ドイツの巨大インターネット企業 Rocket Internet は、凄まじいほどの実行力で有名だ。アイデアからわずか数か月で事業を立ち上げ、積極果敢にスケールする。
このインキュベータがそのようにできる理由は、ベルリンとポルトガルにある専用のエンジニアリングハブを活用できるからだ。デベロッパーはアジアやアフリカで現地のチームと協力し、ウェブサイトやアプリの制作、オンラインマーケティングやデータアナリティクスを管理する。
ハブの維持費用は、後に現地のスタートアップに改めて請求がいくため、一部のアナリストが頭を悩ませる複雑な財務構造が生まれている。

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このドイツ企業は本日(1月27日)、世界で3番目(アジアでは初)のハブとしてバンコクに投資すると発表した。このセンターは、Asia Pacific Internet Group(APACIG)という、同社がアジアでカタールの電気通信大手 Ooredoo と合弁を組んだ企業の傘下にあるスタートアップに集中するという。
このテックハブは今のところ、4社の APACIG スタートアップのエンジニアリングニーズに応えていく予定だ。その顔触れは、ホテルプラットフォームの Zenrooms、旅行予約サイトの Jovago、広告サイトの Everjobs と Ads だ。
この事業を率いるのは、最近採用された Sohil Gilani 氏(APACIG のチーフプロダクトオフィサー、CPO)と Alex Stansfield 氏(エンジニアリングヘッド)だ。現在はプロダクトマネージャー、デベロッパー、エンジニアの総勢20人を抱える。Rocket はすでにチームメンバーを多数採用しており、APACIG の CEO である Hanno Stegmann 氏によると、全従業員数は「2017年末までに現在の2倍以上」になる見込みだという。
テックハブを新たに開設するという決断は厳しいものでしたが、アジアには台頭しつつあるマーケットが多数あります。私たちがバンコクを選んだのは、現地のテック人材の層が厚く、多くの国外居住者もここを住みやすいと思っていたこと、そして一部の関係企業にとって主要マーケットだったためです。(Hanno 氏)
モバイルファースト
Sohil 氏と Alex 氏はともに、APACIG に来る以前からプロダクトマネジメントに対する広いバックグラウンドを有していた。Sohil 氏は eBay と Walmart での勤務経験があり、Lazada では CPO を務めていた。彼の LinkedIn のプロフィールによると、Alibaba が Lazada を買収してすぐに Lazada を去ったようだ。Alex 氏は、数年におよぶキャリアの中で、ロンドンと東南アジアでソフトウェアの開発を行っていた。
このハブが目指す主要コンセプトは、アジアの消費者向けにカスタマイズされた製品を作るのに Rocket が持っている現地での知識をさらに深め、そのテックチームを市場に一層近づけることだ。ベルリンとポルトガルで何年にもわたって獲得した経験を活用するだけでなく、アジアの要素も取り入れていくだろう。
ここ APAC で特別なことがあるとすれば、それはモバイル端末に特化していることでしょう。私たちがここで作るもの全てがモバイルファーストなのです。(Hanno 氏)
同チームは、このセンターを作るのにいくら投資したかについては口を固く閉ざしているが、Hanno 氏によると、パキスタンにある e コマースのマーケットプレイス Daraz Group のオペレーションを集中管理する判断は影響を受けないという。
APACIG がポートフォリオとして持つ多くのスタートアップは、最終的にバンコクにシフトしていくと彼はほのめかしているが、それは「個々のニーズと IT のロードマップ次第」だという。
e メールで Sohil 氏は次のように述べた。
アジアで最高のデベロッパー、プロダクトマネージャー、デザイナーが私たちのチームに加わってくれるのを楽しみにしています。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
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