就農支援のプラットフォーム「LEAP」を提供するseakは4月3日、グリーベンチャーズ、寺田倉庫、三菱UFJキャピタルの3社を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。投資ラウンドはシリーズAで、寺田倉庫、三菱UFJキャピタルは前回のシードラウンドに引き続いての参加となる。
これに日本政策金融公庫が提供する「青年等就農資金」からの融資もあわせ、今回の調達資金は総額で約3億円となった。同社は調達した資金で「LEAP」の栽培検証、フランチャイズモデルに必要なシステムの開発強化を進める。また今回の発表にあわせ、神奈川県藤沢市から法人として初となる認定新規就農者認定の取得に成功したことも公表している。これによりLEAPで優先的に確保した農地を登録者に提供することができるようになる。
現代版小作農のLEAP、目標は「稼げる就農」

昨年9月にそのデビューをお伝えしたLEAPが順調に次のフェーズに進んだ。seak代表取締役の栗田紘氏はインキュベーション事業を手がけるアーキタイプ出身で、パーソナルモビリティ「WHILL」では経営幹部を務めるなどスタートアップに関しては経験ある人物。非常に手堅く駒を進めた印象がある。
ただ相手は農業だ。インターネットからは遠い存在であるだけでなく、事業としてもネット特有の「持たざる」経営からビニールハウスや土地、肥料など有形の資産が必須になる部分が大きく異なる。栗田氏に今回の調達で推進するポイントを聞くと「栽培KPIの確立」と「フランチャイズモデルの準備」の二つを挙げてくれた。

まず栽培のKPIについては作付面積600平米あたりの収穫量や機材コスト、作物単価、ビニールハウスなどの償却費用など細かく数字が設定されており、ここから最終人件費をある一定水準に保つことを目標に設定されていた。
就農というのは人件費が安価になる傾向があるそうで、場合によっては法定で決められている時給を大きく下回るような数百円レベルでの労働も発生してしまっている。
LEAPではこの時給を主要なパラメーターとして設定し、収穫にかかるコストや効率を改善することで、この単価を2000円から3000円に引き上げることを目標にしている。さらに土壌学研究のPhDを持つNakhshiniev Bakhtiyor氏が最高開発責任者に就任し、LEAP独自の土や栽培溶液管理手法の開発・検証を進められる体制も整えている。
また、フランチャイズモデルの確立に向けて、作業学習用のオンラインコンテンツや栽培管理本部とコミュニケーションできるチャットシステム、ハウス内部のデータをリアルタイムに取得できるセンサー連携などの情報技術を活用したプラットフォームシステムも構築している。これらが就農登録者のIDと紐づくことで情報の一元管理に役立つとしている。
栗田氏によれば、今回の調達にあわせてLEAPのチームを20名ほどにまで拡大し、特にプラットフォームの開発については開発の責任者レベルでの人材を探しているということで、今後の事業拡大に向けた経営基盤の強化を進めるという話だった。
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