2016年の市場規模は533億円にーー事業者に学ぶソーシャルレンディングの今と展望【×CROWDPORT】

2017年3月8日(水)にミッドタウンにて行われた「ソーシャルレンディングサミット」。ソーシャルレンディングの主要な事業者と投資家が一同に会し、ソーシャルレンディングの現状や課題、今後の展望について語りました。今回の記事では、その様子をダイジェスト版にてご紹介いたします。

プログラム内容

【第1部】ソーシャルレンディングの現状と仕組み
【第2部】ソーシャルレンディング事業者プレゼン
【第3部】投資家体験談
【第4部】事業者パネルディスカッション

【第1部】ソーシャルレンディングの現状と仕組み

まずは、クラウドポート代表の藤田から、「そもそもソーシャルレンディングとは何か」や「どのような仕組みで成り立っているのか」、「応募額は伸びているのか」など、ソーシャルレンディングの現状に関してお話ししました。

ソーシャルレンディングの現状と仕組み

「ソーシャルレンディングはFintechの中核である」

ソーシャルレンディングの国内市場規模
ソーシャルレンディングの注目度が高まっている背景には、市場規模の急拡大があると指摘。2014年には143億円だった市場規模が、2015年には310億円、2016年には533億円にまで達しているとのデータを示した上で、参入事業者数の増加や海外の市場規模についても言及しました。

他にも、ソーシャルレンディングの利回りが高い理由や保全の仕組み、ソーシャルレンディングに向いている人・向いていない人に関しても紹介しています。

ソーシャルレンディングの募集額推移

【第2部】ソーシャルレンディング事業者プレゼン

<登壇者>
maneoマーケット株式会社 取締役 安達義夫氏
クラウドクレジット株式会社 代表取締役 杉山智行氏
ロードスターキャピタル株式会社 代表取締役社長 岩野 達志氏
ラッキーバンク・インベストメント株式会社 代表取締役社長 田中 翔平氏
株式会社インベスターズクラウド 執行役員 村上 哲也氏
株式会社CAMPFIRE 代表取締役 家入 一真氏

<モデレーター>
株式会社クラウドポート 代表取締役 藤田 雄一郎

ソーシャルレンディング事業者プレゼン

次に各ソーシャルレンディング事業者の代表者が登壇し、自社サービスの魅力をアピールするプレゼンを行いました。経営理念、サービスの特徴、保全の仕組み、今後の展開などを制限時間内で解説。各社の特色がよく出ており、今後の事業者選びの参考になる内容でした。

ソーシャルレンディング事業者プレゼン

【第3部】投資家体験談

<登壇者>
けにごろう氏   「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記
ファイアフェレット氏「ソーシャルレンディングの赤裸々日記

ソーシャルレンディングの投資家として、またブロガーとして活躍される2名に、ソーシャルレンディングを始めたきっかけ、実際の運用成果、今までの損失やアドバイスなどを紹介いただきました。

ファイアフェレット氏のポートフォリオ

過去の投資失敗談や、現在の運用状況など、実体験に基づくエピソードをユーモアも交えながら赤裸々に語り、会場は大いに盛り上がりました。さらに投資家目線で見た、ソーシャルレンディグのメリット、デメリット、投資するファンドを選択する際のポイントなども解説。実際の投資家のリアルな声が聞けるとあって、来場者も真剣に耳を傾けていました。

【第4部】事業者パネルディスカッション

最後にソーシャルレンディング事業者によるパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、「ソーシャルレンディングの盛り上がりの理由」、「今後に向けたソーシャルレンディングの課題」、「ソーシャルレンディングはこれからどうなっていくのか」などに関して議論がされています。ダイジェスト版の今回は、各トピックにおける、各社の意見をピックアップしていきます。

ソーシャルレンディングの盛り上がりの理由

Q:なぜソーシャルレンディングが盛り上がり始めたのか?

maneo安達氏
借り手・貸し手でいうと、借り手側の資金需要は依然から存在しており、そこに流れていく資金が少なかった。それが、ここに来て貸し手となる投資家側が増加したことで急激に市場が拡大している。

これには幾つか要因があるが、900兆円以上あると言われている個人金融資産を循環させるため、政府が投資を促進するよう働きかけていることや、それに伴うメディアからの後押しによる空気感が、少なからず投資家マインドに前向きな影響を与えていると思う。

また、これまで真面目にやってきたソーシャルレンディング事業者が実績を積み上げてきていることにより、投資家の信頼感も高まっていると感じる。

<クラウドクレジット 杉山氏>

参入事業者が増加しているが、事業者ごとに若干特色が異なり、その特色に合わせて、各社それぞれが工夫してPR、広告宣伝活動行っている。その結果、多様な投資家にリーチすることができ、結果、業界全体のパイが増加しているのではないか。

Q:「TATERUFUDINGは、昨年、新規参入し、募集したファンドはリリースと同時に完売とのことで、非常に好調な出だしだが、予測通りか?」

インベスターズクラウド村上市
<インベスターズクラウド村上氏>

ファンドを募集する前までは、「1日2日くらいで埋まったら良いな」という期待感を持っていたが、実際ファンド募集をしたところ、本当に目を離した隙にすぐに埋まったので驚いた。不動産投資をしたいけども、まだ大きな投資はできないというような人が多く集まってくれたのではないかと思っている。

Q:「なぜこのタイミングでソーシャルレンディングに参入を決めたのでしょうか?」

キャンプファイアー家入氏
<キャンプファイア家入氏>

これまで購入型クラウドファンディングの仕組みを活用し、中小企業の資金調達を支援してきた。そんな中、地方の企業や行政などに購入型クラウドファンディングを提案しても、必要とする資金を集めきることができないことが何度かあり課題に感じていた。そこで、もっと多様なお金の集め方が必要と思い、ソーシャルレンディング参入を検討し始めた。

また、購入型クラウドファンディングでは主に「プロジェクトを出す側」にフォーカスして運営を行うが、お金を出す側の方々にも「寄付をする」「企業を応援する」以外のメリット、例えば、資産を守る、資産を増やすなどの価値を提供したいと考えるようになった。

今後に向けたソーシャルレンディングの課題

Q:「ソーシャルレンディングの健全な発展のために必要なことは?」

クラウドクレジット杉山氏

<クラウドクレジット杉山氏>

この半年間でソーシャルレンディングの投資家が急増していることもあり、当然、各社ガバナンス/体制強化が必要となる。業界全体として、投資家保護施策の徹底に関する意識が、他の金融機関に比べて弱い部分があり、業界全体で取り組んでいかなければならない。

<ラッキーバンク 田中氏>

投資家保護という観点から、案件の精査はもちろん、金融商品取引業として管理体制の整備を徹底していく姿勢が強く求められている。犯罪収益移転防止法への対策を含む投資家管理、資産の分別、倒産隔離を含む、資金管理の徹底について、事業者が責任を持って遂行していくことが重要。

Q:「業界全体の信頼感を醸成してくためにはどうすればいい?」

ロードスターキャピタル岩野氏

<ロードスターキャピタル岩野氏>

例えば、広告の投下量を増やせば良いのかというとそういうわけでもない。このようなリアルな場に出て、しっかりと発言してことは重要だと思っている。それぞれのファンドの開示・情報開示という点では、現在の統制の中でどうしても案件の中身を言えないという部分があるのは事実だが、その中でもできるだけ情報開示をしたいと思っている。

また、やはりリスクを孕んでいるものではあるので、我々としてはできるだけ情報を開示する必要がある。もちろんリスク面に関してもできる限り説明していく。

今後、ソーシャルレンディングはどのようになっていくか?

Q:「市場規模はこれからどれくらいまで拡大すると思う?」

<maneo安達氏>

非常に難しい話だが、今の不動産案件でも数千億円くらいまではいくのではないか。それ以上になるには、他のカテゴリへどのくらい広げていけるかによると思う。ちなみにREITなどは十兆円以上の市場があるので、その手前の市場を作っていくと考えると数兆円の市場規模というのは実現不可能ではないと思う。

<ロードスターキャピタル岩野氏>

意外と日本人はリスクが嫌いではないのではないかと思う。ラスベガスやマカオの市場規模はせいぜい数兆円程度だが、日本のパチンコ市場は20兆円もある。しっかりと資産運用に関する教育や啓蒙をしていくことで、資金の使い途が変わるのではないか。結果、数兆円がソーシャルレンディングに流れてきても良い。

Q:「ソーシャルレンディングが若い人により広まるためにどうすればいいと思う?実際に若い世代の方々はソーシャルレンディングをしている?」

ラッキーバンク田中氏

<ラッキーバンク田中氏>

現在、当社の投資家のうち、10〜15パーセントは20代の方々になっている。当然コアな層は30代や40代ではあるが、若い世代の中でも少しずつ金融リテラシーや投資に対する意識が高まってきていると感じる。現在はプライマリーマーケットしかないが、今後セカンダリーマーケットなどができてくると、敷居が下がり、より20代、30代の若い層も取り組みやすくなるのではないかと思う。

会場の様子

ソーシャルレンディング事業者をはじめ、投資家の方々やブロガーの方々などソーシャルレンディングに関わる/関心のある方々が一挙に集まった今回のソーシャルレンディングサミット。イベント終了後には事業者同士のみならず、投資家の方々と事業者の方々なども意見交換などを含め交流しており、ソーシャルレンディングの盛り上がりを一層感じることができました。

会場の様子

転載元記事:【ソーシャルレンディングサミットレポート】事業者に学ぶソーシャルレンディングの今と展望とは?

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