Didi と Uber が中国市場で手を組んで半年、両社の争いがまた始まろうとしている。今度の戦場はグローバル市場だ。
Didi Chuxing(滴滴出行)は水曜日(1月4日)、ブラジルで Uber と競合している99(旧社名99Taxis)に戦略的投資を実施したと発表した。本案件にかかる投資規模や保有株式数は公表されなかった。
この提携の条件として、99の取締役会に Didi から役員が加わり、テクノロジー、製品開発、事業開発などの分野で戦略的に協力・支援していくと正式に発表された。
2012年にブラジルの若手起業家らによって設立された99は、世界で2番目にネット市場が成長しているブラジルの550都市で、アプリ対応のオンデマンド配車サービスとタクシー呼び出しサービスを提供している。99は14万人超の登録ドライバーを抱え、ユーザダウンロード件数は1,000万回を超える。ブラジルのサンパウロ、リオデジャネイロその他大都市で主導的な地位を確保している。
99の CEO である Peter Fernandez 氏は次のように述べている。
Didi のラテンアメリカ進出を歓迎します。99が積極的にブラジルでのネットワークとサービスを拡大し、ラテンアメリカの競争環境を新たに構築する際には、Didi が持つ財務基盤、最新テクノロジー、オペレーション上のノウハウが重要な役割を果たすことでしょう。
Uber は中国から撤退、Didi はグローバル展開
Didi は中国の配車市場において支配的な存在となっており、400を超える都市で4億人ものユーザ数を誇っている。しかし同社は自国を征服するだけでは飽き足らない。その動きは、Didi 社長の Jan Liu 氏が昨年10月に開かれた Vanity Fair のイベントで発言した通りだ。
同社はグローバル化と合わせて、世界各地で運営しているローカルの配車大手と戦略的な提携を結んだり、出資を行ったりしてきた。
Didi は2015年9月、米国 Uber の最大のライバル Lyft に対し1億米ドルを出資した。この提携により、お互いのネットワークを通して配車できるなどさまざまな協業機会が生まれている。また、Ola や Grab に投資するなどして東南アジアでも積極的に事業を拡大している。
Didi が世界的展開を実施すると、Uber と直接的に競合することになる。したがってこの4社間の提携は、Uber に対抗する足固めと言える。今回99に出資したことで、ラテンアメリカにもその動きが広がった。
一時期、Didi が中国で Uber を買収したことで、この動きの存在自体が疑わしくなっていた。しかしながら、国内市場を堅実に掌握した今、世界展開を目指すことが最優先課題であり、対 Uber アライアンスの強化は同社にとってますます意味あるものになっている。
Didi Chuxing の設立者で CEO の Cheng Wei(程維)氏は水曜日(1月4日)の発表の際、さらに多くの世界パートナーと協力する意義を次のように強調していた。
中国とブラジルは世界で最も抜きん出た新興市場であり、ライドシェア業界にとって巨大な事業機会があります。ブラジルの大手企業99と協力することで、Didi はさらに多様なコミュニティ、革新的な人々と能力や製品をシェアしていくことになるでしょう…さらに優れた移動サービス、都市部でのさらなる雇用機会を生み出すために多くの世界的なパートナーと協力して、未来のグローバル輸送システムを共に形作っていくことを楽しみにしています。
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