日中を股に掛ける投資家Joey Dai(戴周穎)氏が率いる民泊不動産投資プラットフォーム「Yoiju(有一居)」、東京拠点を開設し営業活動を本格化

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「Yoiju(有一居)」を運営する 優宜居 創業者 兼 CEO の Joey Dai(戴周穎)氏

Joey Dai(戴周穎)氏に初めて会ったのは、一昨年の北京でのことだ。当時、彼はサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)の中国現地法人、サイバーエージェント・ベンチャーズ・チャイナの北京公司総経理を務めていて、中国のスタートアップ・トレンドについていろいろと親切に教えてくれた。ほどなく、Dai 氏は CAV を離れ、自ら40億円規模のファンド「Gravity Venture Capital(GVC、中国名:引力創投)」を設立。中国のO2Oスタートアップと、日本と絡んだIoT分野のスタートアップに特化して投資してきた。

Dai 氏は昨年、「Yoiju(有一居)」というサービスを提供する不動産スタートアップを始めた。投資家が起業家に身を転じるのは珍しいことではないが、Dai 氏の Yojiu に対する熱意は相当なもので、現在は GVC の運用規模を半分ほどまでに縮小し、Yojiu の事業開発に注力して日本と中国を往来している。最近、神田に東京オフィスを開設したとのことで、THE BRIDGE X に遊びに来てくれた。

Image credit: Yoiju

東京をはじめとする日本の主要都市では、インバウンド政策も後押しする形で海外観光客の数はうなぎ登り。ここで問題になってくるのは、増えゆく宿泊需要に対して、ホテルや旅館などの供給が追いついていないことだ。この不足を補うための手段として期待されるのが Airbnb や HomeAway に代表されるバケーションレンタルだが、民泊関連の情報サイトの業界分析を見てみても、昨年の国内における民泊物件の伸びは1万数件程度に過ぎない。本来バケーションレンタル向けとして契約されていない集合住宅の物件が賃貸・転用され、民泊利用者と付近住民とのトラブルが起きる事例も少なくない。

ここに目をつけたのが「Yoiju」だ。Yoiju は、中国の中産階級からクラウドファンディングで資金を募り、日本国内で民泊利用を前提とした不動産物件を購入するプラットフォーム。購入された物件は、中国の旅行サイト大手 Ctrip(携程)や 民泊サイト大手の Tujia(途家)に掲載され、日本を訪れたい中国からの観光客を呼び込む。物件のリノベーション、掃除、鍵管理など、民泊運用に関わる一連の周辺オペレーションは、すべて Yoiju が代行する。物件オーナー(クラウドファンディング参加者)は、民泊運用を原資として、投資先物件から高い利回りが得られるしくみだ。民泊運用を前提に物件が運用されるため、民泊利用者と付近の住民コミュニティとのトラブルも起きにくいのだそうだ。

Yoiju の提供するしくみ

起業から数ヶ月をかけ、Dai 氏が編み出した事業戦略の一つは、Yoiju の進出先をホテルの客室稼働率80%を上回る地域に限定することだ。慢性的に宿泊施設が不足している地域をターゲットにすることで、Yoiju は高い収益率を見込める。日本では東京や京都などにターゲットを絞っており、将来的には、ロンドンなどの観光で人気の高い都市への進出も目論んでいる。近年の人民元安が中国人の海外不動産投資に拍車をかけている上、未経験者にとって面倒なこと一切合切を代行してくれる Yojiu のサービスは、クラウドファンディング参加者に好評なのだという。

観光庁「宿泊旅行統計調査」から

Dai 氏によれば、Yoiju は現在の東京オフィスに加えて、近い将来、京都などにも拠点を開設する計画があるそうで、現在、不動産投資のリードを立ち上げるべく、その道のスペシャリストをはじめ総合的にビジネスを牽引できる人材を募っているとのことだ。中国からのインバウンド、クラウドファンディング、バケーションレンタルという、時代の先端を行く3つのビジネスモデルを兼ね備えた新事業に興味のある人は連絡をしてみるとよいかもしれない。

Yoiju のチーム
Image credit: Yoiju

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