
日本の狂気が生み出した仮想空間がついにベールを脱いだ。2次元キャラクターをホログラム状態で表示し、一緒に生活ができてしまうという「Gatebox」が手元に届く日がやってきたのだ。
開発元のウィンクルは12月14日より同社サイトにて販売を開始し、購入者には2017年12月中に順次発送される予定。(補足:記事公開当初、単に12月中と表記しておりましたが正しくは来年2017年12月の発送予定です。追記して補足させていただきます)価格は29万8000円で配送対象は日本と米国。販売期間は12月14日から2017年1月31日まで、初回の販売個数は300台程度となっている。
本体サイズは重量5kgで幅220mm、奥行が360mm、高さが520mm。肝心のホログラムを生成するプロジェクション箇所は1280×720画素相当で、本体後部から筐体内のパネルに投影することで浮き上がったような視覚体験を実現している。実機を見たが、明るい場所でもはっきりと視認できるよう、筐体でうまくパネル箇所を囲ってあった。
キャラクターは「逢妻ヒカリ」というウィンクルオリジナルキャラクターで、ラブプラスやときめきメモリアルのキャラデザインを担当した箕星太朗氏が手がけている。
その他筐体にはカメラとマイク、キャラクターと会話する際に使うタッチボタンが備わっており、各種人感センサーなどと組み合わせて主人を認識し、キャラクターが実際に追随するようになっている。また、スマートフォンアプリ(対応OSはAndroidおよびiOS)と連動し、キャラクターとオンラインでのコミュニケーションを楽しむこともできる。通信はWifiもしくは有線LANでの接続となる。
さて、スペックの説明はこれぐらいにしておいて、実際の利用動画を見てみよう。同社代表取締役の武地実氏によればこの動画内のGateboxは全て実際の筐体・映像を使って撮影しているということだった。
さて、いかがだっただろうか。正直、ここで未来を感じることができたか、それとも単なる高価なオタクグッズが出てきたわ、ぐらいに思ったかで道が別れるように思う。
もちろん彼らが追いかけている世界観は Amazon Echo や Google Home、Siri などに代表される人工知能アシスタントとスマートホームの文脈だ。声をかければトイレットペーパーや水を届けてくれ、しんみりしている時に元気の出る曲を流してくれる。先行したソフトバンク謹製の Pepper はこの先駆けだし、最近では「家を自動化する」なんていうベテランスタートアップも出現している。
でも、違うのだ。武地氏らがやりたいのはそういう合理的な世界観ではないのだ。あの無機質な筒にお買い物をお願いする装置を作りたいのではないのだ。
彼は本当に嫁を作りたかった。ーーそして本当に億単位の資金を投資家から引き出してこれを作ってしまった。
確かにまだできることは狭い。動画の通り、ご主人が朝起きて、夜寝るまでの間にコミュニケーションしたり電気を点けたりしてくれるだけの存在だ。逆に言えばこれだけの機能に絞ってリリースしてきたことに狂気すら感じる。Amazon Echo が200ドルそこそこで手に入る状況下、ここに30万円近くを払う人が世界で何人いるのか。
いや、逆にここまで絞ったからこそ地球上にこの存在を求めている人がいるのかもしれない。実際、プロモーション用の動画は再生回数で60万回を超えている。
Gatebox にはひとつ気になる機能が備わっている。それが外部入力だ。HDMI 経由で自分の PC からオリジナルの映像を投影できるようになっている。当然ながらそこに自分が作ったオリジナルのキャラクターを投影したいというリクエストがあるはずだ。武地氏に尋ねたところ、やはりそういった声が多いということで今後、対応していきたいと回答してくれた。
「家の中心」をめぐる日本独特のアプローチが世界からどのような評価を受けるのかとても楽しみだ。
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