
Image Credit: Go-Jek
インドネシアの配車サービス大手 Go-Jek は水曜(2月22日)、ライフスタイル部門 Go-Life のサービスを旧来のアプリから切り離し、独立した新しいモバイルアプリとしてリリースした。これはどちらかといえば予想外の一手と言える。
Go-Life サービス群はかつて、配車及び宅配のサービスに加え、Go-Massage(ホームスパとマッサージの予約)、Go-Clean(ハウスクリーニングの予約)、Go-Auto(車両メンテナンスの予約)、Go-Glam(ヘア・ビューティーサロンの予約)といったサービスが統合された、単体の Go-Jek モバイルアプリとして提供されていた。
新しいモバイルアプリは2月上旬からすでに App Store と Play Store よりダウンロード可能となっている。ユーザが元の Go-Jek アプリを開いた場合、旧来のサービスは引き続き画面上に表示されるが、アイコンをタップした時点で、新しいアプリのダウンロードとログインが求められる。
しかしながら、新しいモバイルアプリでは、Go-Jek のキャッシュレス支払い機能である Go-Pay はまだ利用できない。これは「今後1〜2ヶ月」で提供される見通しだ。
Go-Life 設立者の Dayu Dara 氏は、Go-Jek のオフィスで行われた記者会見で、アプリのローンチから2週間以内で1万ダウンロードを達成したと述べた。
Go-Life は今年さらなるライフスタイルサービスを展開する計画だ。Dara 氏は新規サービスについて、デューデリジェンスを進めていることを示唆したものの、詳細の明言は避けた。
2つは1つより良いか?
なぜ Go-Jek はサービスを2つのアプリに分けることにしたのか?
Dara 氏が DailySocial に語ったところによると、Go-Jek は輸送とロジスティクスの領域に集中する方針であることから、アプリを分離した方がライフスタイル部門が柔軟で機敏な動きを取れるようになるとしている。
技術的な観点から見ると、こうして事業領域を分離したことにより、より迅速かつダイナミックな事業拡張が可能となります。(Dara 氏)
Go-Life はこれまで高度な予約機能などの新機能を追加してきており、また、Go-Jek がサービス展開中のすべてのインドネシアの都市で同サービスを利用できるようにしている。
Go-Life 部門によると、最大7,000名の専門家がサービスに登録され、各分野で英語教育などを含む多様なトレーニングを受けているという。
ここで問題となるのは、2つの異なるアプリケーションを展開することが、インドネシア初のユニコーンと呼ばれる同スタートアップにとって、賢い動きであるかどうかだ。
一般的な傾向として、近年デジタル業界の多くの企業は、モバイルアプリの意義を疑問視するようになっている。元 Google のエンジニアである Brian Kennish 氏は、MIT Technology Review で2011年に引用されているように、ネイティブアプリは数年後にはすべてではないが「ほとんどなくなるでしょう」と述べている。
WeChat の「ミニアプリ」のようなサービスの登場は、ユーザがモバイルアプリを新たにダウンロードすることなく利用できるという点で、業界の方向性を示している。
チャットボットもまた、アプリに取って代わり得るものだ。
様々なアプリで自身のデバイスが溢れかえっていることは、ユーザにとっても大きな悩みとなりつつある。以前はこうした問題がないことが Go-Jek モバイルアプリの強みであった。食料品のオンデマンド配送から TransJakarta のバスの追跡まで、1つのアプリで様々な種類のサービスが利用できた。
以前のアプリは3,300万ダウンロードの実績があるが、新しいアプリのダウンロード数は1万回だ。ただしローンチから1か月も経っていないことを考えれば、数字から一概にユーザの反応を測ることはできない。
とは言え、今後の事の成り行きを見守るのは面白そうだ。
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