あらゆる店舗のレジをATMに変えるシンガポールのsoCash、エンジェルラウンドで60万米ドルを調達

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3月に東京で開催された FIBC 2017 に登壇した SoCash の 共同創業者兼 CEO Hari Sivan 氏
Image credit: Masaru Ikeda

伝統的で信頼できる支払い手段からの脱却は難しいようだ。シンガポール金融管理局(MAS)によると、ライオンシティ(シンガポールの愛称)では依然として現金が広く使われており、銀行や ATM では約2,000万回の引き出しが行われ、合計金額は36億米ドルに相当すると soCash は述べた。

soCash は、この流れに乗り、あらゆる店舗から ATM のように現金を引き出せるようにするスタートアップだ。同社は本日(3月30日)、60万米ドル相当の新たなエンジェル資金を調達したと発表した。匿名のベテラン銀行家や技術者らが出資している。

Image credit: Masaru Ikeda

このサービスでは、ユーザは各個人の銀行のモバイルアプリを使い、現金を引き出したい小売企業の銀行口座に任意の金額を送金する。その後、店舗で現金を引き出すという手順だ。これにより、ユーザはより多くの場所で現金を引き出して支払いに使用することができる。店舗側にとっても、soCash ユーザが新たな客足となるメリットがある。また、各送金ごとに同社から店舗に手数料が支払われ、これも店舗にとって新たな収入となる。

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今回の調達資金は soCash の営業チームの強化に充てられ、これによりさらに多くの東南アジアの銀行を巻き込みたい考えだ。一部のアジアの銀行とはパートナーシップを確立するための「詰めの協議」に入っているが、具体的な内容は公表されていない。

同社 CEO の Hari Sivan 氏は次のように述べている。

新たな資金によって、より迅速に契約を締結できるよう営業チームを強化し、また当社が持つ銀行ネットワークの成長を加速してマーケットを問わず高い取引シェアを実現したいと考えています。

FIBC 2017 では、セブン銀行賞を受賞
Image credit: Masaru Ikeda

すでに同社はエンジェル資金として合計92万5,000米ドルを確保しており、また、機関投資家を対象とした最初のラウンドも予定している。さらにシンガポールのフィンテック分野のスタートアップとしては初めて、コンセプトの実証実験に対して MAS の Financial Sector Technology & Innovation Scheme(FSTI)の助成金が適用される

当局は2015年、5年間にわたり1億5,900万米ドルを投じる FSTI 制度を発表した。各種金融機関のイノベーションセンターをシンガポールに誘致し、また、金融関連の革新的な商品やサービスを創出する事業を支援することを目的としている。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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