30億円調達した料理動画レシピ「kurashiru」のdely、クックパッド神話を崩せるか

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料理動画レシピアプリ「kurashiru」

一部報道があった通り、料理動画のレシピメディア「kurashiru」を展開するdelyは3月27日、ジャフコ、YJキャピタル、gumi ventures、Das Capitalの4社が運営するファンドおよびフリークアウト代表取締役の佐藤裕介氏と複数の個人を引受先とする第三者割当増資の実施を発表する。

調達した資金は総額で30億円。出資比率や払込日などの詳細は非公開。これに伴う経営体制の変更も公表はされていない。同社は調達した資金でレシピ動画事業の国内拡大、新規事業開拓およびM&Aなどを推進する。

同社が約5億円の資金調達を発表したのが2016年11月、そこから半年を待たずしての大型調達発表となった。創業時のフードデリバリ事業からの転換経緯や拡大の方向性などについては代表取締役の堀江裕介氏に取材した記事があるので参照いただきたい。

月間1000本配信の料理動画「kurashiru」運営がYJキャピタル、gumi V、ユナイテッド等から約5億円を調達

前回取材時、私はクックパッドが局所的に動画をやり始めたらどう対抗するのか、という点で堀江氏に質問をしていた。しかし今はもう考え方が変わっている。おそらく彼を支援する個人投資家たちも最初から本気でこれを狙って彼に投資していたのだろう。

ーーつまり「どうやってクックパッドの牙城を崩すのか」という視点だ。一強時代を二強にするブランド構築方法、事業展開、数値目標。これらについて堀江氏に尋ねたところ、情報開示は控えるということでまだ具体的なコメントは出せないと回答があった。

「今後は色々な方法で20年間ユーザーの頭の中に染みついている『料理をするならクックパッド』というところから、料理をするならクックパッドかkurashiru、更にもっと先では料理をするならkurashiruという状態に持っていくのが理想です。単に良いサービスを作るだけでなくいかに強烈な自然想起を取れるかを考えてこの資金を使っていこうと考えています」(堀江氏)。

アプリ経済圏でブランドを構築する方法はここ数年で手法が確立しつつあるように思う。今回、出資者としてDas Capitalという名前があるが、これはアトランティス、グノシー、AnyPayと次々事業を立ち上げる連続起業家、投資家の木村新司氏が代表を務めるファンドだ。

彼はアプリ経済圏での勝ちパターンを熟知しているし、創業期から支援している佐藤氏や、師弟関係を結んでいるとされるgumi代表取締役の國光宏尚氏など、堀江氏のバックにある支援者の層は厚い。こういった面々のアドバイスが事業にどのような影響を与えるのかという点も興味深い。

ブランド周知がマス層に行き渡った時点での事業展開が果たして動画レシピ一本なのか、それ以外のライフスタイル領域に広がっているのか、これらについても堀江氏は開示できないとし、売上や利益規模についても同様で具体的な数値目標についてはノーコメントということだった。

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