外国人起業家が東京都のリソースを使ってビジネスを始める方法【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する Amanda Imasaka 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


Image credit: skyearth / 123RF

東京でビジネスを始めようと考えている? どこで始めればいいかわからない? 日本貿易振興機構(JETRO)理事長の石毛博行氏は、「まずは JETRO と話してほしい」と提言した。JETRO は政府関連組織で、日本における海外からの直接的投資を振興することが目標の一つだ。本部は東京の赤坂や六本木に近いアーク森ビルにあり、そこには東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)東京圏雇用労働相談センター(TECC)ビジネスコンシェルジュ東京(BDCT)が備わっている。すべてのサービスは、英語、中国語、韓国語を含む多言語で利用可能だ。

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日本貿易振興機構(JETRO)理事長の石毛博行氏
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まず最初に、日本では適切なビザ無しにビジネスを始めることはできない。1月29日、BDCT(ちなみに、JETRO 本部の中と、東京都が新しい東京のスタートアップハブと位置付ける丸の内とにあわせて2ヶ所ある)は、経営管理ビザの規制緩和について個別支援の提供を開始した。この規制緩和により、起業家は、事業開始から6ヶ月の時点で実現可能と判断されれば、日本国内で1年あたり社員を2人雇用するか、500万円を投資することができる。しかし、それだけではない。BDCT は、あなたのビジネスプランを実現に導く多くのサービスを提供している。マーケット情報の提供などローンチ前支援、会社設立に必要となる専門家の紹介(例えば、行政書士、司法書士、公認会計士、弁理士など)、さらには、オフィス開設などのローンチ後支援、複数言語対応の病院や学校の紹介など日常生活支援などだ。

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AKA の CSO Brain Lee 氏
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提供されるサービスの中でも、最も価値があるのはビジネスマッチング支援で、年間を通じて非常に多くのマッチングイベントが開催され、成功の体験談を聞くことができる。何よりすごいのは、完全無料で必要なだけ何度でも利用できるということ。そして心に残ったのは、人工知能ロボット MUSIO を作った AKA の CSO Brain Lee 氏が「Invest Tokyo セミナー 2017 Winter」で行ったプレゼンテーション「東京都の支援サービスを通じてアクセンチュアを紹介され、同社と一連のミーティングを持った——一般的なビジネスプラクティスではなく、必要不可欠だと自ら選んだ分野に特化する」だった。ミーティングをアレンジする前に求めている分野を特定できれば、より上手く支援を受けることができるだろう。

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TOSBEC はアーク森ビルの BDCT からも近く、2016年12月22日現在、会社設立に必要な8つの手続すべてについての書類を受け付けている(以前は3つの手続しか受けられなかったが、8つの手続を受け入れられるようになったのは、起業家に拠点を開設してほしいという東京都の強い熱望の現れだ)。たいていの場合、会社定款の準備や公証そして登記書類が必要となる。それらが完成したら、国税や都税のために必要となる、事業開始の告知を受け取ることになる。その後、社会保険を申し込み、従業員を雇うための手続(労働保険など)に取り掛かる必要がある。これらすべて、定款から入国申請書類の申請までが TOSBEC で提供されている。おそらく言うまでもなく、ワンストップという言葉とは裏腹に、書類の手続を進めるには複数の窓口に顔を出す必要が生じるだろう。その思いは理解できる。TOSBEC は完全無料で、会社設立後5年まで何度でも利用することができるのだ。

1月26日に東京・丸の内にオープンした「TOKYO 創業ステーション」
Image credit: Masaru Ikeda

東京都は、新しいビジネスを始める上で、最も将来有望と考える業種を公言している。それはヘルスケア、ICT、環境分野などだ。さらに言えば、2017年から2020年にかけて IoT や人工知能関連の40社を魅了するという、大変具体的な目標を掲げている。すべての外国人起業家を政府関連組織である JETRO に招けば、最初に提供されるのは卓越されたビジネスプランかどうかを見極める力であるため、事業の可能性がある人は鼓舞される一方で、その可能性が薄い人は自信を失うかもしれない。ただ、言うまでもなく、東京都が提供するサービスは、情報を豊富に持ち整理した状態で支援を求めにやって来る起業家にとって、大変役に立つものであることは間違いないだろう。

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