位置情報分析のナイトレイが、ニッセイ・キャピタル、SMBC-VC、レジェンド・パートナーズからシリーズAラウンドで1.3億円を調達

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2月27日11時30分更新:当初、ネットエイジ(現在のユナイテッド)としたが、当該のネットエイジとは別法人のため訂正。

東京に拠点を置き、位置情報データのアナリティクス技術を開発するナイトレイは27日、シリーズAラウンドでニッセイ・キャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル、レジェンド・パートナーズから総額1.3億円を調達したと発表した。これはナイトレイにとって、2011年5月に実施した、ネットエイジとアルトビジョン(現在のエクスペリアンジャパン)からのシードラウンドでの調達に続くものだ。

ナイトレイはネットエイジ出身の石川豊氏が2011年に創業。当初、店舗運営者と顧客のコミュニケーションを円滑化するモバイルアプリ「Milcle」を運営していたが、その後、位置情報に特化したデータ収集解析事業にピボット。2015年7月にインバウンド・ビジネス向けに訪日客の動向が分析できるツール「inbound insight」をリリース。そのほかにも、SNS ビッグデータを利用してユーザと地域の飲食店を結ぶモバイルアプリ「ABC Lunch」、訪日旅行者向け観光サポートアプリ「ZouZou」、ポケモンGOの人気スポットを地図上に表示する「Pokémon GO Insight」などをリリースしている。

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特に同社の売上に貢献しているのが B2B のサービスである inbound insight だ。このサービスでは、Twitter や Weibo(微博)などの SNS で公開されている投稿をもとにデータを収集分析し、クライアントは行動傾向(訪問施設、行動種類、移動ルート)や国籍別の嗜好をつかむことができる。フリーミアムで提供され、現在4,000社を超えるクライアントは大手広告代理店、コンビニエンスストア、鉄道会社、マーケティングリサーチ会社など多岐にわたる。

サービスのローンチから1年半を経て、inbound insight が提供するサービスのバリエーションも拡大しているようだ。

ナイトレイ 代表取締役 石川豊氏

当初始めたのは SNS 解析プラン。そこから、SNS 以外の統計データ、例えば、NTT ドコモと提携し訪日客(ローミングインのユーザ)の匿名化された動向データ、経済産業省と交渉して国が持つ訪日客の動向データなどを集め解析し、バリエーションを増やしてきた。

(「駅すぱあと」で知られる)ヴァル研究所とは駅データと位置解析データを掛け合わせたプランを出したり、観光分析が得意な三菱総研と組んでインバウンド客の未来予測ができるプランを開発したりしている。

優先施設診断プランでは、例えば、チェーン店舗の住所リストをインポートすると、どの店舗の付近に中国人観光客が多いかがわかるので、Alipay(支付宝)の決済システムを導入しているプロバイダが、どの店舗に優先的に導入すべきかを把握することが可能になる。(石川氏)

ユーザが宿泊した施設の宿泊料の金額レンジなどをもとに、その後の動向をトレースすることで、比較的お金を多く持った訪日客がどのエリアを訪れているか、バックパッカーがどのような観光ルートをたどっているかなど、統計的に可視化できる内容も高度になってきている。最近では、自動車会社やレンタカー会社など、位置情報を含む顧客の生の動向データを持っている大手企業が、そのデータから得られるコンテキストの分析を依頼してくるケースも増えているそうだ。

ナイトレイでは今回調達した資金をもとに、アプリ事業やロケーションインテリジェンス事業の拡大を行なっていきたい考え。具体的には、訪日外国人対策を推進する企業やインバウンド対策ソリューション提供企業をターゲットに、inbound insight のプラン増加や改善を図っていきたいとしている。

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