100回のデモ、50回のピッチで学んだことーーVRとARの今を理解する8つの考察

編集部注:寄稿してくれたMatt McIlwain氏はMadrona Venture Groupのマネジングディレクター。Daniel Li氏は同社のシニアアソシエイトである。

私たちは約1年前、Madronaのオフィスで初めて市販用のVRヘッドセットを受け取った。それ以来、次世代の大きなコンピューティングプラットフォームをチェックしようと私たちのオフィスに立ち寄った100人以上の人々に、VR(ViveとRift)とAR(HoloLens)のデモを提供してきた。

子供、両親、祖父母、プロサッカー選手、選出議員、会社役員、ゲーム愛好家、決してゲームをしない人々、そしてVRに対して懐疑的な人から非常に興奮している人まで、様々な人を対象にデモをした。そしてMadronaを売り込んでいる先の50以上の企業に対してもユニークなVR/ARデモをやってきた。

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開封の儀/Image Credit: Madrona Venture Group

これらのデモが終わった後で、製品やコンテンツに対する消費者の最初の反応がどのようなものだったのか、そしてVRの未来に賭けている企業がここからどこに進むのかを考えるのは興味深いことである。初年度のVRの主な取り組みについての考察を次にまとめる。

プロダクトについて

1:今、まさにここにあること。それは素晴らしいことである

Viveを試みたすべての人は、その没入のレベルと別の場所にいる体験に感動する。同社は引き続きコントローラー、追跡、解像度、有線について議論しているが、別世界に完全に没入するための技術として「十分」であることは間違いない。実際にはオフィスのカーペットの上に立っているのに、数百フィート上に吊り下げられた棚板から落ちるかもしれないという恐怖を体験することは、非常に面白いことだしVRは斬新な体験であると証明しているのだ。

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2:しかしまだ「ものすごい」と言えるほどには達していない

人々がVRで得た信じられないほどの体験にもかかわらず、一般消費者はヘッドセットを我先にと購入するほどには興奮していない。私たちは100回以上のデモをしたが、VR機器一式に600から800ドル、家庭でVRで遊ぶ容量のあるPCをさらに1,500ドルかけて買うほどには至っていないと思う。

確かにMadronaでもまだハードウェアを十分に売っているわけではないが、感覚的には業界全体と同じで、大規模なVR関連企業でも2016年のハードウェア販売予想を大幅に下回っている。たとえばソニーは、2016年のVRヘッドセットの予測を260万台から75万台に修正した。さらに言えば、多くのVRアプリケーションを楽しむために一貫性を持たせようと、ソフトウェアとファームウェアを更新するには多くの手間がかかることが経験上わかっている。

3:消費者よりもVRやARに熱心なのはやはり企業

ほぼ全ての企業イノベーションラボでは、ある程度の時間をかけて何らかのVR体験を作っている。例えばIKEAはキッチンの視覚化ツールを作ったし、フォードはカーレーサーになったような体験ができるアプリをリリースした。Sleep Numberですら疲れているような気分をシミュレートする(あなたが前に感じなかった場合でも!)VRアプリケーションを作っている。

特に医療、金融サービス、および様々な形態の設計において、Hololens AR技術とデモの早期採用を予想している。企業はVRとARの巨大な可能性を予想し、何が効果的で、なぜビジネス目標が達成できないのかを迅速に判断しようとしている。

4:最初のキラーアプリは「ソーシャル」

人々が最も多くの時間を費やすVR(および潜在的に「ミックスドリアリティ、複合現実感」)アプリは、ソーシャルなものになる。人類はソーシャル性という本来的な欲求を持っており、コミュニケーションのツールは非常に貴重なのだ。

Facebook、Instagram、Snapchat、WhatsApp、Skype、Slackといった事例をみてほしい。VRは特に他人とのコミュニケーションに適したプラットフォームである。魅力的なソーシャルVR機能を持つ例には、Against Gravity社の「Rec Room」、Big Box社の「Smashbox」、およびPluto VR社の複合現実サービスが含まれる。

5:やっぱり子供向けは一番!

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一番注目すべき点は、子供がVRコントローラを掴んで仮想世界を飛び回ることが簡単にできることだろう(VRでMinecraftをプレイできるかどうか尋ねる前に)。ドッジボールやチャードのようなソーシャル性のあるVRゲームに何十時間も費やしてきた子供たちを知っている。

子供たちは直感的かつ快適にこの新しい技術を操作することができ、そのレベルは信じられないほどで、開発者がまだ考えてもいないVRの新しい使用方法を想像させてくれる。面白いのはARとVRの両方を試している若い人たちはVRにより興味を持つ傾向があるが、よりベテランな世代はARでもっとビジネス的な見通しを期待していることだ。

6:アジアと21世紀「アーケード」から学べ

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米国は低価格モバイルVR体験を可能にする、シンプルなスマートフォンのヘッドセットアダプターメーカー数はもちろんのこと、アジア市場での採用が大幅に拡大しているショッピングモール、テーマパーク、カラオケバー、ゲームカフェといった場所へのVR導入に関して中国に遅れをとっている。中期的には、アジアで初期に拡大している21世紀型のVRアーケード施設が世界中で広がっていくと考えている。

HTVは、Valveon the Viveと提携しているが、中国のVR市場を最優先に考えている。そしてTencentはVR映画を制作しはじめた。米国のVR企業は中国の経験から学びたいと考えており、アジアの投資家がVRへの投資の大部分を占めているため、VR企業に資金を提供するためにアジアの投資家に期待している。実際、最近のCBInsightsは、MagicLeapの7億9400万ドルのSeries C(Alibaba)とNext VRの8000万ドルのSeries B(5人の中国人投資家)を含む、AR/VR取引の21%に中国の投資家が参加しているとレポートしている。

そしてその先の期待へ

7:企業と投資家は大きなブレークスルーを待っている

それはAR/VRへのAppleの進出で起こるかもしれない。もしくはGoogleのDaydreamの大量採用ではじまるのか、あるいはSnapchatの眼鏡分野の大成功という形で勃発するのかもしれない。

つまり何らかがユーザー層を拡大するまで、ARやVRに取り組む企業が多くの金を稼くことはないだろう。収益化は難しく、インディーズゲームの初期の勝利を除けば、企業はビジネスを成長させるためにビジネスモデルを試す余地すらない。

間違いなくAR世界の最初の「ヒット」であったポケモン・ゴーも、世界的な現象を作り出すのに役立つ一連のコンテンツを必要としていた。初期段階のVRおよびAR企業はVR/AR体験をより簡単に試すことができるようになるまで、生き残るために、そして優れた製品を開発し続けるための計画を確実に立てることが重要になるのだ。

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Above: Pokémon GoImage Credit: Niantic

8:VR/ARは人間とコンピュータの相互作用の新しい時代を示す

従来のテキストインターフェイスとGUIは、人々がコンピューターとデータやアプリケーションをやりとりするにあたって理にかなった方法だった。VRとARは、人々が物理世界でやりとりするのと同じ方法でテクノロジーとやりとりすることを可能にする自然なユーザーインターフェイスである。

音声、視覚、ジェスチャーを使用してコンピューティングやコンテンツと対話する。共有ドライブ上の100種類のファイルの位置を覚えておくことは難しいが、「先週のSallyとのミーティングの文書を表示してください」と指示した内容が拡張現実に現れるようにするのは比較的簡単なのだ。脳が働く方法を利用して、デジタルと物理の両方の世界を繋ぐ新しいアプリケーションを構築することができる。

バーチャルや拡張現実市場で今後3年から5年で何が起こるかを理解することは非常に楽しい。すでに収益性の高いビジネスもでてきている。建てる前に建物のVRデモをすれば、デベロッパーは見込み客がその地を歩く前に不動産を売ることができる。MicrosoftとCase Western Reserve University、Cleveland Clinicのようなグループとのパートナーシップが生まれた。医学生はHoloLensを使って歩き回り、3D空間で人間の心臓のさまざまな部分を調べ、心臓が現実にどのように動くのかをこの新たな視野で完全に理解することができる。

今後10年間で最も人類に影響を与えるテクノロジーに目を向けると、私たちは拡張現実やバーチャルリアリティが、働き方や遊び方、生き方そのものを変えてくれると確信している。

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat