〈次なるBATを探せ〉中国のスタートアップシーンから生まれた新たなスター企業の顔ぶれ(PART 1)

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Image credit: DanDan_520 / 123RF

次なるBATを探せ」シリーズの第3弾。BAT とは中国のテック巨大企業をまとめて表現する言葉で、Baidu(百度)、Alibaba(阿里巴巴)、Tencent(騰訊)の頭文字をとったものだ。本シリーズでは、中国のIT業界をリードしていくであろう未来のテック巨大企業を調査していく。

iiMedia Research Group(艾媒数衆) は中国の大手調査機関で、グローバル産業の専門家や影響力のある投資家、100万票以上にも及ぶ一般投票を含めた企業審査員からの調査結果を基に決定された、優れたモバイルインターネット企業のリストを公表している。

私たちはそのリストの中から、これから市場を席巻するであろう8社を選出した。まず前半4社をここで紹介しよう。

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1. Xbed(搜床)——インターネットホテル

Xbed(搜床)はセルフサービスでホテルの部屋を提供している。ここで言うセルフサービスとは、文字通り、サービススタッフ、フロントデスク、セキュリティスタッフがいないことを意味している。ユーザは Xbed を使って、ホテルの部屋の予約やドアのロック開閉、チェックイン・チェックアウト、支払いができ、滞在中は Xbed モバイルアプリ(または Xbed の WeChat=微信アカウント)を使えば何でもできてしまう。

2015年5月設立のXbedが宿泊業界にシェアリング経済モデルを導入したことで、宿泊業界で働くスタッフは清掃を行うパートタイムスタッフだけになる、と言われている。

同社は2016年12月5日にシードラウンドで、Gobi Partners(啓賦資本)と QF Capital(戈壁投資)から100万ドルを調達している。

2. Douyu TV(斗魚)——ライブ放送

2014年設立の Douyu TV(斗魚)は、中国において続々と登場している200以上のストリーミングプラットフォームの中で、最も早い時期からあるライブストリーミングプラットフォームの1つだ。市場規模は2017年で50億米ドル(344億人民元)と試算されている

Douyu TVは、ゲーム業界の大手Tencent(騰訊)から投資を受けており、League of Legends のようなMOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)をプレーする多くのトップストリーマーを有し、中国のTwitch.tv と呼ばれている。そして、このストリーミングが継続的なゲームの人気にもつながっており、今や1,500万人のアクティブユーザを含む登録ユーザ数が1億人を超えるという(比較として、Twitchの月間ユーザ数は1億人とされている)。

昨年同社は20億人民元以上(約137億米ドル)の資金を調達している。報道によると、このラウンドで Douyu TV の評価額は10億米ドルを超え、新たな中国ユニコーン企業となったようだ。

Douyu TV の強みといえば、今のところゲームのストリーミングであるが、独自のコンテンツ制作も行っている。

3. Inke(映客)——ライブインターネット配信

中国サイバー管理局によると、11月時点で中国本土には300以上のライブストリーミング企業があるとされている。中国インターネット情報センター(CNNIC)は6月に、中国には全インターネットユーザの45.8%を占める合計3億2,500万人のライブストリーミングユーザがいるとの報告を発表した。 Inke(映客) は、ユーザが自身のコンテンツから収益を得ることができるライブストリーミングアプリだ。

Inke のマネタイズ方法は非常に興味深い。視聴者はアプリ内購入によってバーチャルなギフトをコンテンツ提供者に送ることができ、提供者はそのギフトの価値の30%を受け取る。これにより、プラットフォームの収益性を維持しつつ、「高品質のコンテンツを制作する」モチベーションを提供者側に与えることができる。また、コンテンツ提供者は、インタラクティブなスタンプ機能を使ってコメントを加えることで、「視聴体験を向上させる」ことも可能だ。

人気の韓国バンド「Big Bang」のライブを配信するなどエンターテイメントを利用したプロモーション活動により、Inkeのダウンロード数と収益は増加し、App Annie が発表する2016年4月の iOS・Androidアプリの世界収益ランキングで、なんと第7位にランクインした。

4. Yidao(易到) -カーシェアリング

2010年、まだ Didi(滴滴出行)や Uber は中国市場に参入しておらず、配車事業を開始したのは Yidao(易到)が初だった。その6年後、市場シェアこそトップではないものの、Yidao は、中国74都市と米24都市で現在も配車サービスを提供しており、135万人のアクティブユーザを抱え、その市場価値は150億米ドルに達する。

昨年 Didi が Uber の中国事業買収を発表した後には、「結果的に Yidao が市場第3位から第2位に飛躍した」というジョークさえも飛び交った。かつて市場のパイオニアだった Yidao は、潤沢な補助金と低価格で人気を集める Didi および Uber China の勢力と常に戦ってきた。

実際、2016年7月に中国当局が最終的に配車アプリを法的に認め、配車事業に新たに規制が設けられたことは、Yidao にとって良いニュースだったのかもしれない。この政府の新たな規制では、低価格でサービスを提供するための大幅な割引や補助金などの不正競争を禁止することが定められている。つまり、Didi は、これまで多くの消費者に提供してきた低価格のサービスを継続できなくなるかもしれないが、一方で、高めの価格設定でプレミアムサービスの提供を狙う Yidao にとっては、その影響はかなり小さいと思われる。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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