
去年ごろから、Auroma Brewing Company から Smarter Coffee に至るまで、IoT 化したコーヒーマシーンをよく見かけるようになった。そして今年、CES 2017において、家庭用自動ビール醸造マシーンを販売する企業 iGulu(愛咕嚕)が Smart Home 製品部門で CES 2017 Innovation Award を受賞した。
上海を拠点とするこのスタートアップが欧米市場から注目されるのは初めてのことではない。2016年6月、同社は Indiegogo キャンペーンで目標金額を701%も上回る100万米ドル超の資金調達に成功した。その後、社名を Artbrew から iGulu とした。
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ここ12年間、中国は世界最大のビール生産国であり、世界最大のビール消費国でもある。USDA China が発表したレポートによると、米国産のクラフトビールの年間売上高は2017年には1,200万米ドルに達する見込みだ。
iGulu の設立者で CEO も務める Shu Zhang(張舒)氏は TechNode(動点科技)に対して次のように語った。
今後5年間で中国のクラフトビール業界は、家庭向けと企業向けの2つの方面で急速に発展するでしょう。
所得が増加し続け、中国のビール消費者はより質の良いビールやさまざまなフレーバーのビールを求めるようになった。輸入ビール、中でもヨーロッパ産のビールは特に人気がある。iGulu チームは、カスタマイズ機能付き醸造マシーンを使って質の高いビールや豊富なバリエーションのフレーバーを提供することができると考えている。また、自宅でのビール造りは中国の DIY ブームとの相性も良いという。
DIY して日用品などを自宅で作りたいと考える中国人が増えています。そして、世界で2番目に飲まれている飲み物でもあるビール。それをを自宅で造りたいと思っている中国人も増えています。(Shu 氏)
iGulu の自動ビール醸造マシーンを使えば、ビールのエキスパートでも素人でも、ボタンを数回押すかアプリで操作するだけで高品質なビールを造ることができる。また、このマシーンに入っている何千ものビールレシピのデータベースを利用することができ、アレンジを加えたり、オリジナルのレシピを作ることもできる。ユーザインタフェースとしてはタッチ操作可能な4.3インチの液晶画面を備えており、専用アプリも付属してくる。

Image Credit: iGULU
ビール市場の規模は非常に大きいのだが、中国の消費者や販売企業、バー、レストランはそのことを認知しておらず、クラフトビールのノウハウも持っていない。市場の認知度を高めたい iGulu は、今年の目標として、中国国内のクラウドファンディングプラットフォームを使って資金を集め、自社の商品を小売市場で販売することを掲げている。オフラインの代理店や網紅(ワンホン)のようなネットインフルエンサーが、彼らの主なプロモーションチャネルとなりそうだ。
企業向けの市場に関して言えば、事業規模の小さいオーナーであっても、客の好みに合わせたビールを造ることができるように、自動スマート醸造装置を低価格で販売する予定です。(Shu 氏)
iGuluは、深圳市を拠点とする Hofan(浩方) や浙江省を拠点とする Yinxinggu Capital(銀杏谷資本)からエンジェルラウンドで400万人民元(57万8,678米ドル)調達した。
自動醸造マシーンのアイデアは Shu 氏のクラフトビール体験がもとになっている。
友人が自宅で造ったビールを試しに飲んでみると、非常に美味しく、それまでのビールの概念が変わりました。自分でも自宅でビールを造って、友人たちに飲んでもらいたいと思いました。そこでこの家庭用醸造マシーンのアイデアが浮かんだのです。
iGulu の設立者で CEO も務める Shu Zhang 氏は Cisco のデータセンターで働いた経験があり、Motorola のソフトウェアグループではテクニカルリーダーを務めていた。iGulu の中心メンバーと技術開発チームのメンバーは、Eson や Oracle、Motorola、Cisco,、AB-InBev の出身だ。
Cisco や Motorola で働いていたおかげで、クリエイティブになれる環境に身を置くことができましたし、非常に優秀な同僚たちと共に働けることが誇りでした。しかし、新たな人生をスタートさせる時が来たのだと思います。何かに挑戦したいんです。(Shu 氏)
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