セレブボットは儲かる?ーー海外有名人のチャットボットに学ぶ4つのマーケティング手法

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編集部注:寄稿者のDima Rakovitsky氏はモバイルアプリケーション開発者であるROKO LabsのCEO兼創業者。

何十年もの間、ハリウッドではシルバースクリーンを楽しむためにボットが使われている。2001年から使用しているスペース・オデッセイのHAL 9000やアイアンマンのジャーヴィス、そして最近では映画「Her 」のサマンサだ。

しかし現在では、ハリウッドでは有名人のボットを活用して収益を生み出しているのだ。これらのセレブ・ボットの活用は、有名ブランドによるボットの収益化やブランド認知度向上のために、ボットをどのように使用できるかということを教えてくれる。ここに4つのユニークなセレブ・ボットとそれらが採用しているマーケティング戦略を紹介する。

1. Casey Neistat Bot:アフィリエイトマーケティング

有名YouTuberの一人であるCasey Neistat氏は、vlog(ビデオブログ)で自らの奇抜な行動を放送していることでよく知られている。

Neistat氏は数百万のファンを獲得しており、その多くは視聴者独自のvlogに影響を与えている。Caseyはこのファン現象を十分に認識しており、YouTubeチャンネルを通じたビデオ機材レビューと宣伝を頻繁に実施して収入を増やしている。

また、Case Messist氏のCasey Neistat ボットはユーザーに最新のビデオ配送を通知するだけでなく、彼が使用しているビデオ機材を見たり購入可能にするという点でさらに一歩進んでいる。単に「どの機器を使用していますか」と尋ねるだけで、Casey氏の好きな機材カテゴリリストが表示され、各アイテムはAmazonのアフィリエイトにリンクされている。

ボットは、CaseyがYouTubeチャンネルへのトラフィックを増やすのに最適な方法だが、さらに興味深いのは、ボットをアフィリエイトマーケティングの魅力的なチャンネルとして使用することで追加収益を獲得していることである。

マーケティング担当者へのアドバイス:パートナーサイトに誘導するウェブまたはモバイルプラットフォームにチャットボットを追加し、ディープリンクを使用してパートナーシップマーケティングを追跡することができるのだ。

2. FooBot(LMFAO’s Redfoo):クロスプロモーション

ミュージシャンの有名人ボットの多くは、同じ種類のコンテンツを提供している。(YouTubeのミュージックビデオ、コンサートのリスト、チケット、および商品へのリンク)このコンテンツに加えて、RedfooのFacebook Messenger用FooBotは「Ride with Foo」という、Uberとのクロスプロモーションを提供している。

Ride with Fooオプションを選択すると、Uberアカウントをボットに接続してLMFAOの音楽をUber乗車の際に聞くことができる。LMFAOのファンはぜひこの機能を次回のお出かけ時に試してみてほしい。

しかもこの機能はUber(とUberの運転手)にさらなる収益をもたらすことができる。Rood with Fooは、目新しさのために同じ人物が複数回使用する可能性は低い。しかし、Uberにとっては新しいユーザーの獲得になり、長期的な価値に繋がる可能性がある。

マーケティング担当者へのアドバイス:チャットボットを使用してユーザーに関するデータを収集し、カスタムセグメントを作成し、この情報を使用して信頼できるパートナーからターゲットとなるユーザーにプロモーションメッセージを送信することができる。

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Pink Metal Clockwork Robot Maid – Naked Espresso Bar by Avlxyz via Attribution Engine. Licensed under CC BY-NC-SA.

3. Aeden(Westworld Bot):バイラルマーケティング/ARG

WestworldはHBOの最新ヒットTV番組で、いきいきとしたロボットでいっぱいの大人向けテーマパークに入るとゲストは自由に何でもできる。どんちゃん騒ぎで、それでいてドキッとさせられる風景は、今日私たちが高度な人工知能を開発する際に直面している問題と関連している。

中心的な役割のAedenは、Westworldの提供するウェブサイトDiscover Westworldのボットでもある。ウエストワールドの一般的なトリビアやHBOのウェブサイトのプラグのように表面上は多くの機能を提供するわけではないが、Aedenは代替現実ゲーム(ARG)の要素として特に役立っている。このWestworldが実施したボットがバイラルマーケティングで効果を生み出した例がある。

WestworldのファンはDiscover Westworldのウェブサイトで情報を入手し、隠れたイースターエッグの手がかりを探し始めた。Aedenからのヒントが発見につながるようになっていて、これは最終的に次の放送シーズンの予告に繋がっていた。

このニュースはニュースサイトやRedditのようなソーシャルメディアにあっという間に広まった。これは、ボット活用の素晴らしい例である。

マーケティング担当者へのアドバイス:チャットボットにマーケティングキャンペーンのユニークな役割を与え、それらを統合された戦略に結び付けることで、面白く多面的な体験をユーザーに提供することができる。

4. Dave Ramsey Alexaスキル:スマートオーディオ

人気のあるボットのほとんどは、FacebookメッセンジャーやWestworldのようなウェブサイトで提供されている、何らかのチャットやテキストのダイアログに基づいてる。

しかしAmazon Echoのような新しいAIデバイスは、ボットの新しい手段として音声を提供している。エコーを使用すると「skills」というカスタムの音声ボットをインストールし、銀行口座残高の確認、Uberの呼び出し、さらにはピザの注文のようなことも可能にする。

米国で最も人気のある個人資産スピーカーの一人であるDave Ramsey氏は、ユーザーが自分のショーを聞くことができるAlexaスキルを提供している。このスキルは非常に基本的なもので、少数のプレイとストップの機能だけだが、ボットを活用した新しいリスナーを獲得する素晴らしい方法ではないだろうか。

注目すべきは、Dave Ramsey氏のAlexaスキルのようなボットが影響力のある人や有名人の声を活用して、購入やコミュニケーションにつながるAIの会話を作成するなど、新しいマーケティング体験へのドアを開いたことだ。

マーケティング担当者へのアドバイス:人気のあるボットを通じて、貴重なコンテンツの配信を増やすことができる。新しい技術の登場にともなって、マーケティング担当者は新興トレンドにとどまらず、顧客にアプローチする新しい方法を試すことが重要だ。有名人はブランド認知度を高めるための新しい方法の最前線に立つことが多いため、革新的なマーケティング戦術のインスピレーションの源泉となる。

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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