中国のAIスタートアップMobvoi(出門問問/羽扇智)、シリーズDラウンドでVolkswagen Group China(大衆汽車)などから1.8億米ドルを調達

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ジュネーブで開催されたオートサロンで、Volkswagen が公開さいた自動運転コンセプトカー「Sedric」
Image credit: Volkswagen

姉妹サイトの TechNode Chinese(動点科技)によると、AI スタートアップの Mobvoi(中文ブランド名は出門問問、中文社名は羽扇智)がシリーズ D ラウンドで  Volkswagen Group China(大衆汽車)から支援を受け、1億8,000万米ドルを調達したと昨日発表した。Volkswagen Group China は、Mobvoi が持つ AI 技術の自動車市場での応用を促進していく考えだ。

両者は戦略的提携を結び、Mobvoi と Volkswagen China Investment(VCIC)との間に50対50の出資比率で、自動車市場をターゲットにしたジョイントベンチャー(JV)を設立することになった。

その新たなJVは車載AI技術の研究開発および応用に特化し、Volkswagen ブランドのモデルに合わせた製品を開発する予定。その手始めがスマートバックミラーだ。これはMobvoi が昨年ローンチしたもので、4Gネットワーク、音声ナビゲーション、POI検索、インスタントメッセージング、車内エンターテイメントなど多彩な機能を併せ持っている。

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現在までに Mobvoi は、Sequoia Capital、ZhenFund(真合基金)、Googleなど中国内外の投資家から2億5,000万米ドルを調達している(中国語)。

元 Google 社員の Li Zhifei(李志飛)氏によって2013年に設立された Mobvoi は、モバイル音声検索に特化したAIスタートアップ。そのコア技術には、音声認識システム、意味解析、垂直検索、テキスト音声変換技術が含まれる。

Mobvoi は、スマートウォッチの Ticwatch(問問手錶)やインテリジェントバックミラーの Ticmirror(問問魔鏡)など数多くのスマート商品を発表しており、現在同社の商品は、Android、WeChat(微信)、Google Glass などに幅広く応用されている。Google Glass では、ユーザがメガネに中国語で話しかけることができる唯一のアプリを提供した。

新たな JV では Mobvoi が主に研究開発を担当し、Volkswagen はマーケティング、販売、ブランド管理に専念するとみられる。

Volkswagen Group China で CEO を務める Heizmann 教授は次のように述べている。

新たな形の生活者志向モビリティ技術を創出する Mobvoi のような革新的な中国テック企業との協力を Volkswagen が決意したという意味において、この提携は素晴らしい例となりました。私たちは AI 技術に対する Mobvoi の革新的なアプローチに感銘を受けました。そして、次世代のスマートモビリティを探求するこのジョイントベンチャーを設立することができ、大変嬉しく思っています。

Volkswagenのような自動車メーカーが、伝統的な単なる自動車製造から次世代のスマートモビリティソリューションの提供へと焦点を切り換える上で、今回の提携は重要なステップとなる。

このような提携は AI 企業と自動車メーカーの双方にとって Win-Win な戦略だ。AI企業は、自動車メーカーのブランド力と強い財務力を活用してビジネスを成長させることができ、その一方で自動車メーカーは、AI技術による後押しで自社の自動車の価値を上げることができる。

最近ではテック企業と自動車メーカーの提携に関する報道が相次いでおり、 Mobvoi とV olkswagen の提携はその一つにすぎない。3月には中国巨大テック企業 Tencent(騰訊)が Tesla 株の5%を購入し、Intel は自動運転分野での開発ペースを上げるために Mobileye を153億米ドルで買収することを発表した。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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