
東京を拠点とするスタートアップ Studio Ousia は先週、ディープラーニングを用いた人工知能質問応答システム「QA Engine」を開発し、初の導入先としてクラウド会計システム「freee」のチャットサポート自動応答のしくみに採用されたことを明らかにした。一問一答による質疑応答に対応し、人工知能による回答にユーザが満足できなかった場合は、人間のオペレータに質問を引き継ぐことが可能。freee では QA Engine の採用により、ユーザの顧客満足度向上とヘルプデスク業務の効率改善を期待している。
Studio Ousia は2016年6月、サンディエゴで開催された自然言語処理に特化した国際会議 NAACL(North American Chapter of the Association for Computational Linguistics)で、Quiz Bowl 形式による人工知能同士のクイズコンペティションで優勝している。今回リリースされた QA Engine は、このコンペティションで優勝した際の技術を応用して開発されたものだそうだ。同社では今後、QA Engine をコールセンターの回答支援システムや、人材マッチング、チャットボットなどに応用できる要素技術の API サービスとしてリリースすることを予定している。

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この分野では、Exiis-Lab が開発するチャットボット基盤「CAIWA」をベースに開発された LOHACO の「マナミさん」が、カスタマーサポートへに寄せられる問い合わせのうち約3分の1をカバーできるようになったとして注目を集めた。人工知能技術開発スタートアップのオルツは2016年、チャットボットの核となる API「Rewritable Memory-based Retrieval(RMR)」を開発し、LINE や Twitterに配信するボット開発環境「AL+ BotFramework」をローンチした。日本における BPO/コールセンター業務受託大手のトランスコスモス(東証:9715)は先ごろ、ニューヨークを拠点とするボット開発環境スタートアップ Reply.ai に出資、同プラットフォームの日本市場向けローカライズを行い、日本企業のカスタマーサポート業務などへの導入に注力するとしている。
Studio Ousia は慶応大学 SFC のインキュベーション・プログラムから生まれたスタートアップで、2012年にスマートフォン・ブラウザ向けのキーワードの自動リンク付けプラグイン「Phroni」をローンチ。同年3月にシリーズAラウンドでニッセイキャピタルから7,000万円を、2014年8月には東京のシステム開発会社エヌアイデイ(東証:2349)から1億円を調達している。

Image credit: Jordan Boyd-Graber
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