
<ピックアップ> 31 tech companies that could go public in 2017
2017年がスタートしまして、また今年もいろいろな予測が出ておりますが、特に一定の指標となる北米スタートアップの IPO 候補が31社、VentureBeat に挙がっておりましたのでピックアップさせていただきます。
ニューヨーク証券取引所( NYSE )狙いの企業が中心で、本文ではABC順になっておりましたが、こちらを少し整理して軽くカテゴリ別にソートし直してみました。
ざっと見てみると、オンデマンド・シェアリング系候補が4社、フィンテック系候補が3社、アドテク・マーケティング系候補が4社、ゲーム・ストリーミング系候補が2社、メッセージング系候補が2社、HRテクノロジー・営業支援系候補が7社、インターネットインフラ・セキュリティ系候補が6社、ビッグデータ・解析系候補が2社、その他が1社となっています。
Y Combinator の優等生 Dropbox と Airbnb が揃ってリストインしてることや、500 Startups の虎の子「Twilio」が昨年に IPO したことも含めて考えると、2001年からの10年間で後半に発生したシードアクセラレーター・ブームの牽引役がそろそろ仕上がりに入っている印象があります。
あと、ビジネス的に積み上げが期待しやすいエンタープライズ方面が当然ながら堅調で、リストの約半数以上を占めている点、久々の大型メディア企業 BuzzFeed が単体での IPO をどのように成功させるか、おばかチャットアプリからソーシャルメディア、そしてカメラ企業へと急速な変貌を遂げている Snap の動きなどが注目といったところでしょうか。あ、あと Slack の伸びも気になります。
ということで各社の簡単な紹介と分類をお送りしますので新年の頭の整理にどうぞ。なお、各社の紹介は特に断りがない限り原文の著者、Jordan Novet 記者の記述を翻訳して掲載しています。
オンデマンド・シェアリングエコノミー

Thumbtack
ニューヨークタイムズによるとオンデマンドサービスの Thumbtack の評価額は1315億ドルで、資金調達を最後に発表したのは2015年のことだ。同社はその後、最高財務責任者( CFO )を雇っている。投資家には、Tiger GlobalとSequoia Capital が名を連ねる。
Uber
CB Insights のデータによれば、アプリを利用できるタクシーサービスの資金調達額は少なくとも124億6000万ドルに到達しており、ウォールストリートジャーナルが算出したこういった企業の評価額は680億ドルと他のどのユニコーンよりも高い。同社のバランスシートは110億ドルを超えており、投資家にはサウジアラビアの公共投資基金までもが含まれている。
Instacart
食品配達企業が最後に資金調達したのが2015年。この年に同社は最初となる最高財務責任者を雇い、レイオフも実施している。2016年に入ると、Cash&Carry、PlateJoy、Publix などとのパートナーシップを発表している。
Airbnb
お金を支払って他人の持ち家に宿泊させてくれるというこのスタートアップは8歳を迎え、40億ドルの資金を調達済みだ。ということでそろそろ時期が来たんじゃないかなと思う。Airbnb の投資家はGoogle Capital、Capital G、Sequoia Capital、General Atlantic、それに Tiger Globalなどが含まれている。
フィンテック

Anaplan
クラウドベースのファイナンシャルプランニングソフトを提供している Anaplan は2016年のはじめにユニコーン入りを報じられている。投資家にはCoatue Management、DFJ Growth、Salesforce、Workdayが含まれる。
Credit Karma
1年半前、個人資産管理サービス企業の Credit Karma は35億ドルの評価額で 1億7500万ドルを調達したと公表している。最近同社は、H&R や Intuit といった企業に挑戦すべく税関連のサービスを公開している。
Stripe
人気の高いオンライン決済プロバイダである Stripe は11月に1億5,000万ドルを調達した際、92億ドルと評価された。スタートアップの最高財務責任者である Will Gaybrick氏は先週、Business Insider に「私たちは現時点で未公開企業で幸せだよ」と語っている。
アドテク・マーケティング

AppNexus
このアドテク企業は Bloomberg や Dow Jones、ESPN のようなパブリッシャーを顧客に持っている。News Corp などが投資している企業だ。
BuzzFeed
ということで BuzzFeed だ。BuzzFeed が長年かかって積み上げた間抜けな記事の数々は、彼らの資金やオーディエンス、より深い調査報道の獲得に役立った。昨年11月には NBCUniversal が Variety 誌に対し、BuzzFeed へ追加の2億ドルを出資したことを明かしている。彼らには Lerer Hippeau Ventures、RRE Ventures、Hearst Venturess なども出資している。
ユーザーに写真やその他のコンテンツを掲示板にピン留めさせることで有名な企業は1億5000万人以上の月間アクティブユーザーを抱えており、2015年には最後に資金を調達している。
Sprinklr
ニューヨークに本拠を置くソーシャルメディア管理企業は、7月に18億ドルの評価額で1億500万ドルの新規資金調達を発表している。1,200人以上の従業員を擁し、顧客リストには McDonald’s、Microsoft、Nike、P&G が含まれている。
ゲーム・ストリーミング

Spotify
この音楽ストリーミングサービスは Apple との激しい競争に直面しており、3月には10億ドルの借入調達を認めている。株式公開の申請書類によれば、Spotify は2015年に前年の1億5900万ドルから1億8710万ドルに売上を伸ばしている。Northzone のゼネラルパートナーであるPar-Jorgen Parson氏は、「投資家として、ある時点での IPO を楽しみにしている」と Reuters に対して答えている。
Unity Technologies
人気のあるゲームエンジンのプロバイダである Unity は、7月に1億8100万ドルの資金調達を発表している。投資家には、DFJ Growth、Sequoia Capital、Thrive Capital が名を連ねる。同社によると7億7000万の人々がエンジンで作られたゲームをプレイしているという。
メッセージング

Snap
(カメラ搭載)のSpectacles glasses でハードウェア市場に参入を発表した瞬間まで Snapcatと呼ばれていたのが Snap だ。現在同社は単なるメッセージングアプリ(未だに若い世代に人気があり、Facebook までもがコピーした例のアレ)だけでなくカメラ企業というポジショニングを確立した。現在同社は大量雇用中で、この IPO はどんなことがあっても、必然的に大きなものになるはずだ。
Slack
トレンディーなチームコミュニケーションアプリの評価額は38億ドルで、3年も経っていないにもかかわらず異常に高い評価を得ている。しかも11月に Yammer を引き続き維持しながらチームを立ち上げた Microsoft をはじめ、多くのライバルがいる。投資家には Accel Partners、Comcast Ventures、GGV、Index Ventures、Social Capital、Spark Growth、Thrive Capital が含まれている。
HR テクノロジー・営業支援

Glassdoor
おそらく職場従業員のレビュー記録で最も有名な Glassdoor は、求人広告と会社のプロフィールページの改善によって売上を立てている。投資家には T. Rowe Price が含まれる。
Gusto
給与計算と福利厚生のスタートアップ Gusto は一部の州で許可なく営業した競合の Zenefits から顧客を引き継ぐことになった。一年前、Gusto は「内部的なラウンド」として資金調達したことを認めている。投資家には Capital G、GV、Kleiner Perkins Caufield&Byers、Y Combinator が含まれる。
Apttus
昨年、Salesforce が Apttus のトップ競合となる企業、SteelBrick を買収した。この SteelBrick の買収劇というのには注目していて、なぜなら Salesforce がこの Apttus に以前、出資をしているからだ。この「Quote-to-cash(注:Apttus の独自営業支援サービス名称)」ソフトウェア企業にはGulf Islamic Investments や Iconiq Capital といった投資家が出資している。昨年の9月には同社 CEO の Kirk Krappe氏が Fortune 誌に対して同社は2017年前半に IPO すると語っている。
Domo
クラウドベースのビジネス解析サービス、Domo は昨年3月に1億3100万ドルを調達した際、その評価額は20億ドルになっていると公表している。同社の競合は Microsoft や Salesforce といったいくつかの最大のテクノロジー企業が含まれている。
InsideSales
ユタ州を拠点に営業支援を提供する InsideSales が最後に資金調達を公開したのが2015年で、ここには Microsoft や Salesforce Ventures が参加している。
Okta
個人情報管理ソフトウェア会社は2015年に評価額が10億ドルを超え、現在では800人以上の従業員を擁している。サンフランシスコの現在の本部から50マイル南にあるサンノゼに第2の本部を設置している。
Medallia
顧客管理に特化した同社は15年目に入る。Medallia は2015年に資金調達を公表し、そこにはトップ投資企業である Sequoia Capital が参加していた。
インターネットインフラ・セキュリティ

Cloudflare
コンテンツ配信ネットワーク( CDN )と分散サービス拒否攻撃( DDoS )緩和サービスは、多くの企業が強烈なトラフィック下でもウェブサイトを継続運用するために頼らざるを得ないため、しばしば話題になることがあるものだ。Cloudflare の最後の調達は2015年だが、当時、同社共同創業者で CEO の Matthew Prince氏は2017年のできるだけ早い時期に IPO を実施する可能性があると言及していた。
Dropbox
クラウドベースのデータ同期、共有サービスで Dropbox の競合となる Box が株式公開を果たしてもう2年になる。昨年、Dropbox はユーザー数で5億人を突破した。同社が最後に調達ラウンドを公開しているのは2014年で、当時の評価額は100億ドルだった。
ForeScout
ネットワークセキュリティ企業の ForeScout は2000年が創業で、2016年1月の資金調達ラウンドでは7600万ドルを調達してその時の評価額が10億ドルになっている。9月には同社が IPO に向けて幹事会社との交渉を始めたと Reuters が報じている。
Illumio
このサイバーセキュリティ企業は Morgan Stanley、Plantronics、Salesforce などを顧客に持つ。投資家には Andreessen Horowitz、Formation 8、General Catalyst Partners が含まれている。
MuleSoft
クラウドアプリケーション統合ソフトウェア企業の MuleSoft は、数年間に渡って株式公開を検討し続けたが中断することを選択している。MuleSoft の創設者である Ross Mason氏は VentureBeatに対し、同社が最後に資金調達を発表した2015年の電子メールの中で「私たちがビジネスをどのように実行するかの柔軟性を含め、非公開企業であり続けることの方が優位性が大きいと考えている」と回答している。
Tanium
エンドポイントのセキュリティ企業である Tanium は、2015年に最後に資金を調達している。2016年にVMware は Tanium のソフトウェアをパッケージ化する製品 TrustPoint を発表している。
ビッグデータ・解析
Palantir
ビッグデータ関連企業が株式公開すべきかどうかについては、Palantirの最も著名な支持者の中でも意見が一致していないという報道がある。しかし数カ月前、Alex Karp 最高経営責任者(CEO)は、同社はIPOを検討していたと語っている。ちなみに多くの政府機関が Palantir の顧客だ。
Qualtrics
従業員の調査サービスがビジネスを有利に進めることができると判明することで浮上するのが Qualtrics だ。このユタ州の会社は2015年に最後の資金調達をしている。投資家には Insight Venture PartnersとSequoia Capital が含まれている。
その他
Razer
メカニカルキーボードやマウス、その他のハードウェアで知られる Razer は、2016年にスタートアップに投資を開始すると発表し、また THX という小さな会社を買収している。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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