Photo credit: Fingertips Lab.
O6ダイヤルと連動する同スタートアップのモバイルアプリ.
Photo credit: Fingertips Lab.

ミシガン大学、ペンシルバニア大学を卒業した PK 氏の今週は忙しいものとなった。昨日(11月29日)は韓国トップのスタートアップを育成することを目的としたイベント、K-Startup Grand Challenge のデモデイで10万米ドルを勝ち取った。また、今回で19期目にあたるシリコンバレーのアクセラレータ500 Startups バッチに他の43社とともに参加している。

この回転式ベゼル O6は運転中でなくても使用可能だと、同スタートアップは Facebook 初の目の不自由なエンジニア Matt King 氏のケースに言及しながら語った。King 氏は Gizmo を利用して自身のスマートフォン上の Facebook を音声読み上げ機能を使ってブラウジングし、Facebook と Messenger の AI 搭載ツールを開発している。また、O6を携帯電話のカメラのリモートシャッターボタンとして使うこともできるのだ。

しかし、同スタートアップは主にドライバーに焦点を当てている。実際、同スタートアップへの投資家には China Volkswagen、Buick、Chevrolet のジョイントベンチャーに加え、中国独自のブランドも多く抱える巨大国有企業 SAIC Motors が参加している。

世界最大の自動車系 OEM 企業3社とパイロットプロジェクトに取り組んでおり、先行予約もいただいています。(PK 氏)

PK 氏は Tech in Asia に対し、そのうち2社は今は極秘だと語った。そして、3つの中で明らかになっているのが SAIC だ。

こうした企業と協力し、私たちのモバイルサービスとハードウェアインターフェースを統合した未来の自動車を作る努力をしています。たとえばソウル市など政府機関と協力し、市民の安全のために私たちのデバイスを宣伝する動きもあります。

チームは今はまだ小規模で、ソウルとアメリカのオフィスに4人の正社員と4人のパート社員がいるのみだ。しかし、Kickstarter のバッカー向け出荷に先立ち、その規模は拡大しつつある。出荷後には専門のウェブストアでの販売が開始される見込みだ。

大手の小売店や販売店との販売契約も結び始めています。(PK 氏)

500 Startups と中国最大の自動車会社に加え、同スタートアップの投資ラウンドには PCH International、YSK Partners、そしてシリコンバレーのエンジェル投資家であり反響の大きかった『The Lean Startup(邦題:リーンスタートアップ)』の著者でもある Eric Ries 氏も参加している。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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