ホテルチェックイン前の観光客がスーツケースを預けられるオンデマンドサービス「ecbo cloak」、都内カフェなど100店舗以上でサービスを開始

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Image credit: ecbo

東京に拠点を置くスタートアップ ecbo は18日、訪日観光客らを対象に、カフェやレンタサイクルショップなどの遊休スペースに、旅行荷物を一時的に預かってもらえるオンデマンドサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」を開始した。ウェブブラウザからアクセスできる。

CEO 工藤慎一氏

ecbo は以前、Uber Japan でインターンを経験した工藤慎一氏が設立。2015年6月にオンデマンド収納サービス「ecbo(エクボ)」をローンチしていたが、事実上これをピボットし、小売店舗に遊休スペースを提供してもらうシェアリングエコノミーのコンセプトを取り入れた新サービスとして ecbo cloak を立ち上げた。ecbo cloak が生まれた発端は、工藤氏が渋谷で「訪日観光客にスーツケースの入るコインロッカーを探している」との相談を受けたことに始まる。スーツケースが入るサイズのロッカーは数が限られていたり、使用中であったりするため意外と見つからないもので、彼はここに商機を見出したのだそうだ。

観光客がホテルのチェックイン時刻より前に目的地に到着した場合、フロントやクロークで荷物を預かってもらうこともできるが、まだ昼間の遊べる時間から、荷物を置くだけのためにホテルに向かうのは面倒だ。また、Airbnb や HomeAway などのバケーションレンタルの場合、チェックイン時刻や鍵の受け渡しより前に、滞在先に荷物を置かせてもらうのは難しい場合もある。ecbo cloak を使えば、観光客は都心の便利なロケーションで荷物を預け、チェックイン時間や夜まで心置き無く街を満喫し、それからゆっくりと宿泊場所へ向かうことができる。

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ちなみに、筆者の場合、都内でアポを済ませてから成田や羽田に向かったり、あるいは帰国直後に国内でミーティングに出向いたりする場合、旅用具の入ったスーツケースを駅のコインロッカーに入れることが多い。ここで問題になるのは、東京に海外から大統領などの VIP が来日したときだ。セキュリティ確保の観点から首都圏のコインロッカーは総じて使用中止となり、スーツケースはおろか、すべてのコインロッカーが使えなくなる。ecbo cloak は、預け先の営業時間に応じてサービスが提供されるので、前述したコインロッカーの閉鎖時などにも安心して使うことができる。サービスの利用には本人認証が必須となっており、預け入れ時には預け先の店員がユーザ本人を対面確認するので、犯罪や事件の温床になるリスクも極小化されている。

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2016年に開かれたリオデジャネイロ・オリンピックでは、海外来場者の約3割が Airbnb などのバケーションレンタルを使っていたのだそうだ。2020年開催のオリンピックに向けて、ホテルの供給が圧倒的に不足していると言われる東京では、バケーションレンタルの利用度合はさらに高まるだろう。また、アーリーチェックイン、レイトチェックアウトなどの柔軟な顧客の要望に対応しづらいバケーションレンタルにおいて、ecbo cloak は、需要家と供給者のギャップを埋めるサービスに成長することが期待される。

ecbo はこれまでに ANRI から起業資金を調達しており、フルタイムのコアメンバーはインターンを含め10人ほど。年内には京都や大阪にもエリアを拡大し、1万店舗以上でサービスを提供したいとしている。

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